脂質について理解を深める!! | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

油について


 油とは元々悪くなりやすい食品として取り扱われ、絞ったらなるべく新しいうちに使い、保存する場合には光を通さない容器で、というのが常識でした。
  (光による酸化は酸素による酸化以上に速く進む)
 かって、食用油といえば手搾り的な圧搾法が用いられていましたが、現代では昔と同じような作り方をされているのは、コールドプレス(低温圧搾法)と銘打ったものだけです。
 現代の多くの油は、大がかりな機械や化学的な製油法が導入されて、油は大量生産され、透明なガラスやプラスチックの容器で何ヶ月も店頭に並べられるようになり、しかもその品質は劣化しないといいます。
 現代の製油法では、本来油の中にある体に必要な栄養素を取り除いたり、破壊し、この製油法により、トランス脂肪やフリーラジカル、その他多くの有害物質を生み出しています。
 心臓病とガンは現代のもっともポピュラーな病気で、これらの病気は栄養の欠乏、特にオメガ-3という必須脂肪酸の欠乏と、現代の食物や環境の中にある有害な物質、ことに精製油の中に含まれる有害な「トランス脂肪」やフリー・ラジカルが相乗的に働いていることに起因していることも多いと思われます。
 脂肪には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つのタイプがあり、飽和脂肪酸はバター、卵、魚、鶏肉、肉類の中にあり、不飽和脂肪酸はヒマワリ、ゴマ、紅花、コーン、亜麻仁油など植物油の中に含まれている脂肪酸です。
 不飽和脂肪酸にはオメガ-6、オメガ-3といった「必須脂肪酸」が多く含まれてます。
また、「必須脂肪酸」ではない単価の不飽和脂肪酸(オメガ-9)は、オリーブ油などの中に含まれています。
 一般的に最低量のコレステロールは食事から摂る必要があります。
 体の中でホルモンが造られたり、皮膚や体の構成要素となっている細胞膜が造られたりするには、その材料としてコレステロールが必要だからです。
 不飽和脂肪酸のオメガ-3やオメガ-6の脂肪酸をバランスよく摂ることが、健康な細胞膜を作ったり、プロスタグランディンやその他の細胞の働きをコントロールする生理物質をつくるのに大切です。
 現代の食生活の中では、オメガ-6の脂肪酸は十分(過剰)に摂っておりますが、オメガ-3の脂肪酸は不足しがちです。
 心臓病、ガン、免疫機能の不全、その他多くの現代病の主要原因がオメガ-3の欠乏にあり、健康を維持するためにはオメガ-3系の脂肪酸を食物により摂取することが重要です。
 また心臓病その他に効果があるオメガ-9の油(オリーブ油)も、適量摂ると良いでしょう。(エキストラ・バージンに限り)


必須脂肪酸


 必須脂肪酸は油の中に含まれている栄養素で、文字通り、私たちが生きていく上では無くてはならない「必須」の栄養素です。
 必須脂肪酸には「オメガ-6」と呼ばれている形の脂肪酸と、「オメガ-3」と呼ばれる脂肪酸があります。
 なぜ「必須」なのかというと、これらは私たちの体の細胞膜やホルモンをつくる原料であり、そのため体のほとんど全ての機能に関係していて、体にとっては不可欠なものだからです。
 この2種類の脂肪酸は体内では造れず、食物から摂るしかありません。
 体の機能をいろいろな場所でコントロールしているプロスタグランディンというホルモン様物質は、「オメガ-3」や「オメガ-6」が原料で、人間の体内で作られています。


 現代の食生活の中では、オメガ-6の脂肪酸は十分(過剰)に摂っておりますが、オメガ-3の脂肪酸は不足しがちです。
  
 必須脂肪酸の不足で起こる症状は、昔から、皮膚症状、頭痛、疲れやすさ、体力不足、頭の働きの変調、すぐに炎症や出血が起き関節がむくむこと、不妊、流産、腎臓のトラブルなどが知られています。


