2本目は、「ジュリアは夕べに出かけない」という作品です。
ストーリーは、
大きな文学賞にノミネートされている小説家のグイドは、最近妻と娘との間にズレを感じ、新作も思うように筆が進まない。新作を書くために、先に新居に妻と娘を移らせたのだが、やはり筆は進まない。ある日、娘が通っている水泳教室で、コーチと娘が話している姿を見て、娘に何を話していたのか尋ねると、”水泳は嫌いだが、父親の望みだから通っている”と告白する。それを聞いたグイドは、娘を辞めさせ、代わりに自分が水泳教室に通い始める。泳げない彼に淡々と指導をするコーチのジュリア。彼女に興味を持ち始めるグイドだったが、ジュリアは彼からの夕食の誘いに決して応じようとしない。だんだんと二人の距離が縮まり始め、やがてグイドはジュリアの背負った哀しい過去を知ることになる。そして・・・。
というお話です。

この映画は、結構、辛い映画でした。
主人公の作家は、いま1つ有名になれず、普通ではない自分を望んで空想にふけっているのですが、平凡な日常を送っているんです。そして、執筆に息詰っているところに、水泳教室で美しいジュリアに出会います。
ジュリアは、ある罪を犯してしまい、その為に、自分の夫と娘に会えず、苦しんでいるんです。そんな普通でない彼女に、ぐぐーっとのめり込んで行くグイドと、その周りに居る家族、そして社会の目。色々な視点から、社会の中に生きるそれぞれの人間の生き方を描いています。

ぶっちゃけ、二人のラブストーリーなんですが、そう簡単には行かないんですよね。一度、社会から弾かれてしまったジュリアは、隠れるように生きていて、グイドは、社会の真ん中で注目を浴びたい人間なんです。このかけ離れた二人が、どんなに思い合っても、お互いの立場を理解するのは難しいようでした。二人きりでいる時は、とっても幸せそうなんだけど、社会の中で生きていますからね・・・。
気になる事は、結構あったんだけど、あまりのネタバレになってしまうので書けませんが、イタリアの法律とか、そういうものが、日本と違うんだなーって思いました。国によって、色々な考え方があるんですよね。
でも、どんなに法律などが違っても、人間は人間。人の噂に戸は立てられないという感じで、どうしても精神的に追い詰められてしまうということはあるのでしょうね。

出てくる人物の精神的な面を丁寧に描いていて、後からだんだんと、ジーンと感じてくる作品です。ジュゼッペ・ピッチョーニ監督は、とても優しくて、ステキな叔父さまでした。
これも、日本公開は分かりません。でも、もし、DVDなどで観る機会があったら、部屋の中でひとりで、ジーンとして欲しいです。
