土曜日はイベントに参加するため、Nusplingen(ヌスプリンゲン)に行ってきました。
ヌスプリンゲンの化石採掘をしている博士(シュトッガルト自然史博物館)のレクチャーを聞きながら、ジュラ紀後期のラグーンを歩く、というイベント。
参加費無料。
13:00 ヌスプリンゲン市役所前に集合。
化石好きな中高年が15名集まり、今日は最年少でありました。
一旦車で谷を登り、平坦な化石トレイルを歩きます。
いつも思うけれど、平均的ドイツ人のハイキング装備レベルが高い。
田舎なせいか、ハイカットのハイキングシューズ(アルパイン仕様)を持っていないドイツ人にあったことがありません。
ヌスプリンゲンの石灰岩を専門に採掘・研究する博士のお話はマニアックで興味深いものでした。
ドイツ語で全て理解することができないことを今日ほど悔やんだ日もありません。
19世紀にリトグラフで有名なバイエルン地方のSolnhofen(ゾルンホーヘン)に類似した石灰岩に着目し、同じようなリトグラフ・ビジネスができないか考えた企業により発掘作業が始まったらしい。
結局のところ、ゾルンホーヘンと比べてリトグラフの繊細な作業に適した石灰岩を採掘することはできず、リトグラフビジネスは成り立たなかった。
ゾルンホーヘンのような大規模な採掘場が全くないのも納得でありました。
一方、ジュラ紀後期の魚類やラグーンを取り囲む陸地に発達した植物など、当時の地形や環境を裏付けする化石が豊富に見つかるヌスプリンゲンの学術的価値は当時から高く評価され、現在ではラグーン全体が保護区となっています。
一般用採掘場。
トレイル後半にはこのような岩石があちらこちらで地表に顔を出しています。
これは、この場所がジュラ紀後期のラグーンを形成する陸地であったことを示すエビデンス。
トレイルの要所要所にこのような説明書きがあり、博士が解説してくれました。
かつての海の底。
この日は野外の暑さが非常につらかった。
でも、中高年はみんな元気。
学術用に管理された採掘場。
普段は立ち入り禁止ですが、博士と一緒になかに入り解説を受けました。
ヌスプリンゲンの石灰岩層はそこまで厚いものではないらしく、この下あと数メートルほどらしい。リトグラフに適さない理由のひとつである平均的ではない厚みが特徴的です。
厚みのある層は、ある時期に海底に大量の泥が入り込んで短期間に形成されたものであるらしく、前後の石灰岩よりも硬度が高いらしい。
ゾルンホーヘンと類似の石灰岩が露出するヌスプリンゲンですが、現在では指標化石であるアンモナイトからゾルンホーヘンよりも50万年程古いものであることが分かっています。
下の写真はゾルンホーヘンの露頭。
博士が解説する後ろで、おじさんが石を見つけてガンガン割ったり(←コレはうるさくて迷惑だった)、夫婦で記念撮影しており、あげく振り返って今説明したばかりのことをまた聞いちゃう。というドリフのようなシーンもありました。
一周5kmのトレイルを3時間近くかけて歩き、なかなか疲れましたが、とってもおもしろかった!
トレイルの後はヌスプリンゲンの村に戻り、化石が展示される教会に向かいました。
シュトッガルト自然史博物館の所蔵するヌスプリンゲン標本の一部が展示されています。
(期間限定のイベントであり、祝・日曜日のみ開場。)
蟹のハサミ。
甲殻類の進化の完成度高すぎる。
魚の末期。
傷ついた魚が海底の泥の上をバタバタと移動して(左側に生痕化石あり)、泥に潜り込んで顔だけ出したところで息絶えた(顔だけ高さが違う)。というドラマ。
アンモナイトの上顎(左)、下顎(右)、うんこ(中央)。
下顎は印象化石をいくつか見つけましたが、こんなに大きいやつでしかもポジは初めて見ました。
これくらいだとアンモナイトは15cmくらいの大きさになるらしい。顎でかい。
5時間みっちり楽しんでイベント終了。
教会を後にしました。
ヌスプリンゲンに関する本を入手したので、主に写真を見て楽しもうと思います。
すごく楽しい時間を過ごせたので、イベントを教えてくれた友人と通訳してくれた夫に感謝であります。
いつかはこんな大物を発見してみたいものです。