※砂糖、カフェイン、精製でんぷん質、アルコールの摂取量の増加、また食物、水、空気中の残留農薬や環境汚染物質などは、いずれも必須脂肪酸やプロスタグランディンを体内で食い荒らすものであり、またアルコールとカフェインは体内で必須脂肪酸がプロスタグランディンに変わるのを妨げます。


※食物を摂りすぎて運動量が少ないときは、余ったカロリーを体に貯えます。
 このとき糖類として貯えられる量には限界があり、余分な糖類やタンパク質は全て脂肪として貯えられます。
 余分なカロリーを脂肪として蓄積する機構にはどれくらい蓄積したら充分であるという限界がありません。
 意識して食物の量を制限したり運動量を増やさない限り、脂肪の蓄積はほとんど無制限です。
 これが飽食の時代にさまざまな問題をひき起こします。


 ※オメガ-6の必須脂肪酸のリノール酸からはガンマ・リノレン酸やアラキドン酸がつくられます。
 オメガ-3の脂肪酸のアルファ・リノレン酸リノレン酸からはEPAやDHAが造られます。
 また、オメガ-3の脂肪酸からはオメガ-6の脂肪酸を造ることができず、逆にオメガ-6の脂肪酸からオメガ-3の脂肪酸が造られることもありません。
 ですから、オメガ-3と6の脂肪酸は別々に両方ともバランスよく摂らなければなりません。


※健康時にはリノール酸からガンマ・リノレン酸、 亜麻仁油に多いアルファ・リノレン酸からDHAやEPAなどが体内で造られますが、ある種の病気にかかるとその機能が無くなり、その結果各種脂肪酸を原料とするプロスタグランディンという生理的なプロセスが断ち切られ、該当するプロスタグランディンの不足から問題が生じる事があります。


※食物連鎖


 植物がリノール酸とαリノレン酸を作ると、一般にリノール酸を種子に、αリノレン酸を葉と根に蓄積する傾向にあります。
したがって、リノール酸の多いコーンや大豆のような種子を餌として食べる家畜類は、リノール酸系列の脂肪酸を多く含むことになります。
  一方、植物プランクトンがαリノレン酸を多く作りますので、これを餌とする魚介類、またそれらを餌とするアザラシなどの海獣類はαリノレン酸の脂肪酸を多く含むことになります。
 このような食物連鎖は、魚から人に至るまであてはまり、養殖魚などは与えられる餌によって脂肪酸の変化が起きますので、必ずしも養殖魚の油にDHAが多く含まれるとは言えません。


プロスタグランディン


 プロスタグランディンは、体の機能をいろいろな場所でコントロールしているホルモン様物質で、分子構造上、必須脂肪酸に似ており、それゆえに「オメガ-3」や「オメガ-6」の必須脂肪酸を原料として、人間の体内で造られています。
 オメガ-3から造られるプロスタグランディンとオメガ-6から造られるものは別の系統のプロスタグランディンなので、原料のオメガ-3と6の体内でのバランスが崩れていればそれから造られるプロスタグランディンのバランスも崩れ、トラブルが生じます。
 プロスタグランディンは、現在わかっているだけでも、下記のとおりいろいろな機能に関係し、それぞれが固有の働きをするとともに、互いに相拮抗する働きをしているものもあります。
 それゆえに、プロスタグランディン同士の体内でのバランスも正常でないと体と心にトラブルが生じます。


 食物を消化する消化器官が、消化器官自身を消化してしまわないのは実は非常に不思議なことですが、これはプロスタグランディンがそれを防いでいるからです。
 ですから、最近では消化器の潰瘍の原因は、消化器の壁を保護するプロスタグランディンの不足と考える研究者が多く、原因はこのプロスタグランディンの原料になっている、「オメガ-3」の不足だという学者もいます。
 ところが、ひとくちにプロスタグランディンといっても、実はたくさんの種類があることがわかっています。
 そして、ある種のプロスタグランディンだけが過剰に作られてもバランスが悪く、やはり体の中で問題を起こしてしまいます。
 私たちの体の中で、「オメガ-6」が原料のプロスタグランディンは十分に足りていますが、「オメガ-3」が原料のプロスタグランディンは決定的に不足しています。
 それが原因でいろいろな現代病が発生しています。
 不足している必須脂肪酸「オメガ-3」を補う目的で亜麻仁油などの「オメガ-3」を積極的に摂ることは、私たちの健康づくりに大変役に立ちます。


