『スサノオと伝説の女神を巡る旅』。
…の前に…。
ス「こ、小春!?!?」
あ「………」
ス「おい、何黙ってんねん。
お前何か知ってるやろ」
あ「えぇ、まぁ…。
恐らく原因はこれかと…」
※荒川祐二と奥さんの昨晩の会話
…。
……。
………。
…………。
ス「…お前の嫁、どないなってんねん…」
(※奥さんは僕のブログの小春を見て描いています。笑)
あ「一部では、『嫁画伯』と呼ばれてますね…。
ちなみに、小さいおじさんはよく見るそうです…」
ス「この絵にお前のフィルターも引っ張られて、
小春がこんなんなってもうたんか…。
あかん!場所移して深呼吸して、
もう一回確認するぞ!!」
あ&ス「スーハ―スーハ―(場所移し&深呼吸)」
…。
……。
………。
…………。
あ&ス「よしっ!!
もう一回確認っ!!」
ス「いやぁ良かった、良かった」
あ「ちなみに、小春はこの絵どう思ってるんでしょうね(笑)」
…それはそれとして(笑)
今日も僕らは、
『歴史の闇に葬られた伝説の女神』
瀬織津姫が鎮まると言われている、
東京は多摩市にある、
『小野神社』に来ていた。
『変なヤツら来たわ』って感じやろうな」
あ「こんな僕らでいいんでしょうか」
ス「まぁヒーローがいつの時も、
必ず格好良いとは限らんからな。
とにかく参拝や」
(二礼二拍手一礼)
あ「…やはり…まだ現れてくれませんね…」
ス「そもそも知識不足過ぎるからな。
だってお前、瀬織津姫の前に、
ここの主祭神『天乃下春命(アメノシタハルノミコト)』とか、
まったく知らんやろ?」
ス「まぁだから古事記だけが、
日本の神の物語ではないということを知らなあかんわな。
『天乃下春命』は、
『先代旧事本記(せんだいくじほんぎ)』と呼ばれる、
もう一つの神話に登場する神で、
開拓や学問の神とされている。
知恵の神『オモイカネ』の息子であるという説もあるからな」
あ「…まったく知らん話」
ス「そういう表には出ていない、
神の歴史を知らんことには、
瀬織津姫の本当の姿は見えてこない」
あ「…なるほど…。
封印を解くと言っても、
一筋縄ではいかなさそうですね…」
ス「そうやな。
ちなみに、
神々を封印する方法って知ってるか?」
あ「封印する方法?
諏訪のタケミナカタさんみたいに、
結界を張り巡らしたりとか?」
ス「それもそう。
あともう一つ大きな封印の仕方がある」
あ「…なんでしょう…?」
ス「それはな…」
ス「レッテルを貼ることやねん」
あ「レッテル?」
ス「まぁ要は、
真実とは違う概念を植え付けるということやわな。
君ら人間でもあるやろ?
『噂話』や『ゴシップ』ってやつよ。
真実の姿は違ったとしても、
テレビやインターネットを通してみたら、
まるでその誤った情報が真実のように思われて、
実際に人々の意識の中で、
その誤った情報が真実になり替わってしまう」
あ「確かに…この現代でも多々ありますね…。
何なら日常生活にでも…」
ス「諏訪のタケミナカタにしてもそう。
古事記の中ではあいつは、
『国譲り』の時に、
雷神タケミカヅチにボコボコにされて、
出雲から諏訪の地に逃げ込んだとされている。
しかし、タケミカヅチが言っていた話も、
実際にタケミナカタの声を聞いた、
お前の感覚も違ったやろ?」
あ「確かに…そうですね…。
実際に感覚に触れれば、
『強大すぎたが故に、封印せざるを得なかった神』
というのがよく分かりますけど…。
それを知らずに古事記だけを読めば、
タケミナカタさんはいつまでも、
『ボコボコにされて逃げ込んだ神』のまま…」
ス「そして、
それが真実となり、人の心の間に広まり続け、
その信仰心を削いでいく。
どうや?
