神聖かまってちゃん『聖なる交差点(ベストアルバム)』を推す4つの理由 | とかげ日記

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●僕が本作を推す4つの理由

神聖かまってちゃん、結成15周年を記念した二枚目のベストアルバム!

神聖かまってちゃんって誰ぞや?という方には、過去によーよーが書いた以下の記事を読んでみてくださいね。
神聖かまってちゃん入門【オススメ曲/名曲MV10選】

さて、本作についてだが、ベストアルバムだし、当初はブログ上でレビューする予定が無かった。(僕はオリジナルアルバムを中心にレビューしているため。)

だが、本作をひととおり聴いたところ、このアルバムについて感想を書かずにはいられない。聴いた方とは良いところを分かち合いたいし、聴いていない方にはぜひ聴いていただきたい。

ということで、以下の4点に絞って僕の推すポイントを記述していきますね。

★1.リマスターが素晴らしい!
★2.豪華ゲストがボーカル!
★3.完全版「知恵ちゃんの聖書」に涙
★4.新曲「へっぽこ聖剣士 」が熱い!


<収録曲>   


(なお、サブスクで「僕の戦争」と「夕暮れの鳥」を聴けないのは、版権によるものだと思います。かまってちゃんはワーナーと契約していますが、ポニーキャニオンが音楽を手がけるアニメ『進撃の巨人』とタイアップする際、一時的なレンタル移籍という形でこの二曲の版権だけ離れ業でポニーキャニオンに移っているためです。)

★1.リマスターが素晴らしい!
全16曲がリマスターや再録され、2023年のいまの音源で聴ける...! リマスターする意義があると分からさせる素晴らしいリマスター。

こんなにリマスター後を良く感じた音源は僕の音楽リスナー履歴上初めてだ。オリジナル音源よりも好きかもしれない。一粒一粒がなまけていない旨いご飯のように、一音一音が凛として主張している。ローファイ色強め(それも魅力だけど)だと思っていた初期の曲もハイファイに輝いて聴こえる。

熱気や混沌もそのままに真空パックしながら、整然とした秩序も感じ取れるマジカルな音。このリマスター版の曲群を聴くだけでも、前ベストアルバム『ベストかまってちゃん』(2015年発表)を聴くより楽しい。

他のアーティストを含めて僕がインストで一番好きな曲「夜空の虫とどこまでも」。ベースがファットだった『つまんね』収録バージョンよりも、本作ではクレバーでスリムなベースサウンドに聴こえる。ステージで交差する数々のレーザー光線を間近に捉えられるような臨場感がこのリマスターver.にはある。そう、言葉では表現できないことを伝えようとする意思を感受できるのだ。

★2.豪華ゲストがボーカル!
ACAね(ずっと真夜中でいいのに。)、戸川純、あのちゃんという、豪華ゲストがかまってちゃんを歌う! 女性に自分の曲を歌ってほしい"の子"の欲求がこのベストアルバムでも具現化したのだ。(ボコーダーにより、の子自身も女声で歌うのは、女声への憧れからだろう。以前、ボコーダーで女声化した"の子”のボーカルを「みさこさん」が歌っていると勘違いしているブログ記事を見たが、の子も自分の歌声を女声だと思われて嬉しいかもしれない。)

①まずは「フロントメモリー feat. ACAね(ずっと真夜中でいいのに。) 」。夏は終わり、もう冬も近いけれども、フロントメモリーは永遠です。ACAねの歌唱がすごい。ベースもグイグイ動いて気持ち良い。

本曲が収録されているEPにインスト版も収録しているのは、カラオケで挑戦してほしいのもあるんだろうな。EPでは、この曲を歌ったの子、川本真琴、ACAねの三者三様の歌いぶりが聴けるが、それぞれのボーカリストの曲の乗りこなし方に個性があって面白い。特にエンディングの破れかぶれで散弾銃のような歌唱には、三者ともに痛快で胸がすく。



②次は「僕は頑張るよっ feat. Ano」。MVではギター抱えながら歌うあのちゃんがイカしてる! そのサウンドもめちゃロックにドライブしていて素晴らしい。この曲を聴いてロックやギターの魅力に気づく若い人が増えるといいね。

モラトリアムを感じさせるような含みと屈託のある歌唱だけど、一陣の風が吹き抜けるような爽快なサウンドが心地よい。曲に表れる歌い手のあのちゃんのイノセントなキャラクター性が尊くて、彼女のことをますます好きになった。



③最後は「グロい花 feat. 戸川純」。80年代サブカル好きホイホイな戸川純を迎えて「グロい花」をリメイク...! これまで様々なゲストボーカルを客演に迎えてきたかまってちゃんだけど、戸川純さんはラスボスのような存在に思える。の子とみさこさんにとっては憧れの存在だしね。

戸川さんの歌唱は全盛期のようなパンチがないようにも思えたけど、美しくアレンジされたストリングスが鳴る中で咲く「グロい花」を表現しきっている。音楽リスナーにも確かなインパクトを与えたはず。 狂気と妖気を感じさせるこんな歌い方する人、他にはまずいない!



★3.完全版「知恵ちゃんの聖書」に涙
「知恵ちゃんの聖書」がキズのない完全版で収録されたのも、本作のトピックの一つだ。以前、「知恵ちゃん~」を晴れある2ndシングルとしてリリースする際、「当たり前だのクラッカー」と歌うところを、これを宣伝文句としていた前田製菓からNGを出され、「クラッカー」の部分の音声が消去されてしまった。このベストアルバムでは、ちゃんと「クラッカー」と歌声が入っている。当時、「クラッカー」を消されての子はかなり落ち込んでいたようだから、本作に収録されて本当に良かった。

★4.新曲「へっぽこ聖剣士 」が熱い!
初めてCD音源になる本曲に感激! 「僕らはへっぽこ聖剣士 」と歌うが、「僕らは」という歌詞にバンドとリスナーの結束を感じる。「社会にほらきりすてられたんだって」という歌詞は、「源氏蛍」という曲の「社会じゃ駄目でした」という歌詞を彷彿とさせた。社会の落伍者を曲の主人公に据えるのはかまってちゃんらしい。火を吹くギターソロもかっこいい。

【総括】
かまってちゃんを語る上で欠かせない「タナトス(死の欲動)」と「エロス(生の情動)」という言葉。初期は等価に歌われていたが、本作はエロスをタナトスよりも大きく感じる。このみずみずしい音に彼らの言いたいことが表白されている。「死にたい季節」というタイトルの曲でさえ、リマスター後の音はエロスを感じさせるのだ。最近も自殺して亡くなったかまってちゃんリスナーがいるようだが、かまってちゃんの「(死にたい、だけど)生きろ」というメッセージが歪まずに伝わってほしい。生と死、男と女、聖と邪、バンドとリスナー、それらが集う聖なる交差点で、今日もこれからもかまってちゃんは音を鮮やかに鳴らし続ける。



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