彼らが変化した理由!
■いじめや非行を繰り返していたその高校生は、見違えるように立ち直り、クラスメイトからも慕われるようになった。
■いじめ癖のあった中学生は、いじめの悪癖から立ち直り本来の明るく優しい子どもに戻った。
彼らはどのようにして変わったのでしょう?
そして、なぜ?
少し前に勉強をするのにその意味を伝えないとそれは拷問のようである、そんな記事を書きました。
その中で、いまの子供たちがストレスフルである理由として、勉強をする意味や必要を実感できないまま忙しい生活を強要されていることなどがあるのではないか、ということを考えました。
では、どうすればいいのかというと・・・・
勉強する意味や必要を実感できるようにしてあげればいいわけです。
どのように?
明治大学の諸富先生は、専門のフランクル心理学の基本原理が役に立つはずと考えています。
フランクル心理学とは、以前にも紹介したことのある心理学者で、ナチの強制収容所に入れられ、その体験をもとに構築した心理学です。
フランクルは、アドラーの影響もうけているようで、その基本原理もアドラー心理学の共同体感覚に相通じるものを感じます。
基本原理とは?
「自分を必要としている何か」がある。
「自分を必要としている誰か」がいる。
そしてその何かや誰かのために、自分にもできることがある。
そうした意識が、私たちの生きる意味の実感を与えてくれるのだ。
実は、冒頭で述べた高校生、中学生もこれらの基本原理によって癒されたのです。
どういうことかというと高校生は、近くの老人クラブに行きゲートボールのコーチをして、それが好評で「お兄さん、また来てね」と声をかけられた。
そんな経験をして彼は変わったんだそうです。
中学生も保育園の園児の遊び相手になるボランティアをしたそうです。
子供たちに「ありがとう」と言われるうちに本来の優しい姿に戻って行ったというのです。
彼らは、きっと自分を必要とする何かや、誰かがいるなんて考えもしなかったんでしょう。
でも、ボランティアに参加するうちに「ありがとう」「また来てね」と言われて自分が「人から必要とされる喜び」「人から喜ばれる喜び」を心から感じることができた。
こうした喜びは、人の気持ちを安定させ、充実させ、自信をもたらします。だからいじめから立ち直ったのでしょう。と諸富さんは、書いています。
自分は誰かの役に立つ、そんな感覚はとっても大切なんですね。
それが強制収容所のような過酷な状況の中でも人を活かしてきたのです。
その点に関する記事はここにあります。
さて、この事例を敢えて、アドラー的に説明すると・・・
彼らの中に、共同体感覚が育ったのだと思います。
アドラー心理学の師匠、岩井俊憲氏は、共同体感覚について、共同体に対する所属感・信頼感・共感・貢献感であり、精神的な健康のバロメーターである、述べています。(勇気づけの心理学)
共同体感覚を育てることは、精神的な健康とも関係があるのです。
だからこそ、子どもたちのうちに、フランクル心理学で言う基本原理、アドラー心理学で言う共同体感覚を育ててあげることは、子どもが精神的に健やかに育っていくためにとても大切なんですね。
しかし、現実は共同体感覚に欠けた人が目立ちます。
自分のことしか考えない人が多いような気がします。
しかし、自分の幸せに執着すると幸せな生き方ができないというパラドックスが!
子供の真の幸せを願うのであれば、このあたりのことを、もっと考えていく必要もありそうです。