2010年代ベストトラック(邦楽)20位→11位 | とかげ日記

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2010年代ベストアルバム(下記リンク)はご覧になりましたか? 『とかげ日記』(このブログ)の総決算となる記事なので、ぜひお読みくださいね!

2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位
2010年代ベストアルバム(邦楽)20位→11位
2010年代ベストアルバム(邦楽)10位→1位

今回の記事は2010年代ベストトラック第2弾!
前回(下記リンク)から続いて、20位から11位までを発表します。

2010年代ベストトラック(邦楽)30位→21位

では、さっそくカウントダウン!

【20位】cero「大停電の夜に」


これぞ、究極のチル。何かにいらだったり、焦ったりして、気持ちを落ち着かせたい人がいたら、この曲をまずオススメします。

震災前に書かれたのに、震災を予見していたような曲。震災後に注目を集めたのは、もちろん、大停電を歌った歌詞が一番の大きな理由だ。だが、震災で傷ついた心をレイドバックしたサウンドで癒されたかった人が多かったからだろうと僕は思う。目一杯にボーカルにリバーブをかけて浮遊感のあるサウンドには独特の味わいがある。

【19位】くるり「glory days」


👆曲の途中までなので、ぜひフルで聴いてみてくださいね! 途中から驚く展開が待っています。

アルバム『坩堝の電圧』の最後の曲、glory days。この曲がアルバムで一番好きだ。

ストイックに4分のスネアを刻むドラム。流れる時代のようなギター、過去を時折思い返しているようなトランペット。過去の歌の歌詞が歌われるところで胸が震える。過去と現在の岸田さんと僕たちを一緒くたにして遠くへ連れて行くようなディストーション。この箇所を全19曲のアルバムの締めくくりに聴くと、長い旅路の果てにどこか別の次元にたどりついたような心地になる。

【18位】MOROHA「革命」


無為無策で大きな夢を持つことのロマンチシズムを、夢に向かって本気で努力する現実のリアリズムで叩き崩す曲。もしくは、夢を持つことを嘲笑う人たちのリアリズムを、本気で夢を信じるロマンチシズムで叩き崩す曲。この曲の熱量あるラップに突き動かされていた時期が僕にもあった。

【17位】andymori「1984」


冒頭のベース4音からして何かしらを語っている。トランペットがファンファーレであると同時に、夕暮れの風のようだ。楽器隊がボーカルと同じくらい雄弁に語る曲はだいたい名曲だ。そして、ボーカルの歌もとても歌心にあふれていて、夕方5時の叙情を余すところなく描いている。

【16位】NEW OLYMPIX「NO! feat.RYOFU KARMA」


漆黒という言葉がこれほど似合う曲もないのではないだろうか。「YES」という欺瞞にあふれた世の中への漆黒のカウンター。声質が冷徹にも感じられる客演の呂布カルマのラップは切れ味鋭い。漆黒と冷徹さを感じても、人間的な温かさを感じられるのは、激烈な叱咤を通じてリスナーを勇敢に鼓舞する音楽であるからだろう。

【15位】不可思議/wonderboy「Pellicule」


彼の名曲「Pellicule」で「二人だけで話そう」とラップされると、もう故人の彼と二人で飲みながら話しているような思いになる。

この曲でラップされている「俺たちっていつかさ、結婚とかするのかな/子供とかできてさ/庭付き一戸建てとかをローン組んで買ったらできた気になるかな」という未来の可能性。だが、その可能性はその後の死によって否定されたことを思うと、やり切れない。だが、僕も彼のラップの密度の濃さくらい、人生を生き抜こう、そう思えるのだ。

【14位】フジファブリック「夜明けのBEAT」


生前の志村正彦が放った最後の煌めき。強靭なビートに乗る微熱の志村さんの歌唱。そこまで熱くなり過ぎない絶妙なバランスの歌唱が素晴らしくクセになる。熱くなり過ぎないのは、志村さんのキャラクターゆえのことでもあるのかもね。そして、ビートがここまで強靭なのは、バンドの演奏力のたまものだ。

【13位】相対性理論「ミス・パラレルワールド」


真部脩一作詞・作曲の曲。今のやくしまるさんの作る曲も良いが、この懐かしさと近未来の同居するファンタジー感のあるソングライティングは真部さんならではのもので、真部さん在籍時代が恋しくなってしまう。やはり、男性が作った歌詞で不思議少女にコスプレするやくしまるさんのボーカルがあの絶妙なファンタジー感を演出していたのだと思う。

【12位】リーガルリリー「リッケンバッカー」


この曲をyoutubeで聴き、頭から離れなくなってリーガルリリーが好きになったのでした。「おんがくも人をころす」という怜悧な認識があった上で、「おんがくよ、人を生かせ」と歌うのがグッときて音を感激と共に嚥下する。

通常のAメロ、Bメロ、サビの順番でないのに、比較的まとまって聴こえるのは、それぞれのパートの放つメロディがそれぞれにキャッチーだからかもしれない。テンポアップして「リッケンバッカーが歌う」と歌う箇所のかっこよさといったら!

【11位】羊文学「1999」


「『1999』にはどんな意味を込めたんですか?」というインタビュアーの質問に対し、ソングライターの塩塚モエカは「ノストラダムスの大予言の年で。(中略)『年を越えたら世界が終わるんじゃないか』って思っているときのクリスマスって不思議だなって。キラキラしているけど、世界が終わる……その対比ってどんなものだったんだろうと想像して作りました」と答えている。

インタビューでこう答えているように、この曲はキラキラしているけど、どこかしら切迫感があるのが、一つの歌ものとして理想の形に僕には思えた。とんでもなくキャッチーなので、羊文学に対して苦手感のある方でもすんなり聴けるはず。


とかげ日記が選ぶ2010年代ベストトラック(邦楽)30位→11位

【11位】羊文学「1999」
【12位】リーガルリリー「リッケンバッカー」
【13位】相対性理論「ミス・パラレルワールド」
【14位】フジファブリック「夜明けのBEAT」
【15位】不可思議/wonderboy「Pellicule」
【16位】NEW OLYMPIX「NO! feat.RYOFU KARMA」
【17位】andymori「1984」
【18位】MOROHA「革命」
【19位】くるり「glory days」
【20位】cero「大停電の夜に」

【21位】スピッツ「さらさら」
【22位】サカナクション「グッドバイ」
【23位】転校生「空中のダンス」
【24位】ASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」
【25位】ゲスの極み乙女「ロマンスがありあまる」
【26位】amazarashi「カルマ」
【27位】毛皮のマリーズ「愛のテーマ」
【28位】銀杏BOYZ「ぽあだむ」
【29位】笹口騒音オーケストラ「TOMORROWLAND」
【30位】マカロニえんぴつ「ヤングアダルト」

10位から1位までも近いうちにやります!
追記:書きました。
2010年代ベストトラック(邦楽)10位→1位