YNSA(山元式新頭針療法)による難病治療 難病改善人冨田祥史(とみたよしふみ)のぶろぐ
冨田は日本の鍼灸師として初めて宮崎の山元病院での山元式新頭針療法YNSAセミナーを修了しました
山元敏勝先生と加藤直哉先生の山元式新頭針療法YNSAのご指導を受け、大阪でYNSAを実践している冨田祥史のブログです。

YNSA(山元式新頭針療法)を使って片麻痺、パーキンソン病、リウマチ、アトピー、難病治療、がん、脳神経疾患、耳鳴り、めまい、突発性難聴、耳管開放症あらゆる症状を改善します

山元式新頭針療法YNSAの講演実績多数。
難病治療、片麻痺、パーキンソン病、リウマチ、アトピー、不妊症、自律神経失調症の東洋医学、YNSA治療の講演多数。
2019、2023、2025 アメリカサンフランシスコ YNSA講演 
2023 台湾YNSA講演 
2024 イタリア神経鍼灸国際デー講演

書籍
医療従事者のための山元式新頭鍼療法YNSAの実践
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YNSA症例集
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山元式新頭鍼療法YNSAのDVD
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講演依頼はhttp://ynsa-japan.com/のお問い合わせフォームからご依頼下さい。
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・8月17日(月)  午後残り1枠

・8月20日(木) 空きなし

・8月24日(月) 午前・午後若干名
・8月29日(土) 午後残り1枠
・9月11日(金) 午後残り2枠

・9月12日(土) 午後残り1枠
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康祐堂鍼灸院より確認のうえ、
お時間を調整して予約確定のご連絡をいたします。

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康祐堂鍼灸院

 

大阪市西成区や堺市などを中心にリウマチやパーキンソン病、耳鳴り、めまいなどの自律神経系のお悩み解決なら当院【康祐堂あけぼの漢方鍼灸院】へおまかせください。ニヤリスター

 

医療従事者のための「熱中症対策・体温管理」の臨床知見アップデート

首や脇を冷やすだけで本当に十分?【衝撃】熱中症対策の常識が変わる「人間ラジエーター」の驚愕エビデンス

先生方、日々の臨床お疲れ様です。冨田祥史です。

「熱中症予防には首や脇、太ももの付け根(大腿動脈)を冷やせばOK!」

そう信じていませんか?

もちろん、首や脇の下を冷やすのも間違いではありません。応急処置としては一定の効果があります。しかし、実は「それだけでは不十分」であり、効率という面ではベストな選択肢ではないということが、近年のスポーツ医学や軍事医学の厳密なエビデンスで明らかになってきました。

今回お伝えするのは、これまでの熱中症対策の「常識」を覆す、手のひら〜肘上を使った「人間ラジエーター(AVA血管冷却)」の臨床知見です。

なぜ首や脇だけでは不十分なのか? なぜ「手から肘の上まで」を冷やすと劇的に体温が下がり、パフォーマンスが跳ね上がるのか? SNSやブログ、院内掲示でもそのまま使える衝撃のエビデンスと実践プロトコルを、論文タイトル付きで徹底解説します!

 

1. なぜ「首・脇だけ」では不十分なのか?

── 首は「脳を騙す」、脇は「冷えにくい」という落とし穴

「太い血管が通っている首や脇を冷やすのが一番効く」というのは、一見すごく理にかなっているように思えますよね。しかし、解剖生理学的に見ると以下のような意外な弱点が存在します。

  • 首を冷やす落とし穴(脳の“誤認”リスク)

    首筋(頸動脈)のすぐ近くには、脳(視床下部)へ温度情報を伝えるセンサーが集まっています。首を冷やすと「脳が冷やされて快適(主観的な涼しさ)」は一瞬で得られますが、体は「あ、もう冷えたんだな」と勘違いし、発汗や血管拡張といった自律的な放熱反応をストップさせてしまう危険性があります。つまり「気持ちいいけれど、深部体温(直腸温など)は思ったほど下がっていない」という事態が起こり得るのです。

  • 脇の下・鼠径部の落とし穴(断熱材と表面積の壁)

    脇の下や太ももの付け根は、皮下脂肪や筋肉という「分厚い断熱材」に覆われています。さらに、体のくぼんだ部分にあるため外部と接触する表面積が小さく、物理的な熱交換器(ラジエーター)としては決して効率が良くありません。

では、身体のどこを冷やせば「体内の熱」を最も安全かつ最速で外部に逃がせるのでしょうか?

