東京フィルメックスにて、”セルアウト!”を観て来ました。
ストーリーは、
TVの女性キャスター、ラフレシアは、死の床にある人々を中継するライブショーで人気を博すが、やがて番組はマンネリ化し、新進キャスターに存在を脅かされ始める。彼女が所属するTV局フォニーと同系列の家電会社で商品開発に従事しているエリックは、豆乳を手軽に作る製品を開発するが、保証機関を過ぎても壊れない試作品を作ったため、上司から叱責を受ける羽目に。そして、エリックの理想と現実の精神が二つに分かれていく。分裂したエリックは、ラフレシアのTV番組の標的になる。
というお話です。

アート系の映画を皮肉るような演出もあり、笑えるのですが、私、あまり普通の映画の中に、ミュージカル風な歌の場面があるのが、ちょっと苦手で、そこだけ眠くなりました。でも、音楽は良かったと思うんですよ。楽しかったし。なんとなく、口ずさんでしまうような歌でした。
エリックは、理想では長く使っても壊れない製品を売りたいと思っているのに、会社側に保障がキレたらすぐ壊れるようにしろと言われ、現実のエリックは壊れる装置をつけようとするんです。なんか、これ、どの家電メーカーも、家電以外の家具や衣類、装飾品などの会社も、同じようにしているのではないかと思うんですよね。だって、保障がキレたころに壊れるじゃないですか。それも、同じ頃に、一気にTVもDVDも壊れたり、なんか、仕組んでるんじゃないのかって思うほどタイミングが良いですよね。不信感一杯になっちゃいますよ。
マレーシアでは、コピーがたくさんあって、ソニーをフォニーとかって文字って、会社名にしていたりするそうです。そんな自国を皮肉る意味もあって、こういうブラックコメディになったのだと思います。監督が、マレーシア人は、僕のように皮肉屋の人は少ないんだよ。僕が特別なんだとおっしゃっていました。

私には、あまり良く分からなかったのですが、映画業界の人には、とても受け入れられた作品のようで、ティーチインのお話を聞いていたら、最初の映像は、ハンディカムのような撮影方法で、段々と固定撮影に変わっていくのは、意図してやっているのですか?とか、画像の色が少し緑がかっているのは、わざとなのですか?とか、アート系の作品を皮肉っているように見えたのですが?とか、なんか、難しい質問が飛び交っていました。
監督は、全てに丁寧に答えていて、撮影方法は、撮っている映画人が成長しているんだと見せるためにワザと撮影方法を変えていったとか、緑色がかっているのも同じ理由でワザとやったとか、お話してくださいました。アート系の映画、自分は大好きなので、皮肉を込めたつもりはないんですとおっしゃっていました。
この映画、日本で公開されるかどうか判りませんが、通の方には、好評でしたので、興味のある方は観てみてくださいね。
