週金曜日に見て来た『ウォッチメン』です。
ウォッチメン
Yahoo!映画フォトギャラリーより



この映画はアメコミ原作なんですが、その原作自体がSF文学に与えられる最高の賞「ビューゴー賞」を受賞し、ニューヨークタイムスで「長編英語小説ベスト100」に選ばれるという、グラフィックノベルスの枠を超えた作品です。

それだけに、今迄のアメコミ映画のノリで見ると、話に付いて行けないかもしれません。と言っても難解な話ではなく、主要登場人物が多いこと、分りやすい敵がおらず勧善懲悪ストーリーではないので、ヒーローものと言う先入観があると混乱するのだと思います。

予備知識として持っておいた方がいい物語の背景を知っておいた方が楽しめます。
舞台は、アメリカがベトナム戦争に勝利したもう一つの別世界で、米ソ冷戦の真っ最中の1980年代の話であるということ。
ヒーローについては、Dr.マンハッタンという人が絶対的な特殊パワーを持っている超人だが、それ以外のヒーローは単なる腕自慢の自警団(つまりバットマンみたいな普通の人)であるということ。そして覆面着用者による自警活動を禁止するキーン条例により、彼らの活動が禁止されているということ。

これだけでも知っていると話は分りやすいです。

話は引退したコスチュームヒーローの一人が殺される所から始まります。
かつての仲間が殺されたことで、ヒーローの内の一人が犯人探しを始めます。つまり、この映画はミステリーです。

その犯人探しの過程で、正義とは? 戦争とは? といった問いが、見る人に突きつけられます。そして犯人が分かったあとも、その回答は用意されていません。見る人それぞれが考えるべき問題として、映画は突き放しています。

それだけに終わり方に納得できない人も多いでしょうね。
最後の最後のあの示唆する所を考慮してもです。

私なんかは逆に、『ウォッチメン』はそれが面白いと思えました。

映像はさすが『300(スリーハンドレッド)』のザック・スナイダー。『300』に輪をかけて残虐で美しいバトルシーンを見せてくれます。舞台装置のようでいて劇画のようでもある背景も、『ウォッチメン』の世界観にマッチしています。こういう垢抜けたCGの使い方は素晴らしいです。その上今回は、Dr.マンハッタンです(笑)。映像好きな人にはぜひ見てもらいたい作品です。

最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。