その答えが、「手〜前腕(肘の上、上腕二頭筋直下まで)」です。

2. 身体の熱を物理的に引っ張り出す「人間ラジエーター(AVA)」の正体

手のひらや指先、そして前腕部の皮膚直下には、毛細血管を介さずに動脈と表在静脈をダイレクトにつなぐ特殊なバイパス血管「AVA(動静脈吻合:Arteriovenous Anastomoses)」が網の目のように張り巡らされています。

【AVA血管による超効率冷却メカニズム】
暑熱環境下(深部体温の上昇)
  ↓
体が熱を逃がそうと「AVA(動静脈吻合)」を最大全開!
  ↓
温かい動脈血が、手・前腕の皮膚直下(表在静脈網)へ大量になだれ込む
  ↓
ここを「10℃〜17℃の冷水」に手〜肘上までドボンと浸す
  ↓
通過する血液が直接冷やされ、冷たい静脈血となって体内の深部(コア)へ還流
  ↓
【結果】深部体温が安全かつ最速でノックダウン!

さらに、手や前腕は筋肉や脂肪が薄く、体積に対して表面積が非常に大きい(優れた表面積比率)という特徴を持っています。肘の上までしっかり浸すことで、なんと全身の表面積の約13%をカバーでき、車のラジエーターと全く同じ原理で効率よく熱を排出できるのです。

3. 世界の研究が証明!臨床で絶対知っておくべき3大論文エビデンス

この「手・前腕冷却」の圧倒的な効果は、軍事医学やスポーツ科学の厳密な比較実験で証明されています。論文タイトルと合わせて、その驚くべきデータを解説します。

論文①:米陸軍が実証!新兵訓練の熱中症を劇的に減らした研究

論文タイトル:

"Extremity cooling for heat stress mitigation in military and occupational settings"

(軍事および職業環境における熱ストレス軽減のための四肢冷却)

著者・掲載誌: DeGroot et al. / Journal of Thermal Biology, 2013年

【解説とポイント】

米国陸軍環境医学研究所(USARIEM)などが主導した過酷なレンジャー訓練等での研究です。兵士たちの「手や前腕(四肢)」を冷やすシステム(AICS)を導入した結果、熱中症の発生率が劇的に減少しました。これにより兵士の離脱が防げただけでなく、医療コストや訓練損失日数を大幅に削減できることが証明され、米軍の公式プロトコルとして採用される決定打となりました。

論文①-2:米陸軍レンジャー訓練で検証!重症化防止と1人あたり1,719ドルの治療費削減効果

論文タイトル:

"Impact of Arm Immersion Cooling During Ranger Training on Exertional Heat Illness and Treatment Costs"

(レンジャー訓練中の腕浸漬冷却が労作性熱障害および治療コストに及ぼす影響)

著者・掲載誌: DeGroot et al. / Journal of Occupational and Environmental Medicine, 2015年

【解説と具体的な数値データ】

過酷を極める米陸軍レンジャー訓練校において、腕浸漬冷却(AICS)を導入した際の効果と経済的インパクトを検証した実証研究です。過酷な訓練下でAICSによる迅速な一次予防介入を行った結果、以下のような定量的アウトカムが示されました。

  • 重症化率の有意な低下: 現場での早期冷却対応が奏功し、労作性熱障害(EHI)の深刻な重症化リスクを顕著に抑制。

  • 医療費の劇的削減: 傷病者1人あたり平均約1,719ドル(日本円で約25万円以上)の医療治療費カットを達成。

  • 運用維持と費用対効果: 高価な特別冷却設備を搬入しにくい野外・過酷環境下においても、手軽なバケツ水等を用いたAICSが重症化を防ぎ、かつ経済的コストを大幅に節約できる最も有効な一次予防策であることを証明。

現場での導入のしやすさと、得られる予防医学的・経済的メリットが極めて高いことが数値で示されています。

 

 

 

論文②:ハーフタイムのわずか15分で運動パフォーマンスが激変!

