花と見つ、五町驚かぬ人もなし。
汝も迷うやさまざまに、四季折々の戯れは、紋日物日のかけ言葉、蝶や胡蝶の、かむろ俄の浮かれ獅子、
見返れば、花の屋台に、身えつ隠れつ色々の、姿やさしき仲の町。
心尽くしのナ、その玉章も、いつか渡さん袖の内、心ひとつに思い草、
よしや世の中、狂い乱るる女獅子男獅子の、あなたへひらり、こなたへひらり、ひらひらひら、
忍ぶの峰か重ね夜具、枕の岩間滝津瀬の、酒に乱れて足もたまらず、よその見る目も白浪や。
やあ、秋の最中の月は竹村、更けて逢うのが間夫の客、よいよい、
辻占みごと繰り返し、なぜこのように忘られぬ、恥ずかしいほど愚痴になる、
というちゃ無理酒に、なんでもそっちの待ち人、恋のな、恋の山屋が豆腐にかすがい、
締りのないので、ぬらくらふらつく嘘ばかり、よいよいよいやな。
宵から待たせて、また行こうとは、ええあんまりなと膝立て直し、
〆ろやれ、たんだ打てや打て、打つは太鼓が取り持ち顔か、拗ねて裏向く水道尻に、
お神楽蕎麦なら、少し延びたと囃されて、ちんちん鴨の床の内、たんたん狸の空寝入り、
抓った跡のゆかりの色に、うって代わった仲直り、あれわさ、これわさ、
よい声かけや、よいやな、しどもなや。
人目忍ぶは裏茶屋に、ためになるのを振り捨てて、深く沈みし恋の酒、心がなる身の憂さは、
いっそ辛いじゃないかいな、逢わせぬ昔が懐かしや。
獅子に添いてや戯れ遊ぶ、浮き立つ色の群がりて、夕日花咲く廓の景色、目前と貴賤うつつなり。
しばらく待たせ給えや、宵の約束今行くほどに、夜も更けじ。
獅子団乱旋の舞楽もかくや、勇む末社の、花に戯れ酒に伏し、大金散らす君たちの、
打てや大門全盛の、高金の奇特あらわれて、靡かぬ草木もなき時なれや、
千秋万歳万万歳と、豊かに祝す獅子頭。