映像美が素晴しいという評判だったので、Blu-rayで見ました。

まぁ、映像は確かに圧巻。

作り物じゃなくて、ほんまものの遺跡だったり、自然だったりで、
13の世界遺産、24ヶ国以上のロケーションで撮影期間4年を費やした
というのは伊達ではありません。

それに加えて石岡瑛子さんの衣装の素晴らしさ。
この人の良いところは造形的なデザインもさることながら、
色によるシンボライズ、心象表現がうまいところなんですね。

今回もキャラクターごとに色を設定して、背景の世界遺産や
大自然に負けない存在感を醸し出しています。

この映像を見せるためなのかどうかは解りませんが、
ストーリーの方が控えめなんですね。

それが監督の狙いだとしたら、まんまと術中にはまっているのですが、
途中、ストーリーが邪魔に感じるくらいうっとりと眺めてしまいました。

ストーリーの方は自殺願望の怪我で入院しているスタントマンが
モルヒネをくすねてもってこさせるために同じく入院している女の子を
手なずけるために、思いつきで物語を語るって話。

そう、驚くことにあの美しく壮大な映像が、自殺願望の男の
ただその場しのぎの思いつきの物語だってこと!

もちろん、それだけならまとまりがつかなくなるんでしょうけど、
ザ・フォール(落ちる)の原題どおり、全てが死に向かって
一方向に進んで行くというバックボーンがしっかりしているので、
ぶれがないです。物語が破綻せずにきちんと収束します。

まぁ、なんて言うか予定調和が待っていたり、監督の先人たちへの
オマージュと思える映像が入ってたりするんだけど、全てが刹那的で美しい。
女の子の演技がいいこともあって、それほど薄っぺらくはならないです。

切られる木の枝葉とか、女の子の手紙とか、すべてが「落ちる」んです。
主人公の二人も落ちて怪我をしたため病院にいるわけですしね。

いずれにしろ『ザ・フォール/落下の王国』は、
できるだけ大画面で、それもBlu-rayでご覧ください。

最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。
『1408号室』



なんかDVDに入っている予告編を見て面白そうだったので
借りてきました。なんとブルーレイとDVDのハイブリッドだって。

当然我が家ではブルーレイで表示されるわけですが、
画質的にはブルーレイの品質には及ばなかったです。
ていうか、フツー。

気にしてなかったらDVDと変わらない。
良く見れば詳細なんだろうけど、その程度です。


さて、映画の方ですが、下手にレビューを書くとネタバレになるので、
難しいのですが、さわりを書くと…

主人公は幽霊等の名所に出掛けては、自ら体験し、アンチ本として発刊する作家。
そんな中、1408号室には泊まってはならないと葉書を受け取る。

予約しようにも、ずっとふさがっていると応答される。
現場に行っても勿体ぶって、チェックインを拒む支配人。
前置きが長ければ長い程、偽物と感じる主人公。その真偽の程は?


というところからストーリーが始まりますが、
なんてのか従来のホラーの様なバックボーンがありません。

普通はその場所なり人なりに、いわれがあって、
それの解明もストーリーの醍醐味になるのですが、
この映画では、主人公のトラウマに触れる程度で、ほとんど無関係に
主人公の精神をさまざまな超常現象がこれでもかというくらい襲います。

ありとあらゆる超常現象が起こるのですけど、
なかには絶望感を与えるようなものもあって、
なかなか見ごたえがあります。

ただ、前述のようにバックボーンがありませんので、
日本人好みのゾクゾクとくるような恐怖感がありません。

『1408号室』は、従来のホラーと見方を変えて見たら楽しめると思います。

ただ、サミュエル・L・ジャクソンは、独特の存在感を出していますが、
パッケージに出てくるほどの役どころではありません。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。
週金曜日に見て来た『ウォッチメン』です。
ウォッチメン
Yahoo!映画フォトギャラリーより



この映画はアメコミ原作なんですが、その原作自体がSF文学に与えられる最高の賞「ビューゴー賞」を受賞し、ニューヨークタイムスで「長編英語小説ベスト100」に選ばれるという、グラフィックノベルスの枠を超えた作品です。

それだけに、今迄のアメコミ映画のノリで見ると、話に付いて行けないかもしれません。と言っても難解な話ではなく、主要登場人物が多いこと、分りやすい敵がおらず勧善懲悪ストーリーではないので、ヒーローものと言う先入観があると混乱するのだと思います。

予備知識として持っておいた方がいい物語の背景を知っておいた方が楽しめます。
舞台は、アメリカがベトナム戦争に勝利したもう一つの別世界で、米ソ冷戦の真っ最中の1980年代の話であるということ。
ヒーローについては、Dr.マンハッタンという人が絶対的な特殊パワーを持っている超人だが、それ以外のヒーローは単なる腕自慢の自警団(つまりバットマンみたいな普通の人)であるということ。そして覆面着用者による自警活動を禁止するキーン条例により、彼らの活動が禁止されているということ。

これだけでも知っていると話は分りやすいです。

話は引退したコスチュームヒーローの一人が殺される所から始まります。
かつての仲間が殺されたことで、ヒーローの内の一人が犯人探しを始めます。つまり、この映画はミステリーです。

その犯人探しの過程で、正義とは? 戦争とは? といった問いが、見る人に突きつけられます。そして犯人が分かったあとも、その回答は用意されていません。見る人それぞれが考えるべき問題として、映画は突き放しています。

それだけに終わり方に納得できない人も多いでしょうね。
最後の最後のあの示唆する所を考慮してもです。

私なんかは逆に、『ウォッチメン』はそれが面白いと思えました。

映像はさすが『300(スリーハンドレッド)』のザック・スナイダー。『300』に輪をかけて残虐で美しいバトルシーンを見せてくれます。舞台装置のようでいて劇画のようでもある背景も、『ウォッチメン』の世界観にマッチしています。こういう垢抜けたCGの使い方は素晴らしいです。その上今回は、Dr.マンハッタンです(笑)。映像好きな人にはぜひ見てもらいたい作品です。

最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。