税金(国税、地方税問わず)、社会保険料など(社会保険料、個人の年金保険料、労働保険料)がたまり始めたら、
「事業再生を本腰入れて対策を考える」
と書きました。 →(1)税金がたまり始めたら再生を考えよう
この記事ではその理由を書きます。
まず、税金などは「優先債権」ということを頭に入れておいてください。優先債権とは、もしその会社が破産手続きに入ったときに、買掛金や電気代、通信料など一般債権より「優先して支払われる」債権、ということになります。
実はこれら税金などについて、支払わなかった場合の対処、未払の税金等の回収手順などは法律で決まっています。
そしてこれらのものの徴収に当たる方々は公務員かみなし公務員です。つまり、「法に則って」回収の仕事を進める以外にやりようがありません。
税金などがたまるとどうなるのでしょう。法人がためた場合を先にご説明します。
1.期日通りに納付できず、滞納が始まる
2.「期日までに納付がありませんでした。同封の納付書で納付してください」という封書が届く
3.それでも納付がないと「何か事情がありますか?」という電話が入ったり書面による呼出しがあります。
4.呼出しがあった場合、「3分割で来月から」など徴収側と約束した場合には、それに沿って納付誓約書を書かされます。(未納金額がいくらあるか、それをどう払うか、誓約させられるわけですから資金繰りがきつい中では鉛を飲まされるような感じになると思います)また呼出しの際、「決算書の写しを持参してください」と言われるケースがありますが、それは法人税申告書に付いている内訳書の中の「預金」「売掛先」のチェックのためです。ちなみに「出したくありません」という対応もできなくはありませんが、「ではこちらで勝手に調べます」という対応になります。その場合、納付姿勢の悪い先、徹底的にやる、という対応を誘発することになります。
5.予定通りの納付ができないときには、再度呼出し/催告書の送付があり、「これ以上納付が遅れる場合には強制執行に進みます」という警告があります。差押の予告です。これが銀行相手の借入だったり、商売上の買掛金などがもとになる紛争であれば債権者の一存では差押ができず、裁判の判決など「債務名義」が必要となりますが税金などは徴収庁の判断で差押をすることができます。
6.差押はほとんどの場合、銀行預金か売掛金が狙われます。差押がいったん入ると基本的には延滞額である「〇〇円に充るまで」ずっと差押が続きます。(これも徴収庁の判断によります。一旦差押はしたがある程度回収が進んだのでいったん差押を外して様子を見る、などの対応もあり得ます)
7.差押実行!の前段で「調査」が行われます。4.で提出させた、法人税申告書をもとに、取引銀行に「過去数か月分の預金の出入り一覧を提出してください」あるいは売掛先に「〇〇社に対する支払予定を開示してください」という書面が送られます。この段階で取引銀行や得意先に「税金などの延滞がある」ということがわかってしまいます。
8.得意先に調査がかかると、「この会社と取引していて大丈夫か」という疑念から取引打ち切りになる可能性も出てきます。
9.調査の入った銀行から借入があるとさらにやっかいです。借入をするときに取り交わす、「銀行取引約定書」に「強制執行があったときには期限の利益を喪失する」という条項があるからです。((2)期限の利益喪失とは・この用語だけは押さえて!、(3)期限の利益喪失、もうちょっと詳しく)実際には預金の調査や差押があった場合でも即期限の利益喪失にはならず冷静に対処する金融機関がほとんどですが信用に大きな傷がつくことに間違いはありません。
10.差押なんかされたら会社がつぶれる!と強く抗議したとしたら?徴収する側は冷静に相手を見ます。手持の現預金が破たんを前にしてどんどん減っている!と判断すれば、すべて流出しきる前に差押える、という判断になります。また、ここで致命傷となる差押をしなければもう少し回収が進む、と思えば「待つ」という判断にもなると思います。次の記事でも書きますがあくまで徴収する側は、「完納」が目標でそれがだめなら「少しでも回収額を増やす」ことを目指すからです。
繰り返しますがこれらの回収の手順は法で定められています。
見逃したり、目こぼししたりするという選択肢は徴収側にはありません。
税金などの滞納がコワイ理由はここにあります。
税金などの滞納が常態化する前が再生を考えるタイミング、と書きましたがその理由も同じくここにあります。
「がんばれ経営者!ひとりでもできる事業再生ノウハウ」
「できる、できるよ。必ずできる」
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