寒山はもしかしたら仙人の一種かも知れません。
中国にはとても多くの仙人がいらっしゃいます。
さてさて、仙人ってどんな人なんでしょうね。うん?霞を食べて生きる人???
不老不死の術を会得して、俗世を捨て山の奥深くに居住する。そして、空を自由自在に飛び歩くことのできる理想な人物像。漢民族の古くからの理想の人間像なのだそうです。
生あるものが、老化なく死もないなどとはあろうはずがない。また、日本の八百比丘尼ではありませんが、とてつもなく長生きするというのは苦痛以外なんでもないと思いますが。そんなものに憧れるんですね。
紀元前三世紀頃に山東半島を中心に発生した神仙説や、その後、陰陽家の説を取り入れた方士によって発展。さらに道教の思想によって創造された存在のようです。
渤海湾中に・・・つまり海中に蓬莱山・方丈山・瀛洲(えいしゅう)山といった三つの山があり、そこには仙人が住み、不老不死の神薬があると言われた。秦の始皇帝や漢の武帝などが、その秘薬を取りに使者を送ったと言われる。
仙人とは結局、世俗を捨て修行を積み昇天した人の事をいうらしい。・・・なんだ不老不死ではなく、すでに人間としての存在を失っている人のことなのですね。
仙人というと男性をイメージしますが、女性もいるんですね。
崑崙山には西王母という美しい仙女がいたという。不老不死の桃を育てていたとか。その桃を食べちゃったのが『西遊記』の孫悟空ですね。
また、18、9歳くらいの姿で鳥のような長い爪を持っている麻姑という仙女もいる。
背中を掻く道具として「孫の手」というものがありますが、その語源となった仙女。三国時代に蔡経という人が麻姑の長い爪を見て「この爪で背中の痒いところをこの爪で掻いたら気持ちいいだろうな」と思ったらしいです。その気持ち分かります。しかし、相手は仙女。彼女を前にそんな事を思ったらヤバいでしょう。蔡経は彼女の怒りをかったとか。恐ろしいです。でも、蔡経は平民出身なのに仙人になった唯一の人なのだそうです。
そうそう、日本にも仙人は存在します。
天平時代に大伴仙人・久米仙人・安曇仙人という三人の仙人がいたという伝声があるそうです。
また大江匡房の『本町神仙伝』では、空海・沙門・日蔵・慈覚・円仁などが記録されているそうです。
長唄関連の調べものをしていると、たまに仙人と呼ばれる方々に出会います。
中国の古代の伝説にも触れられる長唄。長唄の作詞をした方々の博識に脱帽です。