ライブレポ『club EARTH 10th Anniversary』セカオワ,かまってちゃん他 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。

僕が大好きな神聖かまってちゃんがセカオワ主催のフェスでセカオワと念願の対バンをすると聞き、いてもたってもいられなくなって申し込んだチケット。今日出演していたどのアーティストも個性があって良かったです。以下に各アーティストについて感想を書いていきますね。

会場に着くと、スモークが焚かれた場内。天井からぶら下がる青色の照明はスモーク越しに見えて幻想的だ。メインステージ奥に見えるのはclub EARTHのロゴ。オーディション優勝バンドのメランコリック写楽からライブはスタート。

★メランコリック写楽
ハードロック、メタルのような激しい音楽かと思いきや、おしゃれなギターロックのような要素もあってハイブリッドなサウンド。ガレージロック調の荒い演奏をバックに可愛い女の子がメロディを歌ったりラップしたり。また、バンド名のとおり、オリエンタルな香りも少しだけ匂わせる。面白いバンドだが、演奏技術、客の乗せ方、ソングライティングはまだ伸び代があると思った。

★GOMESS
メインステージ下手側のサブステージに登場。
フロントマンのラッパーがDJ、キーボード、ギター、ベースを引き連れ、生音も入ったラップ音楽。ラッパーがライムする言葉は、明治の文豪の言葉のようにヘヴィ。会場の反応は今ひとつだったが、最後の「人間失格」という曲で観客にツメ跡は残せたと思う。

★Charisma.com
メインステージ。最近テレビにも露出している女性二人組。エッジの効いたラップトップミュージックにキレキレのラップが乗る。

躁的な展開の連続に若干飽きて、よーよー(筆者)のトイレ休憩タイムになる。トイレから戻ると、自撮りをテーマにした曲をやっていて、Charisma.comの一人がステージをバックに自撮りしまくっている。また、観客もこの時間の間は撮影OKで、スマホを取りだす人が多数いた。観客の盛り上げ方や、こういうギミック(仕掛け)の持ち出し方は上手いと思う。

音楽も面白いのだけど、エッジの効いたハイテンションの金太郎飴の曲という感じがして、僕はいまいち盛り上がれなかった。

★ぼくのりりっくのぼうよみ
サブステージに登場。まだ十代という若さの新鋭として一部の音楽ファンの間で話題になっている。

フロントマンのラッパーとキーボード、DJの3人組で登場。オルタナティブヒップホップでマニアックな音楽性ながら、不思議なポピュラリティーがある。

声に影があり、スター性があるライムの重ね方はRADWIMPSの野田洋次郎をどことなく想起させる。歌詞を忘れてショートバージョンになるというミスもありつつ終了したが、観客も熱くなっていた。

★ゲスの極み乙女。
演奏が上手い。MCも交えた盛り上げ方が上手い。会場に来たファンが多い。この三拍子揃って会場が沸かない訳がないでしょう?

フロントマンの川谷絵音さんがMCでセカオワハウスに遊びに行った話をする。川谷さんはサオリとチームを組んで脱出ゲームをしたようだ。サオリと組んだことに「おー」 と湧き上がる歓声に対し、川谷さんは「何もないから」と否定して笑いが起こる。例の件を笑いに変えている姿を見て僕も少し安堵する。

セカオワのDragon Nightを自分たちの曲に取り入れたり、コールアンドレスポンスもユーモラスだったり、冒頭の「ロマンスがありあまる」から始まって飽きさせることのないステージだった。ちなみに、今日は「餅ガール」で餅を客席に向かって投げ忘れていたようだ。笑。

★神聖かまってちゃん
いつものように「夢のENDはいつも目覚まし」をSEに登場。サブステージで演奏していることを忘れさせるほどの盛り上がり。

冒頭の「自分らしく」がハイライト。新曲の「きっと良くなるさ」もいい。そして、やはり「ロックンロールは鳴りやまないっ」は鉄板の盛り上がり。

の子が31歳になったと自身の年齢に言及しつつ、自分たちも聴いている人も年齢とか関係ない、音楽はボーダレスだからと熱くMCで語る。会場が巨大なディスコホールと化した「フロントメモリー」も最高。

MCでは、一期一会を大切にしていることをの子が強調していた。 深瀬さんがの子の家に来たことに対しても礼を言っていた。深瀬さんは、の子の家に行く時に東京から千葉まで歩いてきたらしい。今日集まった会場のみんなも俺たちアーティストも「メンバー」なんだよと言って始まった「ズッ友」に心を動かされる。

一時期は勢いが弱まっていた神聖かまってちゃんもセカオワとトリ前で対バンできるところまで来たのだ。このままこの上昇気流に乗ってほしいと心から思う。

★SEKAI NO OWARI
Sam SmithのStay With MeのSEを遮ってDeath Discoで登場。中盤でチルアウトしたディスコミュージックの音楽性の曲で、一曲通して英語で歌う曲を二曲演奏する。幼くも見える夢見がちな日本語と音楽に現れる自意識とそれに共振するファンの関係こそがセカオワだと思っている僕は、セカオワの変化についていけなかった。良い曲なのだけど、これらの曲だったら、普通に洋楽を聴くよと。

しかし、Love the Warzや本編エンディングのRPGは鉄板の盛り上がり。会場の一体感はセカオワファンの固い結束を感じさせるものだった。

club Earthの10周年とは、ライブハウスに仕立てる不動産の賃貸を始めてから10周年なのだという。その間にたくさんの不安があったことを深瀬さんが語る。身一つ(身四つか?)で100万円の借金をして自分たちのライブハウスを作ったのだ。お風呂に入る暇もないほど努力に満ちた彼らのユニークなサクセスストーリーはこれからも長く語り継がれるだろう。

スターライトパレードのサビ(「もう一度連れていって〜」)を繰り返し歌うアンコールを経て、ライブの定番曲である「Dragon Night」を演奏。「今宵友達のように踊るんだ」という歌詞に、最初は対立していた神聖かまってちゃんのの子とセカオワの深瀬さんが友人関係になって初めて一緒のステージに立つ記念すべき今日の日という感慨に浸った。意外にもお互いのライブを観るのは今日が初めてだという。

神聖かまってちゃんとセカオワがいつか2マンライブをする日を夢見て、帰路の道に着いた。


『club EARTH 10th Anniversary』
【会場
東京・新木場Studio Coast
【日時】
2016年6月10日(金) 開場:16:30 / 開演:17:30 / 終演:21:30
【出演者】
オーディションバンド優勝者:メランコリック写楽
GOMESS/ ぼくのりりっくのぼうよみ / 神聖かまってちゃん / Charisma.com /
ゲスの極み乙女。/ SEKAI NO OWARI