論文タイトル:

"Cold water immersion of the hand and forearm during half-time improves intermittent exercise performance in the heat"

(ハーフタイム中の手および前腕の冷水浸漬は暑熱下における間欠的運動パフォーマンスを向上させる)

著者・掲載誌: Iwahashi et al. / Frontiers in Physiology, 2023年

【解説とポイント】

気温33℃・湿度50%という酷暑環境下で自転車スプリント運動を実施。前半終了後の15分間のハーフタイムに「何もしないグループ」と「15〜17℃の冷水に手・前腕を肘まで浸したグループ(COOL群)」を比較しました。

結果は歴然で、COOL群は後半の運動パフォーマンス(パワー出力)が有意に向上! 直腸温(-0.54℃)と平均皮膚温(-1.86℃)が急速に低下し、心拍数や主観的な「きつさ(RPE)」までも劇的に緩和されました。たった15分手腕を冷やすだけで、バテた身体が劇的に復活することが数字で示されたのです。

論文③:【決定打】「首冷却」vs「手・前腕冷却」どっちが勝つ?

論文タイトル:

"Effect of Half Time Cooling on Thermoregulatory Responses and Soccer-Specific Performance Tests"

(ハーフタイムの冷却が体温調節反応およびサッカー特異的パフォーマンスに及ぼす影響)

著者・掲載誌: Zhang et al. / Montenegrin Journal of Sports Science and Medicine, 2014年

【解説とポイント】

暑熱環境で45分走った後、15分間の休息時に「何もしない(日陰休み)」「首冷却」「前腕・手冷却」の3グループで回復効果を徹底比較しました。

評価項目(15分休息後) 何もしない 首だけ冷却 前腕・手冷却
走破距離 (YYIR1テスト) 654 m 814 m (+24%) 869 m (+33%UP!)
発汗率の抑制 1.2 L/h 0.8 L/h に抑制 0.8 L/h に抑制
主観的な快適さ 低い 一瞬で「涼しい!」 じわじわ効いてくる

★この論文から導き出される臨床知見:

首冷却は脳のセンサーに直接届くため「とにかく一刻も早く不快感を取りたいとき(主観的快適性)」には最強です。しかし、身体全体の深部体温を下げ、脱水を防ぎ、バテた体力を本質的にリカバリーさせたいなら「前腕・手冷却」が圧倒的に勝るということが明確に示されています!

4. 米陸軍「AICS」プロトコルと「冷やしすぎ」の罠

米国陸軍(USARIEM)が定めているAICS(Arm Immersion Cooling System)の公式水温基準は以下の通りです。

水温設定 推奨時間 特徴と目的
1.7℃ 〜 6.7℃ (氷水) 3 〜 5分 緊急時の急速冷却
7.2℃ 〜 12.2℃ (冷水) 5 〜 8分 中〜長期の放熱介入
10℃前後 (黄金の適温) 10 〜 15分 AVA血管の開通を最大化

※1.7℃未満の超極低温は凍傷(しもやけ)リスクがあるため厳禁!

⚠️【閲覧注意】「氷水でキンキンに冷やす」と逆効果!?

「早く冷やしたいから」と、氷を山盛り入れたキンキンに冷えた氷水(1.7℃以下など)に手を突っ込ませるのは絶対にNGです!

