何という不思議な力だろう?
そう思った侍女は、
その宝玉の入った器を、
宮殿の中に持ち帰った。
宮殿の中では、
海神の娘でもあるトヨタマ姫がいた。
侍女「見知らぬとても美しい方が、泉の脇の桂の木の上にいらっしゃいました。
その方が水が欲しいと仰るので差し出したところ、
このように…」
侍女はトヨタマ姫にことのいきさつをすべて話して、
宝玉の入った桶を差し出した。
トヨタマ姫「これは不思議な力ね」
トヨタマ姫はそう言うと、
侍女の言うことを確かめるために宮殿の外に出た。
そこには侍女が言う通り、
見た目も美しい男神がいた。
山幸彦とトヨタマ姫。
そこで二神の目と目が合った。
これで何回目になるのでしょうか。
古事記得意の一目惚れです。
二神は目と目を合わせた瞬間に、
恋に落ちた。
しかし、
オオクニヌシの時のように早速契りを交わす…とはならず、
トヨタマ姫は急ぎ宮殿の中に戻り、
父である海神ワタツミノカミに外にいる神のことを話した。
ちなみにこの海神ワタツミノカミは、
イザナギとイザナミが国産後に神産みをした時に産まれた、
比較的初期の神である。
ワタツミ「ふむ…」
娘の話を聞き、
連れ立って宮殿から出てみると、
そこには確かに、周りが光り輝くように見た目の美しい神がいた。
と、同時にワタツミは気付いた。
ワタツミ「おい、この御方は天つ神の御子様でいらっしゃるぞ」
トヨタマ姫「なんとまぁ!」
ワタツミ「こんな中にも招かずに、
ずっと放っておくなんて失礼な。
どうぞ、どうぞ!中へ」
山幸彦「え、あ、はぁ…」
驚きとともに、
そのまま山幸彦を宮殿の中に招き入れると、
早速宴が始まった。
何と言っても、天孫ニニギの子どもが来たのである。
こんな特別な客人を精一杯もてなさないわけにはいかない。
早速アシカの皮を何枚も重ねた絨毯を敷き、
その上に山幸彦を王様のように座らせると、
やれご馳走だ、
酒だ、
財宝だ、
美女だ、
踊りだ、
唄だの大宴会!!
正しく竜宮城。
山幸彦「え、あ、こ、こんなのいいんですか!?」
ワタツミ「えぇ、ようこそこんな遠く海の底まで来てくださいました!
どうぞ心ゆくまで存分に海の世界をお楽しみください!!」
最高に楽しい時間が始まった!!
※『笑って、泣いて、神話を学ぶ』、日本の国の始まりと神々のルーツを知る史上最古の連載ファンタジー『アウトロー古事記』、第1話目はこちら☆
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