Laの翼 | とかげ日記

とかげ日記

【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。

以下の文章は前身ブログ『Crab talot』のもう一つ前のブログ『Laの翼』を始めた時に書いたものです。
ここに書いてあることと、今も気持ちは同じです。
匂いのある表現って、難しい……。
スピッツの初期とか、すごく匂いがあるよね。

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


寝苦しい暑い夜。
窓を開けると、
静けさの中に車の通る音と若者たちの話し声。

花火大会に行ってきた帰りだろうか。浴衣姿の女性。じんべい姿の男性。
彼らをちらりと見やり、またベッドに戻る。

夏の匂いがする。
開けっ放しの窓から時折吹く風が心地よい。


最近、思う。

僕は、外に形となって表れるものに執着しすぎてきたのかもしれない、と。
あるいは、言葉に執着しすぎてきたのかもしれない、と。

必死に言葉に目を向け、耳を傾けようとしているうちに、
匂いを感じにくい体になっていた。
人から聞く言葉。自分が発する言葉。
テレビやネットなどの言葉。歌詞の言葉。
あらゆる言葉によって、僕の耳と心はふさがれていった。

もちろん、
「女性のいい匂いにつられて
あっちへフラリ、こっちへフラリ。
そんな僕は助平さ☆」でなくなったということではない。

僕は今でも助平なのだから。

そんな、どーでもいい話は置いておいて……

形としては表れない、その場の空気が伝える匂いに鈍感になっていたのだ。
それだけでは意味をなさず、人がそれに触れ、感じてはじめて意味を持つ「光景」を軽く見ていたのだ。


秋葉原で起こった事件の被害者の冥福と歪み始めている世界への祈りのために、
僕はその事件現場へ向かった。

事件から一週間後のその場所は、
まがまがしい空気があたりそこらに漂っていた。

僕は、いつものテキトー癖で、
なんとかなるだろうと、
事件が起きた場所をろくに調べなかった。
秋葉原駅に着いたら、案の定、事件現場がどこか分からず、
ダンジョンで迷うドラクエの主人公のように秋葉原の街をさまよっていた。

さまよい続けて10分あまり、その場所は匂いですぐに分かった。
何かが歪んでいるのだ。
その場所に立ち、呼吸をしているだけで
僕は少し気持ち悪くなってしまった。
そこにあるのは、
小説やゲームなどのフィクションに書かれる言葉を
どんなに駆使しても描き表せない歪んだ空間だった。

逆に、大自然を前にした時に感じる、まっすぐで純粋な匂い。
朝、何かの始まりを予感させる山や海の空気、鳥のさえずり。
夜、しんと静まり返る森の空気。夜風の気持ちよさ。
子供時代のようにはその匂いをかぎ取れないが、
今でもその匂いを感じて、清清しい気持ちになれる。

僕は非科学的なものはあまり信じていない。
だけど、場所や人や物は確かに匂いを放っていると思う。
そう考えると、「雰囲気」という言葉があることがしっくりくる。

言葉ではない、「光景」が発する匂い。
言葉ではない、メロディーが発する匂い。
温かかったり、冷たかったり、花のようだったり、生き物のようだったりするような。
そういった匂いが、今、生きている一瞬を豊かにさせるものではないか。
♪マークがついて弾みたくなるような匂いでも、
悲しくてすぐに忘れてしまいたくなるような匂いでも、
その匂いが濃厚であればあるほど、
それを感じるあなたの一瞬は濃厚になる。

もちろん、
「言葉」も匂いと同じくらい、人の一瞬を豊かにさせることは知っている。
だけれども、僕は
論理と感情によって、ゲームをやるように言葉を繋ぎ合わせて遊ぶパズルに夢中になっているうちに、
匂いが人の一瞬を豊かにすることを忘れてしまっていたのだ。

匂いのことを思い出した僕は、これからは
言葉ではない匂いを匂いのある言葉にして伝えたいと思う。
例えば、「Lalala...」のメロディーが放つ匂いを、
歌のように匂いのある言葉にしえあなたに伝えたい。
そうすることで、今、生きている一瞬を豊かにする表現が産まれるのではないか。

あなたの心を、犬や猫や晴れや雨や森や湖のような匂いのある言葉で満たしたい。

匂いのある表現というと、
地に足をつけながら嗅ぐ、土の匂いのような表現をあなたは想像するかもしれない。
でも、今までの僕のブログを読んでくれている読者の方なら分かると思うけれど、
僕の言葉はどっしりと地に足をつけているというよりも、
フワフワと宙に浮かんでいるような表現になりがちで……。

(地に足をつけて、えっせえっせと歩くことは僕の課題です。
のび太君の夏休みの宿題ほど終わらなさそうだけれど。。

……ドラえも~ん。)

だったら、いっそのこと、
読んでくれているあなたも、記事を読む5分や10分の間は
一緒に気持ちよく、空をフワリと飛んでもらおうかと思うのです。

…ってことで、Laの翼、スタートします。


胸を張って高らかに歌うLalala
自分の醜さに怯えて歌うLalala
淡い乳白色の夢の中で歌うLalala
ロングヘアーの優しい女性が歌うLalala

色々なLalalaに耳を傾け
透き通った言葉をそれらに返せ

君が憎しみに汚され歌うLalalaでさえも
僕は好きだと言える

海と空のLalalaを
ジャンプで往復するするイルカのような自由さで
君に歌のような言葉をつたえたい


今日の一曲 ~All by myself / The La's~