冷たすぎる強い刺激が加わると、皮膚の冷受容器が反射を起こし、「反射性血管収縮(Reflex Vasoconstriction)」を引き起こします。AVAを含めた表在静脈がギュッと収縮して血流が止まってしまうため、冷気が体内まで届かなくなり、かえって熱が体内に閉じ込められて熱中症を悪化させる「放熱トラップ」に陥るのです。

「10℃〜15℃の冷たすぎない水」で血管を開かせたまま、ゆったり熱交換をさせるのが臨床における最大のコツです。

5. 院内・ご家庭・現場で今すぐできる3つの応用アイデア

「大きなバケツや冷水を用意できない…」という場合でも大丈夫。以下のアイデアで手軽にAVA冷却が可能です。

  1. ポータブルクーラーボックス冷却

    キャンプ用のポータブルクーラーボックスに水道水と少量の氷を入れて10〜15℃(触って「冷たいけど痛くない」くらい)を作ります。そこに肘の上まで手を10分間差し込むだけ。水がこぼれず冷たさが長持ちするため、往診先やスポーツ現場に最適です。

  2. 「ミストスプレー」+「ハンディファン」の蒸散冷却

    手〜前腕、首筋に水をスプレーで吹きかけ、扇風機の風を当てます。日本救急医学会のガイドライン2024でも、この蒸散冷却(Evaporative Cooling)は体に負担をかけず、毎分約0.15℃〜0.35℃のペースで深部体温を下げる極めて優れた方法として推奨されています。

  3. 「12℃キープ専用保冷剤」の活用

    最近では12℃前後で温度が一定に保たれる特殊な手のひら用保冷材も市販されています。これなら血管を収縮させずに、歩きながらでも安全にAVA冷却が行えます。

6. 冨田からのメッセージ ── 「首だけ」から「手腕冷却」へ、認識をアップデートしよう!

東洋医学において熱中症は「暑邪(しょじゃ)」が侵入し、気血や津液を消耗させる「暑病」と捉えられます。私たち鍼灸師は、鍼灸施術によって自律神経や体液の循環を整える素晴らしい術を持っていますが、それに加えて最新の西洋医学・運動生理学的な放熱エビデンスを養生指導として患者様に伝えることが大切です。

院内の患者様や地域の方々、スポーツをしているお子さんや保護者の方には、ぜひこう教えてあげてください。

「スッキリしたいときは首を冷やすのもOK。でも、体の中の危険な熱をしっかり逃がしてバテを防ぎたいときは『手のひらから肘の上まで』を10〜15℃の冷たすぎない水に10分浸すのが一番効きますよ!」

正しい知識を持ったヘルスプロモーターとして、この夏、多くの患者様や選手を熱中症から守っていきましょう! 

 

【満員御礼】広島YNSAセミナー

広島のYNSAイントロダクションセミナーでは、熱中症の症状としても一般的な頭痛に対し得、実際の頭痛の治療点のポイント、頭痛と関係の深い不眠や、不安感に対する頭皮鍼の治療点についてもお伝えします!

 

静岡YNSAセミナー(パーキンソン病の頭皮鍼について詳しくお伝えします)

 

 

北海道YNSA2日間セミナー 今年は経筋治療に対応した応用編は北海道でのみ行います。YNSAの全体像について詳しくお伝えします!

 

 

 

 

【科学で命を守る】アメリカ陸軍に学ぶ、最強の熱中症予防・冷却バイブル

 

【科学で命を守る】アメリカ陸軍に学ぶ、最強の熱中症予防・冷却バイブル

近年、地球温暖化や「地球沸騰化」とも呼ばれる猛暑に伴い、熱中症への対策は一刻を争う重要な課題となっています。当院では、東洋医学的な日々の養生に加え、西洋医学的・生理学的な科学的根拠(エビデンス)に基づいた熱中症予防を強く推奨しています。

今回は、皆様の健康を守るための啓発記事として、アメリカ陸軍が実際に導入している非常に効果的な冷却術「AICS」を参考に、「なぜ手や前腕・上腕近くまでを冷やすべきなのか」「冷却が脱水を防ぐ仕組み」「携帯扇風機で本当に狙うべき冷却スポット」について、最先端のエビデンスを交えて分かりやすく解説します。

医療従事者の皆様にとっても、現場での指導や、患者様向けの解説動画の構成としてそのままご活用いただける内容となっております。

 

1. なぜ手・前腕(肘の上、上腕近くまで)を冷やすべきなのか?

