運動すると頭痛が・・ | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

  まず、片頭痛は運動で誘発されることがあります。
  一方、運動すると激しい頭痛が起こるものに良性労作性頭痛という頭痛があります。
 水泳、ウェイトリフティングなどで起こりやすいのですが、網引き、スキーなどでこの頭痛が起こることもあります。
 これらの運動に伴って、頭ががーんと痛み出します。初めて経験したときはくも膜下出血や脳出血の可能性も考えられますので、病院を受診し、CTなどの検査をきちんとお受けになることをお勧めします。頭痛を引き起こすような病気がなければ、良性労作性頭痛としてインドメサシンという鎮痛薬、あるいはプロプラノロールの内服が予防効果があります。それでは、良性労作性頭痛とはどのような頭痛なのでしょうか。


一次性運動時頭痛


 運動によって誘発される一次性運動時頭痛のことを言います。           
 有病率は1%程度とされていましたが、最近は、頻度はもう少し高いと考えられています。若年者に多いと言われています。                     
 一次性労作性頭痛の治療にはインドメサシンが有効とされます。             

 「国際頭痛分類 第2版」では、「一次性労作性頭痛」と呼ばれていたもので、その前には良性労作性頭痛ともいわれ、「運動誘発性片頭痛」との関連も指摘されていました。
 運動により誘発される片頭痛をよく経験します。運動によってのみ誘発される片頭痛と鑑別するのは難しいと考えています。


一次性運動時頭痛の「国際頭痛分類 第3版 β版」での診断基準を示します。


 診断基準からは拍動性の頭痛という特徴は削除されましたが、拍動性が多いようです。


1.2 一次性運動時頭痛


A.BおよびCを満たす頭痛が2回以上ある
B.激しい身体的な運動中または運動後にのみ誘発されて起こる
C.48時間未満の持続
D.ほかに最適な「国際頭痛分類 第3版 β版」の診断がない


 それでは、一次性運動時頭痛、従来の「一次性労作性頭痛」とされていた時代からの観点から概説してみたいと思います。


一次性運動時頭痛


はじめに


 良性労作性頭痛は1988 年の国際頭痛分類に従いますと、頭痛がなんらかの運動に引き続いて生じるものと定義されています。この中には重量挙げの頭痛も含まれています。
 この頭痛と診断する基準は、この分類の中で、以下のように提唱されています。


①肉体運動によって特異的に生じる。
②発症時は両側性かつ拍動性の頭痛であり、片頭痛の素因がある人では片頭痛発作に進展することもある。
③5分ないし24時間持続する
④過度の運動をとくに暑いときや高地でおこなわないことで防ぐことができる。
⑤全身疾患や脳内病変を伴わない(労作性頭痛は、人によってはエルゴタミン製剤、メチセルジド、プロプラノロール、あるいはインドメサシンを運動前に服用することで予防することができる)


歴史


 アダムス(1948年)によれば、すでにギリシャ時代にヒポクラテスは「医師たるものは体操、ランニング、歩行、狩猟あるいは時機を得ない運動や性交から生じる頭痛を診断することができなければならない」と述べています。


臨床症状


 これまでに誘因としてあげられた運動には次のようなものがあります。
 ランニング、ボートこぎ、テニス、レスリング、クリケット、園芸、性交、サッカーのヘデイング、重量挙げ、排尿、排便、入浴時のいきみ、水泳とくにダイビング、エアロビクス、マスターベーシヨン、性交の体位をとる、ジョギングなどで、ほとんどありとあらゆる運動で誘発されることがわかります。とくに最近フイットネスを始めた人がなりやすいようです。その一方で、軽い散歩、ふつうの水泳、トレッドミルや自転車こぎでは起こりにくく、バルサルバ法による息こらえでは誘発できません。
 男女差では、男性対女性の比率を5.4 対1としたシルバートらの報告もありますが、多くはロビンスがあげるように、男女差なく生じうるとすることが多い。年齢は40 歳以上に多い。
 頭痛の持続時間はごく短いものから、15 ~ 20 分の短時間のもの、あるいは1日から数日に及ぶものまで、さまざまであります。
 予後は一般によく、自然に軽快することが多い。人口比では、一生のうちに一度でも経験する人は約1%と報告されています。


