まだコロナが流行る前
葬儀屋さんで
事務をしていた時の話。
コロナ禍を境に
いまは家族葬が増えているけれど
まだ当時は一般葬が主流だった。
故人様は50代くらいの独身男性。
家族葬で
その方のご両親と
ご兄弟家族のみの参列だった。
ご家族以外の
参列もご弔電もご香典も
すべて断ってほしいとのご要望。
だけど、お通夜が始まる直前に
どんどん人が集まってきて
喪主様にもお伝えしたけれど
結果断れなくなってしまった。
実は故人様は学校の教師で
集まってこられたのは
その生徒さんと父兄の方たち。
家族葬ホールの部屋は小さくて
そんなに人は入れない。
部屋からあふれた生徒さんは
ホールの廊下辺りまで並んでおられ
一人ひとりご焼香して帰られた。
中学生か高校生か
わからなかったけど
涙を拭きながら参列している
生徒さんの様子を見て
つい私まで涙ぐんでしまった。
最初は
働き盛りの男性にしては
寂しいご葬儀だなと
思ってしまったけれど
こんなにも多くの生徒さんが
自主的に最期のご挨拶に
来られたご様子を見て
故人様のお人柄や生き様が
このような光景になったのだなと
胸を打った。
ご両親はどのようなお気持ちで
このご様子を
見守っておられたのだろう?
死ぬ時に
その方の生き様が映し出される。
日々どのように
生きるのかが大切で
それは自分に返ってくるんだなと
目の当たりにした出来事だった。
それは
いまの私が大切にしていることであり
『いっぺん死んでみるワークショップ』で
お伝えしたいことの1つでもある。



