●<傑作です!>Thinkの楽しさ、Feelの感動
SF的なギミック満載(老若認証やディープフェイクなど)で、ストーリーもテンポが良くて面白く、息をつかせぬジェットコースターアクション映画。そして、サスペンスや謎解きの知的スリルも、恋愛も絡んだキャラクターの情緒面の掘り下げも、短い時間の中で密度&完成度共に高く行なっている。コナン映画の理想的な面白さがこの一本の作品に詰め込まれている。『BLUE GIANT』でも思ったが、立川譲監督は良作を狙って良作を作れる名監督だ。
「何も考えてなく観てもつまらないし、何か考えてみてもつまらない。」そんな映画の対極にある作品だ。フィール(feel)でも、シンク(think)でも面白い。映画・小説・マンガ・音楽などジャンルを飛び越えて、僕が考える理想の作品を観られて嬉しい。しかも、エンディングの主題歌はスピッツ! 僕が音楽好きになるきっかけになった、大好きなアーティストの素晴らしい新曲を映画館の大音量で聴けて感無量です。
黒ずくめの組織に関する知識やストーリーをほとんど知らないで観たけど、充分に楽しめました。展開が分かりやすかったり、細かな説明があったりして、背景となるストーリーを知らなくても面白く観られる。置いてけぼりにしない。それも、コナン映画の良いところだよね。
リアリズムの残酷さや邪悪な欲望の果ての殺人や犯罪。この映画に限らず、コナンは決して諦めずにいつも必ず犯人を突き止める。真実はいつも一つなのだ。
そして、コナンが犯人に語るメッセージ(この映画にはそのシーンはないけれども)。コナンのセリフがクサかったり、説教臭く感じないのは、誰に対しても優しくどこまでもまっすぐな性格で、正義を志さなくても自然にそれが心に備わっているからだと思う。いわゆるルサンチマン(恨み、ねたみ)から真逆にある、風通しの良いハートの持ち主なのだ。
一方で、シリーズ1話目から登場する黒ずくめの組織の一員の"ジン"は絶対悪のような存在だ。『名探偵コナン』はシリーズを通して、優しさと勇気を持ったコナンが絶対悪と闘っていくストーリーでもあると思うのだ。善と悪が相対的で曖昧になった世の中で、コナンが体現する善の尊さとその確かさはきっと観客の心に届いている。
蘭ねえちゃんの利他心と強さ、灰原哀の知性と誠実さ、毛利小五郎の能天気な明るさ、少年探偵団の固い結束、阿笠博士による優しさと天才的な発明品。大抵の映画では殺人の様子か描かれると雰囲気がトゲトゲしくオドロオドロしくなりがちだが、『名探偵コナン』の映画ではこれらのポップな登場人物と要素のおかげで、(この映画の主題歌であるスピッツ「美しい鰭」のように)柔らかな愛と人間味を感じる爽やかで心地よいバイブスが通奏低音のように響いている。
赤井秀一(cv:池田秀一)と 安室透(cv:古谷徹)というガンダム声優(シャアとアムロ)同士の会話もそのキャラクター名と同じくガンダムへのオマージュが感じられて面白かった。あと、ベルモットの色気ムンムンなセクシーさにちょっとあてられてしまった。本筋とは関係のない、そういったところにも魅力がある映画でした。
Score 9.0/10.0
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