プロスタグランディンの機能


○痛みを起こしたり、逆に痛みを止める。
○眼球、関節、血管の中の血圧を変える。
○出産、流産、生理のトラブルなどに関係。
○血圧の拡張と収縮。
○側副血行を増やしたり減らしたりする。
○内分泌ホルモンを標的器官に送り出させる。
○消化器官、目、耳、心臓、動脈などの筋肉の自動 的反射をスムースに行わせる。
○細胞中のカルシウムやイオンの出し入れをコントロ ール。
○アナフィラキシー・ショックに関連。
○十二指腸潰瘍を防ぎも起こしもする。
○利尿や塩分の体内保持をコントロール。
○血栓の形成に関係。
○発熱に関係。
○組織のむくみに関係。
○胃の消化液の分泌をコントロール。
○鼻腔の粘膜の収縮に関係。
○アレルギーやリウマチ様関節に影響を及ぼす。
○日焼けの炎症や皮膚の色をコントロール。
○神経刺激の伝達をコントロール。
○細胞分裂の促進。
○皮膚からの水分の放出をコントロール。
○ステロイドの生成を促進。

 
まず、脂肪の代謝について


 体についた脂肪は、そのままでは燃えません。まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。
 ミトコンドリアは、エネルギーを生み出す場所です。遊離脂肪酸を燃料としてエネルーを生み出すのです。こうして、脂肪は燃焼します。
 遊離脂肪酸は”L-カルニチン”CoQ10が不足していては、ミトコンドリアの中に入ることができません。このため、脂肪はうまく燃焼されません。
 遊離脂肪酸は”L-カルニチン”がないと、またCoQ10 が不足していても、脂肪はうまく燃焼されません。L-カルニチンはCoQ10 と一緒にしっかり摂ってこそ意味があるのです。
 この2つが不足すれば、脂質は燃焼されないことになります。


 2002年山梨大学のyasuiらのグループの論文によると、L-カルニチンは体の中でアセチルL-カルニチン(ALC)に変化します。
 このアセチルL-カルニチン(ALC)は脳に多く含まれており、脳内のアセチルL-カルニチン(ALC)が不足すると脳細胞は壊れやすくなります。人間の脳細胞は生まれたから日々減っていく一方で、1日に何万という細胞が壊れています。
 アセチルL-カルニチン(ALC)が不足すると、この細胞が壊れるスピードが速まり、認知症になりやすくなります。
 ですから、L-カルニチンを摂取すれば、アセチルL-カルニチン(ALC)が体内で合成され、認知症予防になります。


 使い切れなかった脂質は他のエネルギー源同様、中性脂肪に変えられ、体脂肪として蓄えられます。そのため脂質を摂り過ぎると肥満や脂肪肝の原因となり、さらに血液中の中性脂肪やコレステロールが増える脂質異常症や、メタボリックシンドローム、動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞などの原因にもなります。
 血液中に溢れる遊離脂肪酸も直接的に酸化ストレスを増加させる要因になっています。 血液中に大量の遊離脂肪酸があると、血液の酸化が亢進します。
 体内で中性脂肪・コレステロールから活性酸素により酸化した過酸化脂質は、細胞の中で新たに活性酸素やフリーラジカルを作り、更なる過酸化脂質を発生させてしまいます。
 血管内に貯まったLDLコレステロールが酸化して発生した過酸化脂質は、動脈硬化などの原因となります。
 細胞を包む膜の活性酸素産生、細胞内のミトコンドリアでの活性酸素産生も促進します。
  また、肥満化した脂肪細胞からは様々な生理活性物質(アディポカイン)や炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が分泌されます。
 これらの生理活性物質や遊離脂肪酸などが合わさって、身体の「酸化ストレス」を促進する要因となり、全身の障害を招くことになるのです。


