ただでさえあれだけ怒らせていたものを三年間も放置してしまった今、
一体あの怒りはどうなってしまっているのか…。
山幸彦「どうしよう…どうしよう…どうしよう…」
気付けば、ため息ばかりついていた。
そんな山幸彦を心配したのは、
妻であるトヨタマ姫である。
古事記は大概の場合、
女が賢くて、男がいつも余計なことをする(失礼)。
トヨタマ姫は溜め息ばかりついている夫のことを心配して、
父ワタツミにそのことを相談した。
話を聞いたワタツミは、
わざわざ出向いてくれて、
山幸彦に溜め息の理由を聞いた。
すると、山幸彦はポツリ、ポツリと、
ここに来るまでの経緯を話し出した。
兄の釣り針を無くしたこと。
そのことによって兄を激怒させてしまったこと。
シオツチの力を借りてここまで来たこと。
しかし、当初の目的を忘れて三年間も遊び呆けてしまったこと・・・。
そのすべてを話した。
ワタツミ「ふむ、ふむ…」
一通り話を聞き終えたワタツミは、
海中の世界に向かって「おーい!」と呼びかけると、
たちまち大小さまざまな魚たちが集まって来た。
その魚たちに問いかけた。
ワタツミ「お前たちの中に、
山幸彦さんの兄、
海幸彦さんの釣り針を取ったものはいないか?」
すると、魚一同が声をあげた。
魚「そう言えば赤鯛が、
もう何年も喉にトゲが刺さって、
物が食べられないと嘆き悲しんでおります!!」
ワタツミ「なぁにぃ~?」
そうしてワタツミが赤鯛を呼び寄せ、
その喉の奥を覗き込むと、
出てきた出てきた、海幸彦の釣り針が!!
※『笑って、泣いて、神話を学ぶ』、日本の国の始まりと神々のルーツを知る史上最古の連載ファンタジー『アウトロー古事記』、第1話目はこちら☆
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