立派な封印やろ」
あ「確かに…。」
ス「イワナガ姫にしてもそう。
きっと今の俺たちには、
そういった封印を解いていく役目があるんやと思うんやけど、
じゃあ瀬織津姫はどういう風に封印されたのか?
って話やねん」
あ「…どう…封印されたのでしょう…」
ス「前回の話でも言ったけど、
瀬織津姫というのは縄文時代から、
日本全国圧倒的な数を祀られていた女神やった。
時の権力者たちは、
その瀬織津姫に新しいレッテルを、
貼らなければいけなかった。
その時選んだ、その道は…?」
あ「…?」
ス「『祓いの神』という新しい役目に、
当てはめることやってん」
あ「…確かに…。
瀬織津姫さんは、
少し調べても、
ほとんどが『祓いの神』として祀られていますもんね」
ス「まぁもう少し詳しく言うなら、
『祓戸の大神四神のうちの一柱』ってな。
出雲大社とかではそういう風に祀られてるな」
ス「いや、決して間違っているわけではない。
当時の権力者たちも考えに考えたんやろうな。
当時、日本全体から圧倒的な崇敬を集めていた瀬織津姫を、
タケミナカタと同じように、
ただ悪いだけのレッテルを貼ってしまうと、
その全国的な怒りと反発は目に余るものがある。
それこそ暴動が起きる。
だからこそ、
最大限の敬意を残しながらも、
徐々に、徐々に時間をかけて、
新しい『祓いの神』としての価値観を広めていった」
あ「…なるほど…」
ス「お前も一回は聞いたことがあると思うけど、
毎年6月と12月の『大祓』の時に唱えられる祝詞の、
『大祓詞(おおはらえのことば)』。
この中にも『瀬織津姫』という言葉が登場するからな」
あ「そうなんですか?
初めて知った…」
ス「この『大祓詩』に瀬織津姫は、
『祓いの神』として登場する。
字面にすると少し難しいけど、
読んでみよか」
*****
■『大祓詩』(※一部抜粋)
高山の末(すゑ)、
短山(ひきやま)の末より、
佐久那太理(
落瀧(おちたぎ)つ
速川(はやかは)
瀬織津姫といふ神、
大海原に持出(もちいで)なん。
*****
ス「簡単に言うと、
山から勢いよく流れるように、
罪穢れを祓い清める、
その水の流れをつかさどる神の名が、
「せおりつひめ(瀬織津姫)」
という意味。
な?
何も知らずにこれだけ聞くと、
何も悪い神のイメージは持てへんやろ?
そうして時を経て、
もう一つの『瀬織津姫』が作られていった」
あ「そう…ですね…。
巧妙というか、何と言うか…」
ス「いや、でも決して、
時の権力者ばっかりを、
悪者にしてはあかんねんで。
さっきも言った通り、
当時日本中で愛されていた女神に対する、
最大限の敬意を残した形での、
新しい選択やってんから。
それに今は今で、
この形の瀬織津姫を愛している人もいる」
あ「そっか…そうですよね…。
決して歴史を否定してはいけない…」
ス「まぁとにもかくにも、
そうして瀬織津姫は今では、
『祓いの神』
として祀られていることが多いけど、
それは完全な真実の姿ではない。
その『真実の姿』を映し出し、
伝えていくことが出来るならば、
イワナガ姫と同じように、
瀬織津姫の封印も解けるやろう」
あ「何だか話がすごすぎて…」
ス「そんな立場に来ているということや。
神は出来ない課題は与えない」
あ「…はい…」
『日本の神を巡る旅』に続く、
『スサノオと伝説の女神を巡る旅』。
そこには途方もなく壮大な物語の予感と、
知られざる神々の歴史の裏側を感じ、
僕は身震いをしてしまった。
伝説の女神を巡る旅は、
続いていく。
…。
……。
………。
…………。