昨日の風も強かったですが、今日のはさらに強烈で・・・玄関前の棚の盆栽の鉢が二つ落ちて割れてしまいました。・・・ショックです。

 

が、・・・感想続けます。

百々世草さん、前後してしまってごめんなさい。

 

13.啓蟄や赤子の声の透き通る      百々世草

「啓蟄」という季語に対して「赤子の声の透き通る」というフレーズが効いているように思いました。「啓蟄」って音がするような季語ってわけではありませんが、蠢き出すものと、何かしら別の音っていいと思いました。育休のパパの寝不足山笑う

「育休のパパ」という上五がいかにも現代っぽいのと、「山笑う」はなかなか絶妙な季語を持ってこられたなぁ・・・と感心した一句でした。

 

28.利根川の水の煌めきつくづくし   カリン

利根川下流域にお住まいのカリンさんならでは・・・の句でした。自分も時々、多分お近くの利根川の河川敷沿いの道を自動車で走るのですが、まさにこの景・・・といった感じです。勝手な感想ではございますが、「大利根川(おおとね)」と読ませた方が下流域の堤防やら河川敷やらの想像が広がるかと思いました。何せ利根川・・・長いですから・・・。春駒や遠き稜線幾重にも 掲句、「春駒」が効いてますね。今回、自分も含め山の稜線を詠んだ句が幾つかありましたが、「春駒」で開けた牧草地の明るい風景が浮かび上がりました。

 

30.冬菊や侵食進む敷鉄板       粋子

かなり前のことですが、水戸線の笠間の辺りだったかなぁ・・・、訪問先の会社の手前に町の鉄工所・・・みたいな会社があって、同じ景を見ました。配合はなかなか面白いと思いましたが「敷鉄板」という表現が・・・何かもっといい言い方がないのかしら・・・と思ってしまいました。ここは「敷」を外して語順を入替え、鉄板の浸食進み冬の菊 くらいでいかがでしょう? 竹垣を斜めに過る雨水かな この句の場合、「雨水」という時候の季語がうまく効いてないように思いました。「竹垣を斜めに過る雨」という景があって、今ちょうど「雨水」の時期です、・・・と言いたいのだろうとは思いましたが、・・・「斜めに過る」が雨にかかってしまうのがどうかと思ってしまうんでしょうねぇ。・・・「竹垣の一丁ほども」・・・とか、長さに換えると面白くなるのでは・・・と思いました。

 

32.蛇穴を出づ新しきパスワード    おみそ

掲句、今回の特選句とさせて頂きます。粋子さんのコメントの通りかと。あとは、やはり二物衝撃という、全く関係ないものがぶつかり合うこの感覚がいいと思いました。あと「新しきパスワード」という措辞、現代ならでは・・・の言葉と思いますし、何でもかんでも「パスワード」が必要な時代になってしまいましたものねぇ。春雷やさらりと余命告ぐる医師 掲句もなかなか視点の面白い句と思いました。自分の親父の場合も、最期の入院した際に医師にさらりと言われました。病状の加減と、薬の匙加減で・・・それまでに心の準備や整理するものはしときなさいよ・・・と受け取ったのを思い出しました。

 

34.根子岳の空喰む如く花の道     円路

さっそく「根子岳」・・・検索してみました。なるほど・・・と思いましたね。ただ、「花の道」ですが、きっと作者は、春の野の花のことを詠まれているのだと思いますが、「花」は「桜」というイメージが濃い分どうなんだろう?と疑問が生まれてしまいました。鳥雲に彩りを増す干拓地 こちらも「彩りを増す干拓地」のフレーズですが、野草が芽吹きだした・・・ってことでしょうか?・・・だとしたら「草萌ゆる」と「干拓地」の広さとか様子とかくらいにスッキリさせたほうがよろしいのでは・・・?と個人的に思いました。

「姫岐阜」の句は、ご自身が説明してくださっているのでご覧下さい。

姫岐阜を見送るところ蕗の薹(再) | 回文とチョウのブログ (ameblo.jp)

 

35.煎餅のぱりりと割れて春三日月   ハイジ

こういう何気ない生活の一コマの句、いいですね。「ぱりり」の擬音語と「春三日月」の取り合わせが良かったと思います。四トンの車体弾ませ光る風 こちらも斬新な視点だなぁ・・・と思いました。「光る風」がいいか「風光る」がいいか・・・これは好みもあるかとは思いましたが、個人的には後者がいいと思いました。「風光る」の方がオーソドックスですが、やはり言葉の響きと、光った風がトラックの後ろに流れていく感じがあるように思ったんですよね。