2作目は、”やがて来たる者”を観ました。これ、すごかった・・・。衝撃作です。
この作品は、日本公開が決まったようです。観た後、息が詰まったほどですから、日本公開も判ります。
ストーリーは、
1943年冬、ボローニャに程近い山間の村モンテソーレ。8歳の少女マルティーナは、生まれたばかりの弟が死んで依頼、口が利けなくなってしまった。彼女の両親、親戚たちは顔を合わせれば生活の苦しさを嘆き、まだ若い伯母たちは厳格な祖母に反抗的だ。そんな中、母のレナが再び妊娠し、マルティーナは新しい子供が生まれてくるのを待ち望んでいた。しかし、モンテソーレにも戦争の影が近づき、貧農の父は、地主に言われるままナチスのグループを受け入れざるを得なかった。横暴なナチスに対して地元の若者は密かに抵抗軍を結成するが、幼いマルティーナには、どちらも恐い敵にしか見えない。やがて抵抗軍の存在を知ったナチスが攻撃を仕掛けてきた。男たちは森へ、女と子供は教会へと逃げ込むが、出産したばかりのレナは赤ん坊と共に、家を出る事が出来ない。そして、ナチス親衛隊はモンテソーレの地で情け容赦のない虐殺を開始する・・。
というお話です。
とても衝撃的な映画でした。去年だったか、”セントルイスの奇跡”という映画があって、虐殺の模様を描いたハリウッド映画があったと思うのですが、この虐殺事件は、そのセントルイスの事件の数ヶ月後に起こった、3日間で700~800人がドイツ兵に虐殺されたというお話です。ハリウッドのキレイな虐殺映画より、より泥臭くて、実際にあったのだろうなと思わせてくれる作りになっていました。この監督は、虐殺のあった場所の近所に生まれ育ち、祖父母などからこの事件を聞かされていたそうです。
普段なら平和な村なのでしょうが、第二次世界大戦下で、どんどんドイツ軍が侵略してきて、村人は、合言葉などを決めて、ビクビクしながら暮らしています。食べる物もすべて持っていかれ、他の場所に移動したくとも許可が無いと出て行けない。もう、八方塞の状態で、村人は、今にも爆発しそうな状況なのですが、ドイツも戦況が悪くなり、兵隊達はどんどん要求をしてきて、スパイがいるのではないかと疑いの目を向けてくるんです。そんな緊迫した状況が、とてもよく描かれていて、観ているほうも辛くなるほどでした。
映像は、始まりがブルーがかって、暗く沈んだ静かな感じで、思わず、ピカソの”青の時代”の絵画を思い出しました。青の時代は、ピカソが暗く沈んだ時代なのですが、この画面も、大戦下の暗く静かで、今にも何か起きそうな感じを表しているのだと思いました。監督も、映像にとても気を使ったと言ってらっしゃいました。
出演している子役達が、とても上手くて、ドイツ兵におびえる姿が、本当に怖がっているようで、驚きました。今回、虐殺の場面は、あまり生生しく映像に表されていませんが(ある程度はあります。)、これは、その状況をスプラッタのように描く必要を感じなかったと監督が感じられたからなようです。
(監督と子役です。)
歴史上、実際にあった事件なので、日本公開されたら、ぜひご覧になって欲しいと思います。辛い場面もあると思いますが、歴史の一ページとして、確認してみて欲しいと思います。キレイな表面だけの映画ではなくて、真剣に見れる歴史映画と思って、ぜひ、観てほしいです。映像も内容も素晴らしいですよ。
まだ、公開日は決まっていないようですが、また、情報が出たら、お知らせしますね。