 体の中で消費されずに貯まった脂肪分は、プロスタグランジンの原料になります。体の中には脂肪分が余っていますから、プロスタグランジンも多く作られてしまいます。
 緊急時には、細胞が脂質を分解して、私たちの体を守る物質を作ってくれます。
 例えば、私たちの体に病原菌などが感染してしまったとき、病原菌が感染した周囲の細胞からプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が、細胞膜の脂質から作られます。 プロスタグランジンやロイコトリエンは、病原菌を退治してくれる白血球という細胞を病原菌が感染した部位に集める役割を持ちます。オメガ6からのアラキドン酸が問題です。
 これらの「生理活性物質」は発熱や痛みを生じさせたりしてしまうことがあります。このように「生理活性物質」は相反する作用を持っています。
 女性の場合、そのため、多く作られたプロスタグランジンは、生理のときに必要以上に出過ぎて、子宮内膜に収縮しなさいと命令をたくさん送ってしまい、生理痛が酷くなってしまうのです。


 ですから女性の場合、脂肪分の多い食事にならないように調整すると、生理痛・頭痛を和らげることに繋がります。
  このように相反する作用を持っている「生理活性物質」の摂取アンバランスは、「酸化ストレス・炎症体質」を作る基になっています。


日常茶飯事にみられる頭痛の原因としてのプロスタグランジン


 必須脂肪酸である「アルファ・リノレン酸(オメガ3)」と「リノール酸(オメガ6)」は、体のほとんどすべての機能を調節するホルモン様物質(局所ホルモン)・プロスタグランジンの原料となる不可欠な脂肪酸です。
 現在、プロスタグランジンの材料となる「オメガ6」は大量に摂取されています。そのうえ大半の人々は、肉・乳製品・卵などの動物性食品を多く摂っていますが、そうした食品には直接「アラキドン酸」が含まれています。
 そのためアラキドン酸由来のプロスタグランジンが大量につくられ、炎症を悪化させるプロスタグランジンだけが過剰に生成されることになります。
  現在のような「オメガ3欠乏」の状態では、圧倒的に「アラキドン酸」由来のプロスタグランジンが生成されることになります。
 プロスタグランジンの原料になるのは食物の中に含まれる脂肪です。
 このため、脂肪分の多い食事を摂り過ぎますと、炎症を悪化させる”生理活性物質”であるプロスタグランジンが産生され、頭痛・痛みそのものが出現しやすくなります。
 実際に、このようなことは、”刺激を受け組織が損傷すると、まず細胞膜にあるリン脂質はアラキドン酸に変わり、更に体内にあるシクロオキシゲナーゼという酵素の働きにより発痛増強物質プロスタグランジンが生成される”といった場面で起きることです。
 (プロスタグランジンは、熱感や腫れ、発痛の増強作用があります。)
 このようにして、プロスタグランジンは日常茶飯事にみられる頭痛を引き起こしてきます。

 また、生理痛や生理時の片頭痛の原因にもなります。このことは、これまで、当ブログでも度々掲載しており、重複しますので、下記の記事をご覧下さい。


  「生理痛」と「月経時片頭痛」の異同
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945913540.html


  蛇の生殺し?・・月経時の片頭痛
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12580582237.html

 
片頭痛の発生機序に関連して


遊離脂肪酸はどのようにして生じる?


 精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
  本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
  通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
  しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから開放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
  その結果、血小板に直接作用して”血小板凝集反応”を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
  このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから開放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
  また、植物油(リノール酸)の摂りすぎやトランス脂肪酸を摂ると、体内での脂質代謝が遅延することになりますので、血液中の遊離脂肪酸濃度をいつも高い状態にしてしまうことになります。
  このように、血液中の遊離脂肪酸濃度が常に高い状態であれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても血小板の凝集や活性酸素の発生が起こり易くなると考えられます。
  一方、糖飲料などを飲み過ぎにより急激に血糖値が上がり過ぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。
  過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げ過ぎることになります。
  血糖値が下がり過ぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
  体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費が平衡を保っておれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
  特に片頭痛持ちの人はミトコンドリアの活性が低く(冷え性や低体温症など)、ブドウ糖の生成とその消費のバランスは乱れやすい傾向にあります。
  糖飲料の摂り過ぎ以外にも、過激な運動や絶食(長い間の空腹)なども糖への代謝とその消費のバランスを乱しますので血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることになります。
  このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより脳血管内のセロトニン濃度が上昇することで片頭痛を発症すると考えられます。
  または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。

 

脂質の摂り過ぎが活性酸素の発生原因に!


