西和賀日記635回「夏至に町の最高峰へ」 | 西和賀日記 山・雪・味・人 楽しき農山村 

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奥羽山脈「真昼山地」に魅せられて65歳で岩手県和賀郡西和賀町に移住したおじさんの暮らしぶり

昼の時間が一年で一番長い夏至の日、西和賀町の最高点に登ることにしました。

 

 

南本内岳(1492m=三角点)と東焼石岳(1507m)が目的です。

西和賀町の最高峰(最高点)というと一般に南本内岳が挙げられます。

僕もそう思い込んでいましたが、地図(写真は西和賀町管内図※)によれば、東焼石岳の頂上に奥州市と西和賀町の境界線がありますから、そこも西和賀町に違いないのです。

標高を引き算すれば、東焼石岳の方が15m高いことになります。

 

 

すっかり明るい朝4時にウチを出発し、入山者が少ない東成瀬村の登山口から登りました。

胆沢(いさわ)川の源流部を3か所渡渉しますが、水量はかなり少ないようでした。

 

 

石連峰の懐に入っていくとミヤマキンバイの群落が迎えてくれました。

 

 

南本内岳まで4時間半ほどかかりました。

写真は足元の池塘(ちとう)とかなたの東焼石岳。

 

 

西和賀町の平野部からも見えている南本内岳の山頂部突端(1486m)

視界が良ければここから西和賀の建物とか、見えます。

長らく通行止めだった町側の南本内林道の整備が終わって開通したそうですから、近々見に行かねば…と思っています。

 

 

南本内岳の標柱越しに見る東焼石岳。

どこが頂上か分からないような、のっぺりとした山容をしています。

 

 

標高差のない登山道を東焼石岳に向かいました。

 

 

1時間ほどで東焼石岳の頂上に着きました。

これまでに何度か登ったことはありましたが、西和賀町の最高点という意識で登った今回は、まるで初めて頂上に立つような感懐を覚えました。

 

 

東焼石岳から見る南本内岳は、東焼石岳に似ていますが、向かって右の尖った小ピークが特徴的です。

どっちがいい形かと問われたら、迷いなく「南本内岳」とこたえたいです。

なぜ南本内岳が西和賀町の最高峰と言われているのか、登山道開削などの歴史的事情も関わっているようです。

東焼石岳だ…と言われても、なんだか他人の庭を見ているような気がして、ピンときません。

焼石岳(1547m)は胆沢(奥州市)の山という印象が強いですから、その連峰の一部である東焼石岳は…やっぱりあっちの山という感じです。

 

 

そんなことをブツブツ独り言ちしながら下山していたら、ツマトリソウ(褄取草㊧)とゴゼンタチバナ(御前橘㊨)が「何つまんないこと考えてるんだべか、このオッサンは」「まったく、山にしてみれば人間の境界線なんか関係なかんべねぇ」などとお喋りしているのが聞こえたような気がしました。

10時間の山歩きを終えて車に戻っても、まだ太陽は西の空高く薄雲ににじんでおりました。 (6月21日)

 

 ※北海道地図株式会社盛岡支店が国土地理院25000分の1地形図を基に平成24年に作成。