先日、”牛の鈴音”の試写会に行ってきました。
イ・チュンニョル監督もいらしていて、その撮影秘話などを話してくださいました。
ストーリーは、
韓国のとある田舎で暮らす79歳のチェおじいさんは、76歳のおばあさんと二人で暮らしている。おじいさんと牛はこの30年間毎日欠かすことなく畑仕事に出かけ、そのおかげで9人の子どもも立派に育てあげることができた。普通寿命が15年ぐらいだと言われる牛だが、この老牛は40歳になった今もまだちゃんと働いてくれていた。獣医に見てもらうと、牛は、あと1年ほどしか寿命が無いと言う。40年も連れ添った牛が居なくなるとどうなってしまうのか、不安を抱えながら仕事を続けるチェおじいさん。自分の身体もだんだんと不自由になり、不安がどんどん増えていく。
というお話です。
ドキュメンタリー映画で、韓国で観客動員数累計300万人という大ヒットを飛ばし、インディペンデント映画初の興行成績第1位、歴代最高収益率を誇る感動作です。監督が舞台挨拶に来てくださって、色々な話をしてくださいました。最初は、TVのディレクターだったのでTVのドキュメンタリーとして撮影し始めて、とにかくおじいさんか牛のどちらかが居なくなるまで撮影したいと思い撮影していたのですが、1年経っても亡くならないし、どんどん予算はかかってしまい、スポンサーが権利を売ったり色々しているうちに、映画として公開することになりました。途中、あまりにも牛が元気なので、バチが当たりそうですが、神様になんとか牛を連れて行ってくださいと願ってしまったとの裏話もしてくださいました。楽しい監督でした。

そんな楽しい話を聞いた後なのに、このドキュメンタリー、すごく感動してしまいました。なんか、なにが起きる訳でもなく、すごい事件があるわけでもなく、淡々と毎日を過ごしている風景なのですが、そのひたむきな生き方というか、正直で不器用なおじいさんの生き方に、涙があふれてきます。おじいさんやおばあさんは、自分の利益のことよりも、子供たちのために身を粉にして働いて、育ててくれたということが、この映画で分かります。韓国だけではなく、日本でも、ちょっと昔には、こんな光景がたくさんあったのでしょう。

なんとなく誰もが懐かしいような気持ちを覚える映画だと思います。色々な方に、この映画は観て欲しいです。但し、子供さん向けではありません。大人になって、ある程度苦労をすると、この映画の良さが分かります。
人間の温かさをこの映画から読み取ってきてください。