 ところで、「酸化ストレス’炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
 過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、そもそも過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰に摂る食習慣のほうに問題があると考えられます。
 ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マグロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。
 精神的なストレスを受けてアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を高めるために体脂肪が分解されます。このとき、体脂肪から遊離脂肪酸が生成され、血液中に溶け出して全身に送られます。
 通常、体脂肪は空腹時のエネルギー不足を補うために分解されます。ところが、精神的なストレスからアドレナリンが分泌されて遊離脂肪酸が生成されると、エネルギーとして消費されることがほとんどありませんので、その後ストレスから解放されると、血中の遊離脂肪酸濃度だけが高くなった状態になってしまうのです。この遊離脂肪酸は、血小板の凝集を促進したり脳血管壁を傷つけたりしますから、これが活性酸素を発生させる原因となってしまいます。
 遊離脂肪酸には細胞毒性(細胞を傷つける性質)が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミン(Lカルニチン)というタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(間値)を超えてしまっているということです。
 このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多く摂り過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることが分かっています。
 このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。

 
改めて、プロスタグランジンって何?


 風邪をひいて熱が出たり、頭が痛くなったりしたときにのむ痛み止めの薬「解熱鎮痛薬」は、発熱や多くの痛みを引き起こすきっかけとなる「プロスタグランジン」という体内物質を増やさないようにして、熱や痛みの症状を和らげます。


 このような「痛み物質」とも呼ばれるプロスタグランジン、どのようなときに出てくるのでしょうか。


 発熱  ウイルスや細菌などの病原体に感染して細胞が傷ついた。

 頭痛  ストレスや疲れ、ずっと同じ姿勢をとり続けることで頭の周りや首の筋肉が緊張状態に。

 歯痛  虫歯や歯が欠けたり抜けたりして、歯や歯茎などが傷ついた。

 生理痛 月経血を体外へと出すために子宮の筋肉が収縮している。


 プロスタグランジンが出ると熱によるだるさや痛みの症状が出て嫌だな、と思うかもしれませんが、発熱は熱に弱いウイルスや細菌をやっつけるための防御反応であり、痛みは「何とかしないと、もっと酷くなるよ」という体が発する“警報”でもあります。
 また、プロスタグランジンは生理を起こすのに必要な物質でもあるので、生理があるべき女性の体内で、適切な時期にきちんと出てくれなくては困ります。


 プロスタグランジンのもう1つの働き


 プロスタグランジンには、「胃の表面を覆う粘膜の血流をよくする、傷ついた細胞を修復する」といった胃粘膜の保護作用もあります。毎日胃が正常に働くために、大切な働きをしています。


 多くの解熱鎮痛薬にはプロスタグランジンをできにくくする「アスピリン」「イブプロフェン」などの成分が含まれます。そのほか、プロスタグランジンをできにくくするのではなく、脳が痛みを感じにくくする「アセトアミノフェン」という成分が含まれたものもあります。
  「アスピリン」「イブプロフェン」などの成分が含まれた薬は15歳未満の子供が飲むと重い副作用が出る場合があります。そのため、子供用の解熱鎮痛薬には「アセトアミノフェン」という成分が使われることが多いようです。
 お腹が痛くなった原因が、食べ物を消化させる胃酸の出すぎによって胃の粘膜が傷ついてしまった「胃痛」だったら?アスピリンやイブプロフェンが入った解熱鎮痛薬をのむと、プロスタグランジンが減ってお腹がさらに痛くなるかもしれません。
 アセトアミノフェンにはプロスタグランジンを減らす作用はないので、「お腹が痛いときにのんだら、さらにお腹が痛くなった」なんてことはなさそうですが、胃痛からくるお腹の痛みを解決してくれるわけではありません。
 胃痛を治すには、胃粘膜を傷つけてしまう胃酸を出にくくする成分、胃酸の出すぎで酸性になった胃の中を中和する成分、傷ついた粘膜を修復する成分などが入った薬が必要です。でも「お腹が痛い」のが胃痛ではなく生理痛だったら、選ぶべきなのはやはり解熱鎮痛薬なのです。
 人間には本来、病気やケガを自分で治す力、「自然治癒力」が備わっているので、安静にしていれば治る痛みもあります。痛くなったらすぐ薬を飲んだほうがいいとも言えませんが、痛くて学校に行けないときや、食事ができないときなどは、我慢せずに薬を使いましょう。