病態生理


 良性労作性頭痛は単一の疾病ではなく、肉体運動に伴って頭痛が誘発されます。一連の疾患群です。その原因として多いものは


①急性緊張型頭痛
②高血圧に伴う頭痛
③脳圧亢進に伴う頭痛
④動脈の拡張に伴う頭痛
⑤無酸素脳症に伴う頭痛
⑥元来有している頭痛を誘発するもの


 実際の臨床では①と②、そして⑥をみることが多い。①の急性緊張型頭痛は、トイレで下をむいていきむ、サッカーでヘデイングを行う、重量挙げでいきむ、などの時に突然後頭下部にガーンとする激しい痛みが生じ、しばらくのあいだ拍動性頭痛が続く。両側性の場合も片側性のこともあります。とくには激しい痛みが数日続くこともあります。この痛みはうつむいたり、いきむと増悪し、後頭下部の筋付着部の損傷によるものです。
②の高血圧に伴う頭痛は1963 年にウオルフが性交時に頭痛を呈した3人の女性患者でその可能性を指摘しました。さらに36 歳の褐色細胞腫の患者で、血圧が126/90 mmHg から200/120 mmHg に上昇したときに両側の側頭部に拍動性頭痛が生じ、この頭痛は物を持ち上げる、うつむく、便でいきむ、食べ過ぎる、体をある方向にひねるなどで容易に増強されたことを報告しました。
 高血圧に伴う頭痛は、一般に収縮期血圧200mmHgあるいは拡張期血圧110mmHgを越えるときに生じ、両側頭部がズキンズキンと拍動性に痛む頭痛と、後頭部に板が張り付いたような重い頭痛とがあります。水泳や性交に伴う頭痛の多くは高血圧が関与していると思われます。


③の脳圧亢進に伴う頭痛は、急にいきむ、ダイビングで飛び込むなどのときに起こりえます。
 特に頚椎上部に先天性の奇形が存在しますと、労作時やいきむことで頭痛を起こしやすくなります。フーバートの例は47 歳の女性で、2年半にわたって良性労作性頭痛が続いていました。頭蓋X線、CTは正常でしたが、MRIによってキアリI型の奇形が見いだされ、手術によって発作が消失しました。


④の動脈拡張に伴う頭痛は、水泳時などで血管収縮にひき続いて起こりえます。溝口らの報告した症例は67 歳の女性で、水泳中に両側性、拍動性の頭痛が生じました。この頭痛はバルサルバ法(力ませる動作をさせる)では再現できませんでした。インドーらは30を報告しています。51 歳の女性は水泳を始めてから20 分後に側頭・頭頂領域に拍動生頭痛が始まり、嘔吐を起こしました。45 歳男性はダイビング直後に拍動生頭痛が始まり、嘔吐を伴いました。
 32 歳男性は海で泳いでいるうちに拍動性頭痛を起こしました。いずれの例も診察時の血圧は正常でした。


⑤の酸素欠乏症についてはウオルフが興味深い実験をしています。それによりますと、低酸素室に入った2例のうち1例で、最初に後頭部痛が始まり、これが全体に広がっていきました。頭痛の程度は軽度ないし中東度でしたが、拍動性でした。短時間息こらえをすると頭痛は一過性に悪化しました。しばらくの間息をこらえさせると、その間痛みは薄れましたが、息を吐くとともに頭痛がもどってきました。頚部を圧迫したところ頭痛を軽減することができました。
 動脈の拡張が酸素欠乏時の頭痛に関与していると考えました。このような頭痛は高山でよく経験します。また、血中の炭酸ガス分圧があがると脳の動脈が拡張して、頭痛を生じます。この際の頭痛は拍動性であり、頭がふらふらする感じがあり、顔面は紅潮し、光に過敏になります。一方で、一酸化炭素中毒の際には激しい拍動性頭痛を生じますが、これも血管の拡張が関与しているといいます。


⑥の、元来有する頭痛発作を誘発することは日常よく目にするところであります。マイヤーらは、18 ~ 50 歳の5人の長距離ランナーで、ランニング中に閃輝暗点を伴う典型的片頭痛を生じたことを報告しています。このうち3例はこれまでに片頭痛の既往があり、5例とも片頭痛の家族歴を有していました。
 ロビンスも、良性労作性頭痛は元来片頭痛の既往のある患者に起こりやすいと述べています。また、マッセイの3例はいずれも典型的片頭痛に類似した頭痛発作をランニングの間に誘発しました。


 以下にこれまでに経験した例をあげてみます。


1.急性緊張型頭痛


29 歳女性:トイレでいきんだとたん、後頭部に激しい拍動性頭痛が始まった。
57 歳女性:重い荷物を持ち上げたとたん、後頭部に強い拍動性頭痛
52 歳女性:トイレでいきんだとたん、後頭部がガーンと痛みだした。
57 歳女性:トイレでいきんだら、後頭部に強い拍動性頭痛
46 歳男性:トイレでいきんだら、突然激しい拍動性頭痛
31 歳男性:トイレでいきんだら、激しい拍動性頭痛
24 歳男性:トイレでいきんだら、急に後頭部痛
55 歳女性:トイレで嘔吐をしたら、以後後頭部痛が続く。
31 歳男性:バーベルを持ち上げた瞬間、後頚部から後頭部にかけて強い頭痛が始まり、その後、重い物を持つと、後頭部にガッツとしめつけるような頭痛が起こり、眼窩後部に広がる。
46 歳男性:重い物を持ったとたん、後頭部痛
24 歳男性:バーベルで後頭部を打ったらブチッツと音がし、以後強い後頭部痛
38 歳女性:ゴルフの練習後、後頭部痛が2週間続いた。
49 歳男性:ゴルフの練習後、後頭部痛が続く
39 歳男性:寒い中ゴルフをしていたら、突然左側頭部から後頭部の激しい頭痛が始まった
72 歳男性:強い咳を繰り返したら、ガンガンする頭痛が始まった
 これらはいずれも後頭下部の後頚筋付着部に強い圧痛があり、ここを1%キシロカインで浸潤麻酔した例では、頭痛が直ちに消失している。


