12月23日 午後7時~ 札幌文化芸術劇場 ヒタル

 

尾高惇忠:「ヴァイオリン協奏曲」*

・・・・・・休憩・・・・・

ラフマニノフ:「交響曲 第2番」

 

指揮:      広上淳一

ヴァイオリン:  米元響子*

コンサートマスター: 会田莉凡

 

演奏の前に広上さんと米元さんのプレトークがありました。

尾高さんのヴァイオリン協奏曲は、広上さんの指揮、ソリスト米元響子さんで京都市交響楽団により2021年に初演されました。プログラムには、今年発見された作曲者御自身によるノートが掲載され、着手した年に体調を崩されながら2020年に完成されたことなどが記されています。初演をお聴きになりたかったでしょうね。

今日は初演と同じ指揮者とソリストを迎え、演奏されました。米元さんは今回はじめて聴きました。温かい深い音色がたいへん魅力的なヴァイオリニストです。また聴かせていただきたいですね。

後半のラフマニノフ、ぜんぶ極彩色な感じがして実は私はとても苦手な曲です。

特にあの有名な第3楽章が。広上さんはその極彩色をさらに盛り上げた演奏で喝采を浴び、指揮者、団員ともにやり切ったという表情が印象的でした。

聴衆の皆さんも大満足で、帰りの寒さも吹っ飛んだのではないでしょうか。

今日で、今年の演奏会の最後となりました。

札幌の日の出は7時2分、日の入りは午後4時2分となっています。

冬至に相応しく、気温は0℃前後。道路は昨日までの暖気で緩んだあと夜中に凍ってツルピカです。さすがに、今朝は地下鉄までの公園内の道路が危ないと判断して、中心部までは電車で往復しました(公園の中は、凍結防止剤や滑り止めの砂利などの散布がみとめられていない)。

 

朝がなかなか明けなくて、朝から冷たい空気とどよ~んと暗い空を見ると、晴れ晴れした気持ちにはなりにくいですね。

北欧の方たちにうつ病が多いというのも分かるような気がします。

そうそう、冬季うつ病ということばもあるようですよ。日照時間の長短とセロトニンの分泌に相関関係があるんですって。屋外に出て、日光に曝されるのが効果があるようです。公園ではクロスカントリー用のスキーを貸し出しています。たまに歩いて見ようかな。公園の中をぐるぐる歩くだけなのでアップ・ダウンもほとんど無いし、日を浴びて汗を流すのは良いですね。

 

セロトニンは期待できませんが、

都会のど真ん中で、夜のクロスカントリーも好いですね

前シーズンの動画です

 

舌の根も乾かぬうちに草大福なんぞを買ってきた!

全日本フィギュアを見るのに体力が、とかなんとか・・・いやはや。

寒いと云っちゃ飲み、暑いと云っちゃ飲む、のんべぇと同じ屁理屈ですね。

(お酒をほとんど飲まなくなったので)ここはひとつお目こぼしを、ですって。

 

フィギュアの結果が出ました。

 

男子シングル          女子シングル

1位 鍵山優真  287.95    坂本花織  234.36

2位 佐藤駿   276.75    島田麻央  228.08

3位 三浦佳生  261.18    千葉百音  216.24

4位 中田璃士  248.65    中井亜美  213.56

5位 山本草太  238.94    青木祐奈  212.00

6位 友野一希  229.74    岡万佑子  211.73

 

ペア

1位 長岡柚奈 森口澄士     215.30

2位 籠谷歩未 本田ルーカス剛史 133.43

3位 三浦璃来 木原龍一        84.91*フリー棄権

 

アイスダンス

1位 吉田唄菜 森田真沙也    172.29

2位 櫛田育良 島田高志郎    165.75

3位 佐々木彩乃 池田喜充    146.22

4位 紀平梨花  西山真湖    144.41

5位 浦松千聖  田村篤彦    131.55 

 

アイスダンスの櫛田育良さんが女子シングルにも出ていたのにはびっくりしました。20位でしたが、よく頑張りました。シングルと、相手のあるアイスダンスでは動きも違うし、なにより練習日程の調整など大変だったのではないでしょうか。

女子シングルは見ごたえがありました。上位選手の素晴らしさもさりながら、引退を発表した樋口新葉選手と三原舞衣選手の最後の舞台がとても良かった。舞衣ちゃん大好きな我が家ではひと際大きな声援を送りました。

そして、何といっても他を圧倒していたのは、今季限りで引退を発表している坂本花織選手の滑らかで美しい滑りでした。

起きてから暖房を点けるのを忘れるほど暖かくて、庭の芝生が顔をだしています。

水たまりと氷が混じる最悪の道路にもめげず、発売されて間もない『火星の女王』(小川哲 早川書房 2025年初版)のドラマが放送されるということで「おやつ要らないから買ってきて!」という夫に急かされて本屋さんへGO!

