ホントです。頭痛薬を頻回に飲んでますと”薬剤乱用頭痛”を起こしてきます。
まず、その代表的な症例を呈示します。
頭痛薬の飲み過ぎが、頭痛の原因になることってあるんでしょうか?私は10年くらい片頭痛にずっと悩まされています。そのおかげで毎食後に頭痛薬を飲むクセがついてしまいました。
頭痛薬はロキソニンを主に服用しています。パソコン仕事がメインです。
朝起きた瞬間から鈍い頭の重さに悩まされ、PCの電源を入れて椅子に座った直後にはいつものいやーな痛みが襲ってきます。
酷い時には布団から出られないほどの頭痛。これでは仕事も普通の生活さえできません。
病院に行って脳内の検査をしてもらったところ、先生からは特に原因は見当たらない、とのこと。
そんなはずはないと思って、いろんな病院を訪ねるも、みんな先生は首を横に振って「薬で様子をみてくださいね。」としかいいません。
先日、酷い先生に否定されました。
「あなた、そんなに薬が美味しいの?薬ばかり飲んでるから頭痛になるんだよ。それで訪ねて来られても困る。甘えないでください。」
ものすごく腹の底から怒りを感じました。きっとこの先生は頭痛に苦しんだことがないんだって。痛くて痛くて仕方がなく病院に訪れているのに、なんでそんなことを簡単に言えるのだろう。自分が情けなくて泣けてきました。
でも、確かに薬を飲み続けています。あまり高額な薬を服用するのはイヤなので(キツイ&高い)、ロキソニンを毎食後に飲んでいます。
とにかく今から起きる頭痛を少しでも軽くすればいい。それ一心で飲んでいます。
でも最近、胃が痛い。きっと薬の影響で胃がボロボロになってきているのでしょう。でも頭痛薬がないのは怖い。
精神的なものも影響していると思いますが、頭痛薬を飲みすぎることは危険な事でしょうか?
また頭痛薬が頭痛を引き起こしている、ってことは本当にあるのでしょうか?あの医者の言葉がどこかで引っかかっています。
どなたかお詳しい方、教えてください。はやく頭痛を治したい。本当にそれだけです。
この方の頭痛は、典型的な「薬物乱用頭痛」です。
薬剤乱用頭痛
このように、頭痛の際に服用される頭痛薬が頭痛の原因となってきます。
信じられないかもしれませんが、この”頭痛薬”には、皆さんが手軽に服用される市販の鎮痛薬、さらに病院で処方される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、エルゴタミン製剤、さらに片頭痛で現在最も多く使われるトリプタン製剤も含まれています。
こういったことから、病院で処方される”おくすり”だからといって決して安心してはなりません。この点が、慢性頭痛をセルフケアしていく上で重要なことになってきます。
それでは、どうしてこうした”頭痛薬”で薬剤乱用頭痛が起きてくるのでしょうか?
まず、市販の鎮痛薬ですが、これらの鎮痛薬には、大半のものはアセトアミノフェン、とカフェインが含まれています。皆さんがよくご存じのカロナールが代表的なものです。
このカロナールは、現在では発売中止となったセデスGの後釜です。セデスGは私の片頭痛時代にはいつも愛用していた程、麻薬並みの鎮痛効果がありました。セデスG中止後は、これに代わって”SG配合顆粒”となりましたが、これは以前のセデスGと比較すれば、何も効かないというのが私の感想です。これに類似したものがカロナールです。これも同様で、大して変わりはないようです。これは”十分な薬効量が含まれていない”ためです。こうしたことから、本年2月からアセトアミノフェンを1錠中500mgが含まれるものが発売されるようになりました。私も片頭痛の患者さんに試して頂きましたが、従来のものよりは格段に効果があるとのことでした。こうしてみますと、”1錠中500mg”が鍵を握っているようです。しかし、皆さんが購入されるものには、このような有効量は含まれず、大半は、この半分以下しか含まれておりません。こうしたことから、服用しても服用しても効果がないため、つい錠数が増えてくることになります。これらにはカフェインが同時に含まれますので、カフェイン中毒になるため、薬剤乱用頭痛を作ってしまうことになります。
また、市販の鎮痛薬のなかには、最近は少なくなったようですが、アスピリンを含むものがあります。このアスピリンはミトコンドリアの働きを悪くさせるために、片頭痛の方々が服用されますと、益々、頭痛を悪化させ、薬剤乱用頭痛に至ってしまいます。
このような市販の鎮痛薬でなく、人によっては風邪薬を常用される場合もあります。
この理由は、”咳止め”を目的としたリン酸コデインが風邪薬に配合されており、オピオイドという麻薬のような成分が含まれるため、”オピオイド乱用頭痛”となってきます。
また病院で処方される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)があります。
最近では、市販薬としても販売されています(ロキソニン)。必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスに問題があれば、その効き目を十分に引き出すことができず、つい服用回数が増えることになって薬剤乱用頭痛を作ることになります。