 薬を飲んで痛みを和らげるような、症状を軽くする治療法を「対症療法」と呼びます。
 小さな切り傷や軽い風邪がいつの間にか治るのは自然治癒力のお陰ですが、つらい痛みや発熱などの症状があり、体力が落ちた状態が続けば自然治癒力だけでは治るのが遅くなったり、重症になってしまったりするので対症療法で自然治癒力をサポートします。
 一方、病気の原因そのものをなくす治療法を「原因療法」と呼びます。ウイルスや細菌などの病気の原因となる病原体をやっつけて、症状が重くなるのを防ぎます。インフルエンザに対する抗ウイルス薬、中耳炎や細菌感染による腸炎に対する抗生物質などが原因療法として用いられます。ただしこれらの場合も、傷ついたからだの細胞をもと通りにしてくれるのは自然治癒力です。
 薬は自然治癒力の強い味方ですが、できるだけ病気にならないために、また病気になっても軽くてすむように日ごろから自然治癒力を高めておきたいものです。そのためには十分な栄養や睡眠、適度な運動、規則正しい生活といった健康的な生活習慣が一番大事です。 つまり「健康なからだ=自然治癒力の高いからだ」なのです。


 風邪をひいて熱が出た……。だれもが経験したことあるはずです。でも、どうして熱が出るのでしょうか。「治ろう」とするからだの力を助けてくれる、強い味方に出てきた、病気やケガを自分で治す力、「自然治癒力」と深い関係があります。
 熱が出るのは、風邪を治すために“必要だから”なのです。
 風邪は、原因となるウイルスが、私たちの体内で増え、喉の痛みや鼻水、発熱、頭痛といったさまざまな症状を引き起こす病気です。症状が重くなる前に何とかしなくては!ということで、高温に弱いウイルスが増えないように体温を上げているのです。
 頭が痛い、虫歯が痛い、切り傷や打撲、やけどの痛み……。こうした痛みを感じるのも、実は病気やケガを治すために必要な段階といえます。

 ところで、痛みをまったく感じなかったら、どうなるでしょうか?病気やケガに気づくことができず、健康なときと同じように動き回ったり、傷口の手当てをしなかったりしたら、病気やケガがどんどんひどくなってしまいますから。

 では発熱や痛みは我慢すべきかというと、そうでもありません。発熱や痛みが長時間続けば、体力を消耗して病気やケガが治りにくくなります。そこで薬の出番です。


 熱が出てからだのあちこちが痛むようなときにのむ薬は、「解熱鎮痛薬」と呼びます。「熱を下げ、痛みを鎮める」というのがセットになっているのはなぜか? 実は、熱を上げるのも、多くの痛みを引き起こしているのも、もともとからだの中にある「プロスタグランジン」という物質なのです。

 薬はからだの中で起きている作用を、強めたり弱めたりすることで効果を発揮します。
  現在最も広く使われている解熱鎮痛薬は、からだの中でプロスタグランジンが作られるのを抑えて効果を発揮します。アラキドン酸という物質からプロスタグランジンを作りだす酵素の働きを抑えるのです。このタイプの薬の成分で、最も歴史が長いのが「アスピリン」です。
 ちなみに、プロスタグランジンには胃粘膜を保護する作用もあります。なので、プロスタグランジンが作られるのをブロックするタイプの解熱鎮痛薬をのむと、胃を荒らす原因に。病院で解熱鎮痛薬と一緒に胃薬が処方されることがあるのも、納得できると思います。
 発熱や痛みのもとになるプロスタグランジンを抑えるタイプの薬は、子供が飲むと重い副作用を引き起こすことがあるため、原則的に禁止されています。子供用の風邪薬には、脳の中にある痛みを感じる部分に働きかけ、痛みを感じにくくする「アセトアミノフェン」という成分が使われています。
 アセトアミノフェンがどのように作用するのかについては、まだ解明されていない部分も多いのですが、「痛い」と感じるレベルを上げていると考えられています。