(おやつ云々は、私の予定の本も入れると1万3千円を超える!とぼやいた時の夫のひとこと)

 

予定していた6冊のうち『火星の女王』のほかに入手できたのは

『記憶の対位法』(高田大介 東京創元社 2025年初版)

『言語化するための小説思考』(小川哲 講談社 2025年第3刷 1ヶ月で既に3刷!)

『火蛾(かが)』(古泉迦十 講談社文庫 2025年第3刷)

    「今まで文庫にしていなくてすみませんでした‼」の帯付き。

    メフィスト賞受賞作なのに、文庫になるまで23年かかっています。

    棚に残っていたのは1冊でした、セーフ。

 

注文したのは本命の

『崑崙奴』(古泉迦十 星海社) 『聊斎本紀』(閻連科 河出書房)の2冊で、

年内に届けば嬉しい、すご~く楽しみ!

 

莫言とおなじように人民公社の過酷な環境の中で育ち、その作品は禁書になることも多かった閻連科の1冊は図書館で見つけました。

長く入院加療中だった年上の身内の方が亡くなり、お別れに行ってきました。

病気だったにもかかわらず、書道や朗読ヴォランティアなど、最後まで幅広く社会活動を続けてこられました。

絶筆となった大作と、その作品を書いた使い込まれた大筆も展示され、お悔やみにいらした皆さんは大きなインパクトを受けたようです。これはある書道展に出品予定の作品で、漢詩・漢文を得意とした故人の最後の意思や願いを表現しています。

故人の到達点を示す、自由闊達で自在な筆遣いに惚れ惚れと見とれました。

生き方と書がぴたりと重なって羨ましい限りです。

R.I.P.

CSで放送中の華流古装劇に唐時代を背景とする「蜀紅錦」というドラマがあります。

蜀紅錦(しょっこうにしき)は蜀江錦ともいい豪華な錦織の代表ともいえる織物です。春秋(BC8~5世紀)戦国(BC5~3世紀)時代にすでに多彩な織物を生み出していた古代中国で、漢~三国(BC3~AD3世紀)の時代に現在の成都を中心とした地域(益州)で発達したのが蜀錦でした。流江(錦江=錦水は岷江の支流、金沙江と合流し長江になる)のほとりには官営紡績工房が並び、蜀錦の仕上げにこの川の水が使われていたそうです。このように隆盛を極め高い価値を生み出した蜀錦ですが、三国時代、蜀(漢)の諸葛亮(孔明)は「国庫は空で、軍費を(特産品の)蜀錦にたよるしかない」と嘆息し(『諸葛亮集』)、蜀錦によって蜀との交易決済をしていた魏の文帝(曹丕)は、品質が低下し続ける蜀錦に落胆したと伝わっています(『曹丕文集』)。

  法隆寺に伝来した「蜀江錦」は、赤地に連珠文と周囲を飾る蕨手が桝形のな

  かに織り出されています。「蜀紅錦」の名は地の赤色に由来したもの。

 

蜀紅錦の赤い染料の開発や染色技術、製織の様子が再現されるのではという期待からドラマを見始めましたが、リブログで取り上げているドラマ「当家主母」と違って、そうした場面はどうやら無さそうなので見るのをやめました。

いくつもの綜絖を操って織りあげる豪華絢爛たる蜀紅錦、1日20㎝くらいしか織れないという精緻な技術を見たかったのに・・・ホント残念。

なお、蜀江錦に関しては『中国絹織物全史 七千年の美と技』(黄能馥・陳娟娟 科学出版社東京/国書刊行会 2015年初版)に依っています。

 

 

もう廃版になって数年たつ伊東屋のレフィル手帳には、付録の薄いノートが付いてきました。私はこれをbook listに使っています。①著者別と②その他に分けて目についた本を片端から、出版社・出版年・価格もいれてとにかくメモしておくのです。

