去る6月13日、「楓の会吟行会」の帰り道、「アンドリュー・ワイエス展」を観に、上野の東京都美術館に出かけた。このアメリカ人画家の回顧展に出掛けたのは、そのテーマが「境界」だったからだった。

パンフレットを一部引用すると、『(彼は、)第二次世界大戦後に脚光を浴びたアメリカ抽象主義、ネオ・ダダ、ポップアートといった動向から距離を置き、ひたすら自分の身近な人々風景を描き続けました。その作品は眼前にある情景の単なる再現描写にとどまるものではなく、作家自身の精神世界が反映されたものとなっています。彼の作品には、窓やドアなど、ある種の境界を示すモチーフが数多く描かれています。境界は・・・ワイエスにとってはより私的な世界との繋がり、あるいは境目として機能しています』とあった。

自身の内面と外面(他人との付き合い方)、生と死・・・の境目・・・など・・・考えさせられることの多い展示だった。

私は、ヘミングウェイの「老人と海」の後書きの言葉を思い出した。そこには、アメリカの文学(芸術)は大陸的な平面的な広がりを持つものが多いが、ヘミングウェイは、一人の老人の闘いという、より私的だが、主人公の歴史(時間的深さ)をはじめて描いた・・・ようなことが記されていた。

若い頃は、自分もアンディ・ウォーホルのようなポップカルチャー的なものを好んだが、最近は内面を深く掘り下げていくものの方が好ましく感じられる。それだけ年をとったのかもしれない。

描かれているのは、窓や扉の先の世界、内なる(屋内)影と外の世界の光・・・。

今月、自身のブログ句会でやっているテーマ・・・コントラスト・・・に相通じるものがあるようにも感じられた。

 

もう少し早く観に出かけたかった・・・という、ちょっとした心残りと、彼の絵画を観た上で、それを消化しきるのにどれだけの時間を要するだろう・・・というのが、現時点での感想。

 

興味を持たれたお近くの方は是非お出かけしてみては・・・。