2.血圧と頭痛


31 歳男性:両側頭部を中心にズキンズキンと締め付けるような頭痛があり、咳をするとさらにキーンとするように痛む。血圧260/mmHg.降圧剤で頭痛消失。
45 歳男性:マスターベーシヨンやセックスの際、とくにオーガズムの際に両側頭部に激しい拍動性頭痛があり、ときにキーンとなる。血圧220/120mmHa.降圧剤で症状が消失。


3.水泳と頭痛


53 歳女性:水泳中に両即の拍動性頭痛が生じる
50 歳女性:泳いでしばらくすると頭がしめつけられるような痛みが始まる。
 嘔気、嘔吐はない。高血圧あり(外来で170/100mmHg)
 55 歳女性:水泳中、両前頭部がズキンズキンと痛む。
51 歳女性:水泳中、後頭部と後頚部がズキンズキンとひどく痛む。血圧190/120mmHg.降圧剤で症状が消失。
47 歳女性:水泳をしてしばらくすると両側の拍動性頭痛
55 歳女性:水泳をしていると、右側頭部の拍動性頭痛。嘔吐。


4.その他の運動と頭痛


30 歳男性:ジョギングで走っていて、疲れてくると、左後頭部がズキンズキンと痛む。後頭下に圧痛はなく、血圧は正常で、頭部CTも正常
59 歳女性:エアロビクス中に左後頭部に頭痛。
48 歳男性:ボクシング中、急に両側頭部の拍動痛。血圧160/102mmHg.降圧剤で頭痛消失。


鑑別診断と検査


 くも膜下出血の頻度が高いので、CTと必要に応じて髄液検査の必要があります。アーノルド・キアリ奇形を見逃さないように、必ずMRIで矢状断撮影をおこなうことが大切です。時には狭心症のような痛みを頭痛として感じていることもありますので、注意が必要です。


治療


 誘因となる運動をさけることは当然ですが、薬物療法としてはインドメサシン、あるいはプロプラノロールの内服が予防効果があります。発作時には頭を氷で冷やすとよいでしょう。とくに急性緊張型頭痛では後頭下の圧痛点に浸潤麻酔をするとよく効きます。


  以上のように述べられています。


「一次性運動時頭痛」と「片頭痛」の関係


 片頭痛は、ミトコンドリアの機能障害による頭痛です。。
 ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。  少量の活性酸素は有効に役立てられますが、活性酸素が増えてしまうと、害を及ぼします。
 活性酸素は、ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に生じてくるもので、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。
 私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。


 激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをしてふつうに生活しているときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。 
 この過剰に産生された活性酸素が、片頭痛発作の”引き金”になってきます。
 この場合、ミトコンドリアの働きの善し悪し如何によって、同じ運動を行っても、ひとによっては”過剰な・激しい運動”になり、活性酸素が過剰に産生されることになり、片頭痛発作の引き金になりうる場合があるということです。
 自分の「ミトコンドリアの働き」に見合った”運動”であれば、活性酸素も過剰に産生されることもなく「一次性運動時頭痛」を引き起こすこともないということです。
 こうしたことから、自分の「ミトコンドリアの機能状態」と「運動の程度・強度」が関係しているということにほかなりません。


 あくまでも相対的な関係にあり、絶対的なものではないということです。


 ミトコンドリアはちょっとした生活習慣や運動によって1週間程度で劇的に増やせることも分かってきました。しかも私達はミトコンドリアが増えることを実感することが出来ます。
 このため、少しずつミトコンドリアを増やすようにすれば、いずれ起きなくなってきます。運動の強度を少しずつ増やしていくことが大事になってきます。
 このように片頭痛の場合は、ミトコンドリアを増やす工夫をすることにより、運動によって発作は誘発されなくなってきます。


「一次性運動時頭痛」と「緊張型頭痛」の関係


 「一次性運動時頭痛」と「緊張型頭痛」の関係では、緊張型頭痛の場合、もともと「体の歪み(ストレートネック)」が存在しているわけですので、ここに激しい運動や努責が加わることによって、過剰な筋緊張がもたらされることによって、「一次性運動時頭痛」が誘発されてくるものと考えられます。このような「体の歪み(ストレートネック)」さえ存在しなければ、「一次性運動時頭痛」は引き起こされないということです。


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