こんな場合、どう感じるでしょうか?
その指示には絶対従わなくてはいけません。
穴を掘るように言われました。
そして深く穴を掘ることができました。
満足していると次の指令。「その穴をまた埋めよ」
仕方なく穴を埋めて、やっと終わると
また、穴を掘るようにとの指令。
また、穴を掘ったら、次は、またその穴を埋めなさいとの指示。
こんなことを延々繰り返しているとどう感じるでしょう?
人は意味のないことを繰り返すことを苦手とします。
そのためこのような作業は拷問にも使われるそうです。
さて、
流山市教育委員会の調査によると
学習塾や習い事に通っている子どもは全体の8割、
そのため就寝時間が11時を超える小学5年生が3割もいるといいます。
同じ調査で「なんとなくムシャクシャしたり、イライラする」と答えた小学5年生は3分の1もいたそうです。
中学生や高校生にも同じ調査が行われましたが、年齢が上に行くほどその数値は高くなります。
子供たちのストレスの意味を諸富祥彦先生は、こう述べています。
ただ、勉強しろ、勉強しろと言われるばかりで。
その「意味」を実感できない。
高度成長の時代とは違い、たとえ一流大学に入り、一流企業に入ったとしても、そんな
「輝かしい未来」が待っているとは思えないこの時代。
官僚たちの汚職が連日報道されており、いわゆる「偉くなること=出世」に肯定的なイメージを抱くことも難しくなってきています。
そんななか、無味乾燥な勉強を強いられてもやる気が出ないのは、当然です。
しかし、親からは勉強しろと言われる。
その結果、それをやることの「意味」も「必要」も実感できないまま、ひたすら忙しい生活を強いられる。
だからストレスがたまり、イライラし、ムカツイてしまうのです。
子供たちにとって、勉強は、穴を掘ってはそれを埋める、そんな作業を繰り返すことに似ているのかもしれません。
では、どうしたらいいでしょう?
もちろん、勉強する意味を伝えてあげるといいわけですが、勉強は何のためにしますか?
その意味を考えたことがありますか?
その子の将来のため?
その子の自己実現のため?
その子の可能性を広げるため?
それもありでしょう。
でも、自分の幸福や自己実現に執着するとかえってそれを得ることができない、そんな逆説に直面してしまうとしたら!
前出の諸富先生は、こんなことを書いています。
「私の幸福」や「私の自己実現」にあまりにこだわり、執着してしまうと、人間は、決して幸福になれないし、自己実現できなくなってしまいます。
幸福を求めすぎると、幸福になれない…この法則は、古来「幸福のパラドックス」と呼ばれて、尊ばれています。
しかし、現実は? 今の教育現場は?
誰でも結局「自分の幸福」が大事なんだという個人主義的な、いや利己主義的な価値観を暗に・・・・・隠れたカリキュラムとして・・・・子供たちに伝えてしまっていると思うのです。
自分さえよければ、自分だけは、そんな価値観を子供たちに暗に伝えていると・・・
こうして、子どもたちの多くが、決して幸せになることのない生き方を身につけてしまいます。
いかがでしょう。
自分の幸福を追求するとしあわせな生き方ができない。
ちょっとショッキングですよね。
そう考えたうえで、勉強する意味とは?
子供の幸せのため?
でもそれがかえって、子どもを不幸にする!?
お子さんにどんな生き方をして欲しいと思いますか?
それでは、どう考えたらいいのかですが・・・・
アドラー心理学で言う「共同体感覚」が答えになりそうです。
それはまたの機会に!
参考図書、
とってもおもしろい!
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