最近、テレビで宣伝される「ロキソニン」はどんなお薬なのか。


 [ロキソプロフェンナトリウム水和物]は、三共株式会社(現 第一三共株式会社)が開発した非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)で、1986年に医療用医薬品「ロキソニン」として承認を取得、発売され、すぐれた有効性と安全性で長年にわたり国内で汎用されています。
  開発されてから、30年もの間、ロキソニンは良く効く鎮痛剤として医師によく処方されてきました。基本的にはほとんどの痛みに効果があるため、ほとんどの科の医師が使っているという現状があります。


では、ロキソニンはなぜさまざまな痛みに効果があるのでしょうか?


 例えば足の骨を折ったとしよう。骨が折れたらとても痛い。痛みを感じているのは脳ですが、脳が痛みを感じるための「痛み物質」があるのです。骨が折れたとき、折れた骨の周辺では骨と同時に筋肉も脂肪もダメージを受け、「炎症」が生じます。「炎症」とは赤くなって熱を持ち、足は腫れ上がる現象のことです。この「炎症」が起こると、「痛み物質」が大量に放出されます。この「痛み物質」が脳に届くと、脳は痛みを感じ同時に体温を上昇させるのです。

 この「痛み物質」の発生を抑えるという働きが、ロキソニンの作用です。だから基本的には、ロキソニンは炎症を起こすような身体のすべての痛みに効果があるし、熱も下がるし、腫れも引いてくるのです。これが消炎(炎症を消すという意味)鎮痛(痛みを鎮める)剤という名前の所以です。

 なお余談ですが、この「痛み物質」なんていう機能は無い方が良かったじゃないかと思われるかもしれないが、このシステムにより、脳は人間を安静にさせたり怪我をしたという注意報をその本人に届けているという役割があります。痛みは生命維持に欠かせないセンサーなのです。(これを「自然治癒力」と言っています。ロキソニンはこの自然治癒力を抑えつけて、分からないようにさせて効果を発揮します)


もともとロキソニンは副作用の多い薬


 このロキソニンはそんな理由で幅広く処方されてきましたが、2011年から市販もされさらによく使われるようになりました。薬には市販後調査というシステムがあり、市販したあとに重い副作用が出ていないかをチェックするものですが、このロキソニンSの市販後調査では かなり副作用が報告されています。


 我々医師としても、ロキソニン、そしてそのジェネリック薬品のすべては副作用が多いという認識があります。なかでも胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化管の障害や、腎臓への障害を起こした患者さんをしばしば経験します。現在、日本の多くの手術後の痛み止めとしてロキソニンあるいは同じ作用の薬剤(「ロピオン」「ボルタレン」など)を使う医師は多いと思われます。
  一方諸外国ではその副作用の多さからあまり処方されず、手術後の痛み止めとしても使われないことが多いのです。

 
 以上、脂肪酸由来物質であるエイコサノイド(プロスタグランジンなど)は、単純に「鎮痛」の面だけに限って考えてみても、オメガ3とオメガ6は、「自然治癒力」からは、お互い相反する働きがあることはお分かり頂けたと思います。
  これが、私達の日常的に感じる極く軽度の頭痛の原因にもなっており、女性の場合生理痛・生理時片頭痛の原因にもなっています。
  こうしたことから、油(アブラ)の摂り方に注意する必要があります。


 詳しくは、以下の記事をご覧下さい。


   ”生理活性物質”
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12580546078.html


 問題は、「現代臨床頭痛学」では、「生理活性物質」といった概念そのものが欠如しています。このようなことからも、慢性頭痛が治らない原因にもなっています。

 

 


 ここでコマーシャルです

 

  頭痛が気になったら・・
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12644567389.html