たまる一方の本を気にしながらも、以前はこれはと思ったら迷わず買っていましたがさすがに近ごろは〈どうしても〉という本以外は極力図書館を利用します。

そんな時にブック・リストはとても役に立ちます。

図書館で困るのは、人気の高い本以外はなかなか買ってもらえないことです。比較的値の張る国書刊行会本はあまり揃っていません(ウッドハウスの「ジーヴス・シリーズ」くらい?)。

というわけで、チョー読みたいリストのトップに挙げている「オーストリア綺想小説コレクション(ルベルト・ローゼンドルファ『廃墟建築家』など)」は、購入希望を出したものの当分書架に入りそうにないのです。年末年始そばに置いて楽しみたいけれど、無理かなぁ。

リストアップした中で

『記憶の図書館』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス/オスバルド・フェラーリ 国書刊行会

        内容は対談で、700頁、7000円超えなので買う気は無い!)

『失われたスクラップ・ブック』(エヴァン・ダーラ 幻戯書房)

『チェロ湖』(いしいしんじ 新潮社)

『修道院覚書 バルタザールとブリムンダ』(ジョゼ・サラマーゴ 河出書房新社)

『サフラジェットの病院』(ウェンディ・ムーア みすず書房)などは面白そうだけど

軒並み(税込み)5000円超え、買う気はありません。

 

  ☆年末までに買うつもりなのは

『崑崙奴』(古泉迦十 星海社fictions)唐時代に惹かれる私にぴったり。

     同じ作者の『火蛾』(講談社文庫)は文庫化の時にリストに入れたのに

     まだ読んでいません。

『聊斎本紀』(閻連科 河出書房新社)『聊斎志異』が好きなら必読ね。

それに、読書家のブロ友さんお薦めの『記憶の対位法』(高田大介 東京創元社)。

 

  ☆書名につられて買ってしまったけど今でも満足しているのは

オールカラーの『愛書狂の本棚』(エドワード・ブルック・ヒッチング 日経ナショナル・ジオグラフィック 2022年初版)と

900頁近い『編集者ディドロ』(鷲見洋一 平凡社 2022年初版 2023年読売文学賞の研究・翻訳賞を受賞)です。

本『廊下に植えた林檎の木』 残雪 近藤直子・鷲巣益美訳 河出書房1995年初版

 

『突囲表演』と同じように脈絡のないイメージが次から次へと湧いてくる感じです。

  『山海経(せんがいきょう)』は紀元前4~3世紀の地理書ですが、化外の地に

  対するイメージの氾濫は神仙・妖怪のようなまことにケッタイな生き物を生

  み出しました。

  そして語り物から発達した伝奇小説、たとえば『水滸伝』『三国志演義』 

  『西遊記』や怪異譚を集めた『聊斎志異』、こうした物語が血肉となった感性

  が、この短編集に結晶したかのようです(タイトル作は中編)。

日常の中にひょっこりと顔を出す異様なモノや異常現象が、まるでフツウのことのように描かれています。理屈に合わないところに惹かれました。

目次

帰り道

  目をつぶっていても思い描くことができるほどよく知っている広々した草地。

  草地に立つ家で、“わたし”はいつものようにあるじとお茶をしようと訪ねます。

  ところがあるじは、今日は来るのが遅かった、家は平たんな草地ではなく断

  崖の上にあって、裏の淵にのみこまれようとしている、というのです。

  暗闇のなか、時の流れも場所の感覚も曖昧になって・・・。

  *私には、覚えず捕われの身になってしまう『砂の女』の登場人物の昆虫採

   集の男が浮かんできました。

黄菊の花に寄せる遐(はる)かな想い

  (一)大きな楠の木に斧を振り回す老姜(ラオチャン)は、触れようとすると

  虫が這い出てくる足を持っていたり、髪の毛からセロリの匂いがしたり、ろ

  くろっ首だったり(*私が『山海経』を思い浮かべたのはこの描写から)、同

  衾してみると頭だけだったり・・・、そんな老姜が失踪して、残ったのはセ

  ロリとクマツヅラと菊の香りでした。

  (二)一緒に夢を見た“わたし”と如姝(ルーシュ)。如姝は“わたし”をおいぼ

  れと呼び、薔薇の花でいっぱいのはずのポケットの中には虫を詰め込んでい

  て、夜な夜な鶴の夢を証明せよと迫ります。

  *如姝が放った空気銃と、(一)で“わたし”が老姜に向って撃った空気銃はつ

   ながっている?二人の少女のひとみで燃える黄菊の花の火とは何?

