簡単に言えない言葉
彼は就職活動に失敗した。
知り合ってから6年以上経つのに、今までで一度も聞いたことのない声だった。
とても低くて暗い声。
絶望を連れた声。
…凹んでる。
言われなくても分かるほど、彼は凹んでいた。
きっと、私が思っている以上に彼は落ち込んでいたに違いない。
電話の向こうで彼がどんな顔で私に電話してきているのだろう…。
下に頭を垂らして、足元を見つめ、焦点の定まらない瞳。
声を聞くたびに、想像する彼の顔を思うだけで辛かった。
いつもなら笑って、「大丈夫だよ!」って言えたかもしれないけど
この時は簡単に口からこの言葉を出すことが出来なかった。
彼の事を思うたびに、この言葉を出すことを躊躇してしまった。
彼の事が心配で心配でたまらなかった。
今すぐ彼に会いに行きたい。
何が出来るかわからないけど、会って彼の顔を見て、彼の思いを共有したかった。
どんなに遅い時間になっても構わないから、会いたかった。
彼を一人にさせておきたくなかった。
でも、彼は「会えない。今はまだ、会えない。」
私自身を拒まれているようで、すごく寂しかった。
黒く染められていく中で募る想い
最近は、幸せ続きだったはずなのに。
いつまでも続くと信じていた幸せは、
白く霞んで目に映るのに、掴むことが出来ない霧のように感じた。
急な出来事だった。
あまりにも突然で、始めは何をどうして良いのか分からなくなった。
むしろ、私は彼の彼女でいることが嫌になった。
彼女って一体なんなんだろう。
彼にとって私はどんな存在なのだろう。
もしかして、私には彼を支えていくことなんて出来ない。
彼女でいる資格がないのかもしれない。
一気に押し寄せる疑問と不安が私を黒く染めていく。
そんな風に思うのと同時に、私は彼に何かしてあげたい。
彼の支えになりたい。
付き合っているのだから、私にしか出来ないことをしてあげたい。
彼の為に出来ることを。
彼を想って何が出来るのか、探していた。
初めて感じたふたりの夢を
思い出した。
彼との結婚なんて全く考えて居なかった頃の話。
彼にずっと昔、結婚するならいくつでしたい?と聞いた事があった。
私は、現代の状況から考えて、妥当に男の人は28~32歳くらいかな、なんて思ってた。
けど、彼の口から出たのは「25歳くらいかな…」って。
えっ!?はやっ!!(#ノ゚Д゚)ノ ・゚・┻┻゚・:.。o
びっくりした。驚いた。そんなに若い歳で結婚しようと思ってるなんて意外だった。
3年付き合ってきて、彼の事を見てきているつもりだった。
彼は、社会に出て、十分にしっかりと自分に自信をつけて、安定した生活を送れるようになって、
相手のことまで責任取れるようになってから、それから結婚の事を考えるようなタイプだと思っていた。
だから、私は私でたとえ一般よりも結婚が遅れたって良い、
10年くらいの長期間の恋愛になっても良いって覚悟してた。
意表を突かれた感じだ。
でも、彼が25辺りで結婚を考えているというから、
私の中にひとつ、夢が出来たんだ。
それは、あなたと25歳で結婚するということ。