『MW‐ムウ‐』
$ゆかいなおっちゃんの映画日記-MW
Amazonより

手塚治生誕80周年の映画化ということらしい。

原作は未見なのですが、数ある手塚作品の中で
生誕80周年の映画にこの作品を選んだのは正解なのだと思う。

というのもこの原作、どうやら漫画ではあるものの、
勧善懲悪ではなく悪役がスポットを浴びていて、
さらに同性愛、残虐な描写、国家への問いかけ、
等々、軽々に扱えないテーマが山盛りのようなのです。

それを一つの作品に纏め上げた手塚治氏は
まさしく漫画界において最先端を走っていた偉人だった。

さて、それでは映画の方のレビューですが、
これはもう主演の玉木宏さんの映画。

徹底的にクールで狂気を孕んだ悪役を彼以外には
表現できないという領域で演じています。

山田孝之くんの神父役もあの優柔不断さはさすがです。

ただ、残念なのはこの二人の関係が
ただの幼馴染になっているところ。

というのは、玉木演じる結城を犯人と知りながら、
協力し続ける理由がよく分からない。

どうやら原作ではこの二人が同姓愛の関係なのだそう。
そうすると神父でありながらすでに神を裏切っている男が
愛する男に引きずられて罪を重ねる心情もすんなり理解できる。

それに映画としても
冒頭にタイでのアクションシーンを持ってきたため
どうしても尻すぼみの印象にならざるを得ない。

それならばいっそのこと、アクションをバッサリ切って
徹底的に心理サスペンスとして描いたほうが
玉木さんの狂気の演技が映えたと思う。

とはいえ、『MW‐ムウ‐』は面白い映画にはなっているので、
手塚ファンでない人にも見てもらいたいと思います。


最後まで読んでくださったあなたに、全てのよき事が雪崩のごとく起きます。

$ゆかいなおっちゃんの映画日記-2012
Yahoo!映画より



ローランド・エミリッヒ監督ですから、
ストーリーに見るべきものはないのは織り込み済み。

どれだけすごい映像を見せ付けてくれるのか
というのが興味の対象でしたが、予想を超えるすごさでした。

この手の大災害映画のCGって、
もう行き着くところまで行ったと思っていましたけど、
その認識は間違いだったといわざるをえません。

この映画の災害シーンのすごさはCMではほとんどわかりません。
見所は崩壊する街中を主人公たちが乗った乗り物を
カメラが追尾して見せるシーン。

自動車、小型飛行機、大型飛行機と
畳み込むように見せ場は変わるのですが、
スケールがどんどん大きくなるだけで基本は同じ。

崩壊が進む中、主人公たちを乗せた乗り物が進んでいくわけですから、
倒壊する建物も遠景から徐々に近づき、
場合によってはその中に入り込んでしまうわけです。

その刹那、
崩れ落ちるビルのフロアにしがみつこうとして滑り落ちる人とか、
倒壊するハイウェイの上で車から飛び出し逃げようとして
倒壊に巻き込まれる人とか、豆粒以下の小さなものが近づくにつれ、
男女の別、その仕草まで見て取れるようになります。

この人の存在が今までの災害映画と違って、
災害の生々しさを感じさせてくれます。

それにこれはうれしい誤算だったのですが、
定型的で物語的には想定内であるものの、主人公一家だけではなく、
その周辺の人たちも丁寧に描かれていること。

金持ちや妾、研究者や政治家などステレオタイプではありますが、
特徴がよく出ていて途中で死んでいく人たちの印象は
けっこう深く残っています。

もちろん、大聖堂が倒壊するほど地盤が動いているはずなのに、
祈っている人たちがその瞬間まで気づかないとか、
大体、あの手の建物があんなふうに横倒しになるかとか
、突っ込みどころは多々ありますが、
そんなことは些細なこととワーワーギャーギャーと
楽しみながら見るのが正解だと思います。

とにかく大画面で見る価値はありますよ。

最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。
キャシャーンの監督紀里谷和明氏の第二回監督作品『GOEMON』
$ゆかいなおっちゃんの映画日記-ゴエモン
Amazonより



今回は制作(つまり金集めね)にも携わっているんだね。

それはともかく『GOEMON』である。
泥棒の話かと思ったらさにあらず、戦国絵巻、歴史の再構築、
かなりスケールのでかい映画になってます。

また紀里谷監督の世界観も健在。
キャシャーンはレトロフューチャーでしたが、
『GOEMON』は西洋と東洋の融合ではなく、
西洋のフィルターのかかった東洋。逆輸入時代劇ですね。

ラストサムライで幕末なのに侍が鉄砲に無頓着だったりするのと同じで、
もっとくだけた映画だけにさらにぶっ飛んでて、ニンジャはスーパーマンです。

さらに脚本がぶっ飛んでます。面白いです。
五右衛門忍者説というのは昔からありますから、
それを取り入れたのは別段新しくも何ともないんですが、
秀吉をあんな風に定義するのは今までに無かった思い切った脚本です。

それだけに惜しい。

いろんなところでつじつま合わせが行われていて、
あまりにもご都合主義というか、それは無いだろうというような
雑というか安易な展開があり、着想の良さがスポイルされています。

本当に惜しい。

まぁ、何でもかんでも台詞でしゃべらせて説明する
キャシャーンよりはずっと進歩していると思います。

『GOEMON』私はこの映画嫌いじゃないです。
有り得ない街並み、有り得ない衣装。でも華やかで魅力的。
確かに脚本の甘さ、突っ込みどころは多いけれど、
テンポもいいし飽きないで見れたので総合的には高評価です。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。