逢引

  逢引のたびにもらう蠟紙細工のプレゼントを夫は箒でつつきまわします。

  今日は、タクシーで無人島まで出かけたのに彼はいない。帰ろうとしてもタ

  クシーは無く、そもそも島までタクシーでどうやって来たのか。

  日の出とともに消え行くふたりは、夕暮れ、夫々の家の窓をあけて夕靄を入れ、

  遐かな想いに浸ります。

汚水の上の石鹸の泡

  母が溶けて、たらい一杯分の石鹸水になってしまった。

  *私が一番気に入ったのはこの作品。

廊下に植えた林檎の木

  “ぼく”の家族は両親と妹とその婚約者(医者)の5人。なんだか意気のあがら

  ない発育不全の“ぼく”、やたら強い三妹(サンメイ)、その婚約者で天井に張

  り付いたりする自称医者、ときどき緑山に家出をする父、太陽の中へ歩いて

  行ったことがある母。5人が語る奇天烈な物語。

  *ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』と、どっこいどっこいのシッチャカ

   メッチャカぶり(←誉め言葉よ)です。

  小さな金の牛

一 我が家の秘密

二 三妹が悩みを訴える

三 探偵(もしくは医者)の冗長でつまらない話

四 母のたわごと

五 ぼくの最初の夢

六 ぼくの第二の夢

七 ぼくの第三の夢

八 ぼくの第四の夢

九 ぼくの最後の夢

 訳者あとがき

 

 

我が家でもその温かさを実感している「ブレスサーモ」の毛布、昨日のNHKTV「プロジェクトX」では、そのミズノが開発した吸湿発熱素材「ブレスサーモ」が商品化されるまでが取り上げられていました。

1992年に偶然発見された吸湿発熱素材の原綿は、1994年のリレハンメルオリンピックの日本選手団公式スキーウェアの中綿として採用されました。

90年代後半には原綿の優れた機能を生かしたアンダーウェアにするために、繊維(糸)にする試みが始まり、薄くて暖かい肌着への1歩を踏み出します。

糸にしにくい、弱い、発色が難しいなどの難点をクリアしながら、漸く世に出ることになります。

これらの経緯については2006年に発表された開発者荻野毅さん(ミズノ商品開発部)の「吸湿発熱機構による冬物衣料の商品化について」という論文(特許庁技術懇話会:身近な知的財産権)や、ミズノ公式オンラインに掲載の白石篤史さんの開発秘話に詳しく述べられています。

番組では、原綿・紡績・編立・染色で苦労を分かち合った方々の話も交えて構成されていました。

荻野さんは、☆普遍性☆歴史と文化☆日本の風土と環境を意識して商品設計をすること、日本発信型のものづくりの大切さを述べています。

こうしたコンセプトから、「ブレスサーモ」は商品になるまでのすべてが一貫して国内で行われているということでした。

なお、素材名は「繊維アクリレート」というそうです。

12月13日 午後5時開演 札幌コンサートホール キタラ

 

バーバー:「弦楽のためのアダージョ」

・・・・・・休憩・・・・・・

ベートーヴェン:「交響曲 第9番 ニ短調 《合唱付き》」

 

指揮:下野竜也

ソプラノ:針生美智子  メゾソプラノ:中島郁子

テノール:小堀勇介   バリトン:池内響

合唱:札響合唱団  札幌大谷大学芸術学部音楽学科合唱団

合唱指揮:長内勲  大嶋恵人  中原聡章

コンサートマスター:会田莉凡

 

バーバーの「弦楽のためのアダージョ」は中学生の頃から好きだった曲、久しぶりに聴けて大満足です。ムカシムカシ大ムカシ、この曲が好きだと云ったら、ずいぶん地味な曲が好きなんだね、と珍しがられました。で、この曲のチェロ独奏版を(私の為だけに)弾いていただいたことがあります。イェイ!

さて後半の「第九」は、予定されていたソプラノの中村恵理さんが急病で、針生美智子さんに変わりましたが、ソリストのバランスも崩れることなく聴けたのは良かったです。

バリトンの池内さんは1988年生まれとお若いのに、堂々たる歌いぶりは安定感がありました。これからますますご活躍されるのではないかと思います。

いまや定番となった2階オルガン席の合唱団はよくまとまっていました。

今日で今年の演奏会は聴きおさめです。

 

「弦楽のためにアダージョ」

フランクフルト放送交響楽団 指揮:アンドレス・オロスコ・エストラーダ

2020年ラインガウ音楽祭 チャリティコンサート @エーベルバッハ修道院