ELLEGARDEN(エルレ)『The End of Yesterday』感想&レビュー★良作! | とかげ日記

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●今日も風は吹いている

”ELLEGARDEN”(以下エルレ)、16年ぶりとなる待望のニューアルバム『The End of Yesterday』のレビューをします。

エルレで好きな過去曲の一つに「風の日」がある。その率直なメッセージに何度救われたことか。



雨の日には濡れて 晴れた日には乾いて
寒い日には震えてるのが当たり前だろ
次の日には忘れて 風の日には飛ぼうとしてみる
そんなもんさ 僕らはほら


この「風の日」は、ボーカルの細美武士さんの飼っていたハムスターが亡くなった時に作った曲だという。細美さん自身のこの制作の過程があったからこそ、リスナーの抱える辛さを確かに受け止め、励まし慰めてくれる名曲になったのだ。


さて、本作について見ていこう。

ドラムのアタック音の鋭さ、用心深くボトムを支える太いベース、バンドサウンドの要であるソリッドなギターによる音空間、全盛期並みにエネルギーをはらんでいる音の粒の一つ一つ、どれも素晴らしい。メロディもグルーヴも若々しくてずっと聴いていられるし、中毒性もある。

#4「Strawberry Margarita」や、アルバム最後の曲#11「Goodbye Los Angels」など、情緒的であっても少しもジメっとしておらず、Green Dayの音楽のようにカラっとしている。湿っぽさを感じさせない、強度のあるクリアカットな歌を作れるところがエルレの音楽の魅力の一つだろう。ぼんやりとした不安など吹き飛ばしてくれるし、アルバムタイトルどおり、悩み疲れたYesterdayにはサヨナラするのだ。



細美さんの青い春を駆け抜けるイノセントなボーカルも、本当に49歳かよと疑うほど、若かった以前と同じく切実な主張をしている。アジカンのフロントマンである後藤正文さん、ストレイテナーのフロントマンであるホリエアツシさんと共に2004年の新潟での公演終了後に3人で見た虹をモチーフに「虹」という曲を作ったエピソードのような、尊いピュアな気持ちは今の細美さんからも伝わってくる。



本作は以前と同様に日本語詞の曲も英語詞の曲も混在して収録しているが、それぞれの良さがある。日本語詞だと言葉の意味がスッと入ってくるし、英語詞は滑らかな発音が聴いていて気持ち良い。英語詞の発音は本当にこなれていて、ネイティブと比べても遜色ないレベルです。英語詞を歌う日本出身のバンドが以前と比べて少ないだけに、それだけでも貴重です。

また、日本語詞の曲は少し湿度を帯びるところも面白い。#3「ダークファンタジー」はその湿度の質感が曲名の世界観と符合していて素晴らしかった。

エルレの曲はハイスタ(Hi-STANDARD)並みに歌のメロディが立っている。ただ、ハイスタの曲には歌ものとしてのバイブスは感じられない(ポップだが、よりハードコア)が、エルレは歌ものとしてのメロディの良さを感じ取ることができる(ハードコアというよりもしなやかで柔らかい)。そのため、メロコアのテンポによる即効性を目当てにしている方だけではなく、歌の良さを評価軸にする方にも気持ちよく聴けるはずだ。特に#10「Perfect Summer」の美メロ歌もの路線にはWeezerを想起させたりもした。

細美さんがフロントマンとして所属するバンドとして、「MONOEYESは少年、the HIATUSは大人、ELLEGARDENは青年のイメージ」とある方が語っていたが、言い得て妙である。そして、僕は青年の音楽が大好物なのである。スピッツの草野正宗さんとか、今でも若々しくて青年のイメージだ。

このアルバム1曲目のリード・シングル曲「Mountain Top」に以下の歌詞がある。

I’m the one who wants to burn out
(俺は燃え尽きたい)

I’m the one who needs to find out
(俺は答えが知りたい)




青年ならではの燃え尽きたい願望と答えが知りたい好奇心。この温度がある限り、彼らの音楽が枯れることは無いだろう。いつまでもみずみずしい熱を保ち、更新し続けてほしい。

Score 8.0/10.0

🦎オマケ🦎
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