ワタツミ「塩盈玉を使えば、津波や高潮がお兄さんを襲うでしょう。
死にそうになったら塩乾玉を使えば、潮は引きます。
そこまでしたらさすがに観念するでしょう」
山幸彦「えぇ、いいのかなぁ。ありがとう」
こうして海神ワタツミの協力を得た山幸彦だったが、
どこかモヤモヤするのはなぜだろう?
そう、この問題。
誰が悪いかといえば、
この男、
山幸彦がすべて悪いのである。
ワタツミは山幸彦の話だけを聞いて、
小さなことでしつこく怒り狂う器の小さな兄と、
思ってしまっているかもしれないが、
元はといえばこの男が、
「道具を貸してくれ」と言わなければ済んだ話。
さらに、
3年も放置せずにすぐにワタツミに相談をしていれば、
赤鯛も3年間も喉に針を刺したまま生活しなくてよかったのである。
すべての元凶はこの男、山幸彦である。
しかし、海の神ワタツミの力を借りて、
兄への復讐を決意した山幸彦。
しかし、陸地に帰ろうにも方法がない。
そこでワタツミが、
サメたちを呼び集めて言った。
ワタツミ「お前たちの中で、一番早く陸地に行けるのは誰だい?」
その問いかけに一匹のサメが言う。
サメ「俺なら一日で行けるぜ!!」
ワタツミ「本当か。じゃあ任せたぞ。さ、山幸彦殿!!」
そう言って促すと、
山幸彦はサメの背中に乗って地上世界へまっしぐら。
あっという間に陸地に到着してしまった。
山幸彦「ありがとう」
サメ「どういたしまして」
山幸彦「サメさん、これ良かったらどうぞ」
そう言って、
山幸彦は身に付けていた短剣をサメに授けた。
以来、サメの歯は刀のように鋭くなったという。
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