── 体温を劇的に下げる「天然のラジエーター」の仕組み

一般的な熱中症対策では「首・脇の下・鼠径部(足の付け根)の太い血管を冷やす」ことがよく知られています。しかし、運動パフォーマンスの維持や、より迅速な体温上昇の抑制において、近年世界的に最も注目されているのが**「手・前腕(肘までのエリア)」の冷却**です。

人間の手のひらや指先、前腕部には、「動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう:AVA)」と呼ばれる特殊なバイパス血管が豊富に存在します。 通常、動脈からの血液は毛細血管を通って静脈へと戻りますが、暑い環境下ではこのAVA(バイパス)が大きく開き、毛細血管を通さずに大量の血液を皮膚のすぐ近くにある静脈へと直接流します。

このAVAと、肘から上腕へと繋がる表在静脈は、いわば「体内の熱を外に逃がすための特殊な熱交換器官(人間ラジエーター)」の役割を果たしています。

  • 体温低下のメカニズム: 冷水(10℃〜17℃程度)に手と前腕(肘の上まで)を浸すと、AVAを通る大量の血液が効率よく直接冷やされます。この冷やされた血液が、上腕を通る静脈を経由して身体の深部(コア)へ一気に戻ることで、深部体温(直腸温など)を急速に下げる、あるいは急激な上昇を抑制することができます。
  • 皮膚温と深部体温を同時に下げる強み: 冷たい飲み物を胃に入れる「体内冷却」だけでは、深部体温だけが下がって皮膚温度との差(温度勾配)が小さくなり、その後の放熱能力が低下してしまいます。しかし、手や前腕の外部冷却は、皮膚温度と深部体温の両方を同時に効率よく下げるため、その後の運動中や活動中も熱を外に逃がす高い能力を維持できます

2. アメリカ陸軍推奨の冷却術「AICS」とは?

── 「低コスト・高効果」を実現する現場の知恵

アメリカ陸軍環境医学研究所(USARIEM)などの研究によって開発され、現在新兵訓練や過酷なレンジャー訓練などの現場で標準化されているのが、AICS(Arm Immersion Cooling System / Station:腕浸漬冷却システム)です。

  • AICSの基本プロトコール: 衣類(ジャケットなど)を脱いだ状態で、素手と前腕(肘の上まで、可能な限り深く)を冷水に3〜5分間(水温が約1.7℃〜6.7℃の場合)または5〜8分間(約7.2℃〜12.2℃の場合)浸します
  • なぜ「水」なのか?: 水は空気中に比べて熱を伝える効率(熱伝導率)が約25倍も高いため、単に日陰で風に当たる(受動的冷却)のに比べて、20倍以上の効率で体内の熱を外に奪い取ってくれます
  • 【超重要】冷やしすぎは逆効果!: 「早く冷やしたいから」と過剰に氷を入れてキンキンに冷やしすぎることは、陸軍のガイドラインでも厳禁とされています。水温が下がりすぎると、脳が「極寒の環境だ」と勘違いし、皮膚の血管を収縮(反射性血管収縮)させて血流を止めてしまいます。その結果、せっかくの冷却水が深部に届かず、体内に熱が閉じ込められてしまうため、水温は10℃〜15℃程度(冷たすぎない冷水)に保つのが最も効果的です。

3. 冷却が防ぐ「脱水症」

── 発汗を約33%抑制し、血液循環を守る生理学

熱中症の恐ろしい病態の一つが、水分摂取不足や大量発汗による「脱水」です。体重のわずか2%の水分が失われるだけで、心血管系や体温調節能力が著しく低下し、運動パフォーマンスや認知機能はガタ落ちになります。