現在のトリプタン製剤が販売される以前は、エルゴタミン製剤が片頭痛治療薬の主流でした。エルゴタミン製剤は前兆のある片頭痛の場合、制吐剤をうまく併用することによって抜群の効果を発揮していましたが、問題は前兆のない片頭痛の場合、服用のタイミングが極めて難しく、患者さんはつい”先手””先手”で服用せざるを得なくなって、知らぬ間に過剰服用となって薬剤乱用頭痛を引き起こしていました。
現在では、エルゴタミン製剤はクリアミンとして残っておりますが、クリアミンの効能書きには、”頭痛治療薬”と銘打たれ、緊張型頭痛にも片頭痛にも保険適応となっていることから、一般開業医は頭痛診断がどうであれ、安易に処方され、極端な場合は1日3回毎食後、延々と処方され、薬剤乱用頭痛を量産させていることも忘れてはなりません。
そして、現在のトリプタン製剤ですが、片頭痛の場合、効くひとには麻薬並の絶大な効果を発揮するため、つい飲み過ぎに繋がってきます。トリプタン製剤は、大半は有効時間が短いため、片頭痛発作の持続時間が長いと、1回の服用で頭痛を抑制できずに、服用回数が増えざるを得ないという宿命にある薬剤で、市販の鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、エルゴタミン製剤より以上に ”薬剤乱用頭痛を引き起こしやすい薬剤”とされていますので注意が必要です。
これまで、片頭痛診療の重鎮とされる名古屋の寺本純先生は、このような薬剤乱用頭痛の治療の難しさをこれまで訴えてこられ、特に”トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛”を改善させる難しさを強調され、”従来の予防薬”では全く効かないとされ、最近ではボトックス治療による方法を提唱されます。そして、先生は、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛からの脱却にはボトックス療法しか現状ではないとされます。そして、その有効率は、1年以内で80%であり、残りの20%は脱却できないとされています。
このように、一旦、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛に陥れば、運が悪ければ、一生、頭痛で苦しむことを余儀なくされてしまうことを意味します。まさに、頭痛地獄の絵図そのものということです。
参考までに、寺本先生の提唱される「ボトックス治療」は現在、保険適応はなく、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛から脱却する唯一の方法でありながら、簡単に・身近な医療機関では受けることは出来ないのが現在の日本の状況です。
ですから、一旦、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に至れば、治すことは至難の業です。
トリプタン製剤は、効くひとには絶大な効果があるため、つい飲み過ぎになってきます。 しかし、このような”トリプタンによる薬剤乱用頭痛”に至れば、脱却は極めて困難になるということを認識しておく必要があります。
薬剤乱用頭痛の発生機序
ところで、このような「薬物乱用頭痛」はどのようにして起きるのでしょうか?
これまでは、以下のような説明がオーソドックスのようです。
市販の鎮痛薬の長期乱用などに伴い興奮性が非常に高まった状態になるという考え方があります。こうしたことから片頭痛発作時にトリプタン製剤を勧める医師もいますが、こうした考えで、安易に服用すれば、容易にトリプタンによる薬剤乱用頭痛を作ります。
その理由は、苦しい片頭痛という痛みだけをトリプタン製剤で取り除いていますと、その根底にある病態は次第に増悪してくることになります。このため、自然と服用回数が増えてくることは避けることができません。このため、必然的に服用回数が増加して最終的には「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」に至ります。
また、鎮痛薬を絶えず飲んでいますと、伝わってくる痛みを鎮痛薬が取ってくれますので、脳の痛み抑制センターが仕事をしなくなり、ちょっとした痛みでも、痛い、と感じるようになります。するとまたすぐに鎮痛薬を飲む、センターはますます仕事をしなくなる、また痛みを感じる、また薬を飲む、という悪循環に陥ります。
以上のようにも申されます。痛み止めを多く飲み過ぎると、脳の痛みの調節系は働く必要がなくなり、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを飲むことになり、悪循環になります。痛み調節系の機能低下により頭痛が毎日くるようになったと思われます。このように説明されています。
しかし、私は、以下のように考えております。
病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質は、体にとっては異物なのです。
これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまうのです。
そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程で、活性酸素が発生してしまうのです。このため、過剰に服用した鎮痛薬は異物そのものであり、これを解毒するために過剰に活性酸素が発生することによってミトコンドリアを弱らせることによって、片頭痛を増悪させます。さらに「セロトニン神経」の働きまで悪くすることになります。このために「脳内セロトニン」の低下をもたらすことになります。
薬は現代の医療において、欠かせないものですが必ず副作用というものがあり、これが”化学的ストレス”になるのです。
薬物乱用頭痛の場合、このように鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤の飲み過ぎは、当然、”化学的ストレス”になって来ます。
ストレスは個人差というものがあります。ストレスに強い人と弱い人はいるのです。
ストレスに強いかどうかは生まれつきの性格や経験によって左右されると考えられてきたのですが、最近の脳科学の研究によって、そうではないことが分かってきましたのです。
ストレスに対する耐性の違いは”脳の活性化”と深く関わっているのです。
「ストレスに弱いとセロトニンの量が減少しやすい」です。
人間の体は、肉体的、精神的、物理的、化学的なストレスを受けると、脳内の視床下部のストレス中枢が刺激されるのです。そうすると、セロトニンが多く放出され、その量が減少してしまうのです。いずれにせよ、ストレスに対応するセロトニンの分泌量が少ないと、痛みを感じやすくなって来ます。これが、薬剤乱用頭痛へと繋がってきます。
いずれにしても、長期間にわたって「鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤」を飲み続けますと「セロトニンの枯渇状態」を引き起こす結果に至り、脳内セロトニンの低下は、”痛みの閾値を下げる”ため痛みを感じやすくさせるために、薬剤乱用頭痛を引き起こしてくることになります。
薬剤乱用頭痛を予防するには
このような薬剤乱用頭痛の特徴は、飲んでも飲んでも効果がなく、かえって頭痛を酷くさせることになります。そして、目が覚めた朝方から頭痛を訴えてくることになります。
こういったことから、頭痛治療は、”薬剤乱用頭痛との戦い”といっても過言ではありません。このような”頭痛薬によって頭痛が引き起こされてくる”というジレンマがあることを理解しなくてはなりません。
薬剤乱用頭痛を引き起こさないためには、こうしたお薬を”月に10回以内”に抑えることが重要となりますが、そう簡単にはいかないのが実情です。このように「お薬を月に10回以内に抑える」ためには、どのようにすべきかを考えなくてはなりません。
ここが重要なことでありながら、「お薬を月に10回以内に抑える」ための手段として頭痛専門医は”予防薬”を使うことを勧めます。しかし、こうした予防薬の効果にしても、的確なものは何一つないのが現状であるにも関わらず、このようなことを勧めます。
このように”予防薬の効果”が発揮される以前の段階で薬剤乱用頭痛を引き起します。
先程も述べましたように、予防薬といえども人体には有害なものであり、化学的ストレスとなるものです。
このためにかえって、頭痛を増悪しかねないことになります。
このように考えてみれば、薬剤乱用頭痛に至る原因は、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、これで解決したと考えることにあります。
慢性頭痛とは、私達の生体の生活のリズムの歪み(乱れ)すなわちホメオスターシスの乱れから起きてくる頭痛です。この「生活のリズムの歪み(乱れ)」の原因を突き止めることが最も重要になってきます。この原因を自分で把握しなくてはなりません。
前回は、この点について述べました。すなわち、私達が日常的に感じる極く軽度の頭痛が、どのようにして引き起こされているのかを述べました。ですから、市販の鎮痛薬で、こうした軽い頭痛は抑制されますが、納まっても根底には頭痛を引き起こす原因は残存して消去されていませんので、次第に蓄積し、最終的に鎮痛薬そのものが効かなくなります。
トリプタン製剤は、効くひとには絶大な効果があるため、つい飲み過ぎになってきます。 しかし、このような”トリプタンによる薬剤乱用頭痛”に至れば、脱却は極めて困難になるということを認識しておく必要があります。現実には、発作時にトリプタン製剤を服用せざるを得ないことも事実ですが、必ず平行して「生活習慣の改善」を同時に行って、根底にある病態を是正させておくことが絶対条件となってきます。
こうしたことから、「生活習慣を改善」させることなく、安易にトリプタン製剤を服用すべきでないということです。
以上、薬剤乱用頭痛は、各種の諸々の鎮痛薬を頻回に服用することによって、ミトコンドリアを弱らせ、脳内セロトニンを枯渇させることによって起きてきます。
このため、こうした鎮痛薬を服用する際には、「生活のリズムの歪み(乱れ)」の原因を突き止め、必ず平行して「生活習慣の改善」を同時に行っていくことが絶対条件となってきます。これが薬剤乱用頭痛を予防すると同時に、片頭痛を根治させる方法ともなります。
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