気仙沼日記703回「ある小料理屋のさびしい閉店」 | 西和賀日記 山・雪・味・人 楽しき農山村 

西和賀日記 山・雪・味・人 楽しき農山村 

奥羽山脈「真昼山地」に魅せられて65歳で岩手県和賀郡西和賀町に移住したおじさんの暮らしぶり

時々飲みに行っていた煎餅坂の小料理屋が1か月ほど前に閉店しました。

「3月にはやめようと思ってるの」

ママが言っていたので、閉店前にもう一度と思っておりました。






行ってみたら、のれんもちょうちんも店名も消えておりました。


カウンターの上くらいまで津波がきて、夫婦二人だけで店内を直して再開したそうです。

住んでいたアパートは高台にあったので、被災者と認められなかったのです。

でも、家を流された親せき(だったか知人だったか)のために、アパートを譲って、震災直後は店の小あがりで寝泊まりしていました。


まさか、8年もそんな暮らしが続くとは思ってもみなかったそうです。


災害公営住宅への応募さえ認めてもらえず、空き部屋が出て一般募集になってからもなかなか決まらず、やっと今年になって災害公営住宅の陽当たりの悪い一部屋を借りることができたのだそうです。


被災者が受けている不条理をいろんな所で見聞きします。

この店もそのひとつでした。


真っ暗な店を前に、おいしかった餃子の味を思い出しながら、しばらく立ち尽くすしかありませんでした。 (4月5日)