最近みた映画の中で断トツno.1です。
尊厳死・安楽死という重いテーマながら
見終わったあとは穏やかで爽やかな気持ちでいられました。
人生において様々な選択をしてきた意思の強い女性マーサ(ティルダ スウィントン)が末期ガンを患います。
彼女は戦争ジャーナリストで常に死と隣り合わせの生活をしていました。戦地での極限状態を知っているからこそ価値観も寛大。シングルマザーでもあります。
このような女性が、自らの人生をどのように終わらせるかを、自らの意思で決めたいと思うのは至極当然のことだと思います。
・自分であるうちに死にたい
・場所や時期は自分で決めたい
その意思に寄り添う親友(ジュリアン ムーア)
究極の寄り添い方でした。
二人ともの女性に共感しまくり。
演技派ですからね。
『the room next door』
この言葉に、死を覚悟した人の全ての気持ちが
含まれていました。
映画の題名にもなっていたこの言葉が
上映中に主人公の口から出てきた時、
はっとしました。
この言葉にこの女性の「最後の願いの全て」
が凝縮されているだと。
秀逸。
華美な演出、大袈裟な描写が一切なく
淡々とストーリーが進みます。
死は特別なものではなく、日常として存在していると感じられ、素晴らしかったです。
マーサの突き刺さった言葉
「すべての喜びが消えてしまった。もう、何に気を向けたらいいのか分からない」
病気の進行で、大好きな本も集中して読めないし
、DVDも見れない。鳥のさえずりしか聞きたくない、という心情。
ただひたすら寄り添うイングリッド、いつも体のどこかを触れていました。
心も体も寄り添っているよ、と。
***
ここからは映画の死生観とは全く別の話です。
祖母の事を思い出しました。
定期的に老人ホームに会いに行っています。
最近は、表情も言葉も減ってしまいました。
いつからか祖母と会った日はいつも、悲しい気持ちになるのです。
ばあちゃんは何を思って私を見ていたのだろう
何を思いながら毎日施設で過ごしているのだろう、と。
もっと元気なうちにたくさん会いに行けばよかったと、後悔だらけです。
だからこそ。会えた時は、笑顔で喋りかけて、イングリッドのようにひたすら寄り添おうと思いました。
会っている時は手を握りしめようと。
***
ジュリアンムーアの自然体な美しさが際立っていました。年齢と共に美しさの深みが増していた。
ファッションも素敵でした。
原色の赤、緑のチェック、ド派手なピンク、どれも難しいカラーなのに洗練された着こなしで、すぐにでも真似したいと思った。
捨てるつもりの真っ赤なニットを引っ張り出しましたからね。
加齢により派手な色は似合わなくなったと思っていたが、そんなことはないと思いました。
写真はHPから↓
女性の生き様にフォーカスした映画が
好きなのかもしれない。