音楽とルックス 〜B'zとサンボマスターを例に〜 | とかげ日記

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患者仲間の女性と話していた時に、宇多田ヒカルの話題になり、その患者仲間が「宇多田ヒカルってさ、綺麗でもないし、色気もないよね」と言ってきた。

宇多田ヒカルは音楽で評価されたんじゃないの? ルックスを注視してこなかったので、その患者仲間の言葉は新鮮だった。僕は彼女を美しいと思う。

その患者仲間に限らず、世間では、音楽それ自体よりもルックスを重視する人が多いだろう。

例えば、B'zは稲葉浩志のルックスが売り上げに大きく寄与しているのではないか。もちろん、歌唱や音楽それ自体にも魅力がある。ハードロックで歌謡曲をやるというアイデアもオリジナリティがあるだろう。しかし、稲葉浩志のルックスあってこそ、あそこまで売れたのではないか。(そして、現在売り上げが落ちているのは、楽曲の持つ力が落ちたことや、CD不況の時代のせいもあるが、稲葉浩志が年を取ったからという理由もあるのではないか。)

しかし、イケメンだけが売れる訳ではない。失礼な言い方になるが、ブサメン(ブサイクなメンズ)が売れる場合もある。

ここで例を出したいのは、サンボマスターだ。B'zほど売れている訳ではないが、知名度があり、ある程度は売れていると言ってよいのではないか。あのルックスだからこそ、暑苦しい歌が映えるのだろう。爽やかなイケメンがサンボマスターの歌を歌っていても何の面白味もないが、サンボマスターの山口隆があの歌を歌うからこそ、熱さが伝わるのだと思う。

ルックスを含めたヴィジュアル・イメージは音楽にとって重要な要素だ。ヴィジュアル・イメージはその音楽の思想の一部を表現しているといって良い。海外のKISSや、日本の聖飢魔IIの音楽は、あのヴィジュアル・イメージがあってこそだろう。

音楽もルックスも、表現なのだと思う。音楽のイメージとルックスのイメージは相互に影響し合っている。あまり顔が良くなくても、ファッションのコーディネートで雰囲気イケメンになることも可能だし、それに合わせて音楽も今どきのイケてる音楽にすることも可能だ。ブサメンぶりを前面に売り出して個性を放つアーティストもいる。メンバー全員オカッパ頭のザ50回転ズなんてバンドもある。

GOING UNDER GROUNDは日本のウィーザーという説に同意する。ハンサムでなくても、メガネをかけていても、ロックバンドをやっていいことを示した点で。くるりやアジカンなど先達がいますが、松本素生のイケてなさは岸田さんや後藤さん以上。イケてないのがイケてて素敵という逆説のバンドがゴーイング。

音楽それ自体とルックスは切り離せない。アイドル音楽が人気なのも、そのルックスあってこそだろう。しかし、ルックス重視の人には、音楽それ自体にもっと注目してほしいとも思う。音楽ファンは、ルックスのファンではなく、音楽のファンであってほしい。


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