複製したのは去年のブログです。

『三体』を読んでふと思い出しました。

第三部「人類の落日」31章で尋問を受けた葉文潔(イエ・ウェンジエ)が、32章で三体文明のデータを分析したものを読む場面があります。約28ギガバイトとされるデータの分析をしたコンピュータをイメージした時浮かんだのが日本のアテルイⅡです。

それと同時に『三体』で言及されている〈高次元ならコンパクトで低次元に展開すると広がる〉から、(私が勝手に星と神経伝達のネットワークを結び付けた)N体シュミレーション画像も連想されました。次元が畳まれたわけではありませんが、ヒトの脳の中に宇宙が詰まっているなんて、想像するだけでも素敵でしょ。たまたま一緒にアップしていましたが、1年後に『三体』と結びつくなんて!

それにしても、このSFが2006年に書かれていたことがビックリですね。

劉慈欣(リウ・ツーシン)恐るべし!『三体0』や『Ⅱ』・『Ⅲ』、そしてスピンオフにあたる『X』にも興味が湧いてきました。『三体』沼に、ちょっと足先をつけてみた気分です。

 

【2023年7月14日の拙ブログ】

今日のテレビコズミックフロントは「天文シュミレーションがコンピューターの世界を変えた」

と題して、天文学専用スーパーコンピューターについて放送されました。

初期の天文シュミレーション用コンピューターの開発のきっかけに始まり、その結果どのような発展を生んでいったかについてざっくりと紹介していました。

きっかけは杉本大一郎先生の「球状星団の重力熱力学的振動」をシュミレーションしたい、ということだったようです。この計算を可能にするためのコンピューターを、お弟子さんの若い研究者たちが設計図からはじめて、手作り(アナログ)で作り上げたのがGRAPEプロジェクトでした。GRAPEは複数(N個)の星または星団の振る舞い(N体シュミレーション)を計算するのが目的です。

GRAPEは改良を重ね、その進化形が情報通信研究機構(NICT)が運用する高速ネットワークで、国立天文台ネットワークに接続している天文学専用スーパーコンピューター「アテルイⅡ」です。

この時に関わった若い研究者たちはその後、シュミレーション用コンピューターGRAPEを一から作り上げた経験を生かして、宇宙関係ばかりではなく、新薬の開発や、AIの研究、三次元ホログラフィなどに携わっています。

  アテルイという名はこのコンピューターが設置されているのが奥州市なので

  9世紀(平安初期)のこの地方の支配者だった蝦夷の族長阿弖流為に因んで

  名づけられたそうです。カッコイイ!

  阿弖流為は東北地方を討伐に来た坂上田村麻呂に降伏して、都へ向かい

  ました。田村麻呂の説得にもかかわらず、大方の貴族が反逆者としたため

  斬殺されました。

 

杉本先生は東大を退官された後、放送大学で宇宙物理学や数理リテラシーを担当していたことがあります。高校の時に「地学」を選択して以来理数系にはとんとご無沙汰の私が、学びなおしの第1歩として『宇宙とその歴史』を選択した時の先生です。文系の素人にも親しめるように、分かりやすくかみ砕いた講義でした。お陰でいまだに宇宙が大好きです。

 

アテルイⅡの紹介  国立天文台

 

N体シュミレーションの実際  国立天文台

こうして見ると、広大な宇宙での星のネットワークと、神経細胞の情報伝達の

ネットワークが相似形なのが、良く分かります。