手や前腕、首などの局所冷却(Active Cooling:能動的冷却)は、この脱水症を直接的に予防する強力な手盾となります。

  • 発汗量を抑えて水分を温存する: 暑熱環境下での休憩中に手・前腕や首を積極的に冷却すると、体表の温度センサー(冷受容器)が刺激され、脳(視床下部)への熱ストレス信号が和らぎます。 ある厳密な比較実験によると、ただ日陰で座って休む(Passiveな)休憩に比べ、局所冷却(手・前腕、または首)を行った場合、全身の発汗率(汗をかくスピード)が「1.2 L/h」から「0.8 L/h」へと、なんと約33%も有意に減少しました。
  • 脱水率の大幅な減少: 発汗が抑制された結果、休息後の脱水率(体重減少率)も、何もしない休息(2.1%)に比べ、手・前腕冷却(1.4%)や首冷却(1.5%)では、危険ラインである2%未満にしっかりと抑えられていました
  • 心臓への負担を減らす: 皮膚温度が下がると、暑さで末梢(皮膚)に逃げていた血液が再び心臓や活動筋肉へと適切に還流するようになります(中心血液量の回復)。これにより、無駄な心拍数の急上昇(心臓のバクバク)が抑えられ、水分不足によってドロドロになりかけた血液循環の破綻を防ぐことができます。

4. 携帯扇風機で冷やすべき効果的な場所は?

── 「主観的な不快感」と「物理的体温」を賢くコントロールする

近年、夏の必須アイテムとなった携帯扇風機ですが、ただ顔に風を当てるだけでは、熱中症の予防効果としては不十分です。エビデンスに基づき、最も効果を高めるアプローチをご紹介します。

  • ① 首(頸動脈周辺): 「主観的な涼しさ」を最速で取り戻す: 首冷却は、深部体温を物理的に下げる能力では手のひら冷却に一歩譲るものの、「涼しい」「快適だ」という主観的な熱感覚(Thermal Sensation: TS)を圧倒的なスピードで改善します。 首の冷却を行うと、冷却開始わずか5分後から熱感覚が劇的に改善します。これは、首が脳(視床下部の体温調節中枢)に最も近く、温度センサーを直接「だます(リセットする)」ことができるためです。主観的な熱ストレスが和らぐことで、脳の自己防衛による極度な疲労感(ペーシング)が取り除かれ、すっきりとした意識を保ちやすくなります。
  • ② 手のひら・前腕(AVAエリア): 「物理的な放熱器」として冷やす: 携帯扇風機を使う際は、「濡れたタオルやミストで手のひらや前腕を濡らし、そこに扇風機の風を当てるという方法が、物理的な体温低下に極めて有効です。 水分が風によって気化する際の「蒸散冷却(Evaporative Cooling)」は非常に強力で、濡れた皮膚の上を風が通ることで、AVAの熱交換効率が劇的に跳ね上がります。

💡 結論:携帯扇風機の賢い使い方

  1. 「頭をシャキッとさせ、今すぐ涼しくなりたい」とき: 濡らした冷たいタオルを首に巻き、そこに携帯扇風機の風を当てて、脳への温度信号をリセットしましょう。
  2. 「身体の中にこもった熱を物理的に逃がし、脱水を防ぎたい」とき: 手のひらや前腕(肘から下)を水で濡らし、その場所に扇風機の風を当てて、冷やされた血液をどんどん心臓へ戻しましょう。

院長冨田からのメッセージ

熱中症は、なってからの治療(Active Cooling)よりも、「そうなる前に未然に防ぐ(一次予防)」が鉄則です。 特に、エアコンの積極的な使用、こまめな水分・電解質(経口補水液等)の補給、そして今回ご紹介した「手のひら・前腕の10分程度の冷却」を日常の習慣に取り入れてみてください。

皆様がこの厳しい夏を健やかに、そして元気に乗り越えられるよう、当院はこれからも科学的で役立つ健康情報を発信し、全力でサポートしてまいります!

 

 

 

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