「視床下部」は身体全体の調子をうまく整えるように働いています。たとえば、体温は身体の状態や環境にあわせて、知らないうちに調節されています。「よし、今から体温を38℃に上げるぞ」と意識してもできません。視床下部は、無意識のレベルで身体をコントロールしている司令塔と言えます。ホメオスターシスの司令塔になっています。
ここに、食欲にかかわる大切な中枢が2つあるのです。一つは「摂食中枢」(空腹中枢)で、お腹がすいたと感じて食べようと指令するところです。もう一つは「満腹中枢」で、お腹がいっぱいになったと感じて食べるのをやめようと指令するところです。普通の人は、この2つのバランスがうまく保たれています。ですから、「空腹を感じて食べ始め、満腹感とともに食べるのをやめる」ことができるのです。いろんな原因や病気によって、このバランスが崩れると、食べ過ぎて肥満症になったり、食べるのを拒んで「やせ」や「拒食症」になったりします。皆さんの「摂食中枢」と「満腹中枢」は、喧嘩をせずに仲良くバランスを保っていますか?
不思議なことに、野生動物には肥満症や拒食症はないとされています。食べ過ぎもないし、食べるのを拒否することもありません。ライオンがシマウマを倒すのは、本能に従って、その時の空腹感を満たすためです。
人間のように、余分に食べ物を保存したり、貯えておいたりはしません。ですから、いったん満腹になると、餌にはもはや見向きもしなくなるのです。
一方、人間に飼われているペットには、肥満症がみられます。太った猫が、ゴロニャーン、と寝そべった姿をテレビで見た人も多いでしょう。この猫は、人間の生活習慣の中で生きているうちに、中枢の働きが狂ってしまったのかもしれません。
私たちは、長年の知恵によって、食べ物を貯えてきましたが、人間は野生動物と比べて、はたして賢くなったのでしょうか?
ダイエットの敵、食欲の黒幕もホルモン。だからこそ、コントロールすればダイエットの道が見えてくる
食欲中枢は脳の視床下部、弓状核という場所にあります。ここに食欲を調節するさまざまなホルモンが働きかけることで、人は空腹や満腹を感じるのです。
当然ながら、意思の力でホルモンをコントロールすることはまず不可能です。ダイエットを成功に導くために、まずはホルモンの3つの基礎知識を学ぶことから始めましよう。
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1. 太ると食欲をセーブするホルモンが弱まる。
食欲を抑制する代表的なホルモンに、脂肪細胞から分泌されるレプチンがあります。レプチンが脳の視床下部に「もう食べなくてもいんじゃね?」と働きかけ、食欲がセーブされます。
ところが、肥満に陥るとこのホルモンの効きが悪くなります。レプチン自体はちゃんと出ていて、実際、肥満者はレプチンの血中濃度が高い状態にあります。でもその情報が脳に伝わらないのです。
これ、無線LANで言えばWi-Fiがつながっていない状態です。満腹という情報が拾えないから、カラダに必要なエネルギーが足りていても食べ過ぎてしまうというわけです。
肥満になると脳に至る血液の関所、血液脳関門にバリアができる、ホルモンの標的の細胞に垣根ができるなど諸説ありますが、詳しいことは分かっていません。ただ、痩せればホルモンの効きは正常化します。
2. インスリンが血糖値をコントロールする。
ダイエットをするうえでその分泌量を注視しなければならないホルモンは、やはりインスリンです。
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、体内に入ってきた糖質を全身の細胞に誘導する役割を果たします。血液中の糖質が各細胞に分配されることで血糖値が下がるという仕組みです。
インスリンが正常に働いている分には何の問題もありません。だが、空腹状態での早食いやドカ食い、あるいは清涼飲料水やスイーツなどを口にすると、血糖値が一気に上がります。それに対応するインスリンも一気に、しかも大量に分泌されて今度は急激に血糖値が下がります。血糖値の急上昇と急降下、これがいわゆる「血糖値スパイク」と呼ばれる現象です。
血糖値スパイクがしょっちゅう繰り返されると、まず脂肪合成が促されて太ります。それだけでなく、活性酸素が発生して血管を傷つけ、やがて脳梗塞や心筋梗塞などの深刻な病気を招くこともあります。食事は規則正しく、食べるときはゆっくりと、がインスリン制御の基本の基本になっています。
3. 満腹感を感じるホルモンは血液・神経経由。
お腹いっぱいになったとき、誰に止められなくても自動的に箸が止まります。こうした食事による満腹感をもたらす経路はふたつあります。
ひとつは主に小腸から分泌されるさまざまな消化管ホルモン。これらが消化管に張り巡らされている迷走神経に働きかけ、その情報が神経から脳幹、脳幹から視床下部の満腹中枢を刺激するというルート。
もうひとつは脂肪組織が分泌するレプチンが血液によって脳の視床下部に直接送られるというルート。
前者の迷走神経の方が情報伝達スピードが速い、いわば有線LANです。食事を始めて15~20分後に感じる満腹感はこちらの担当しています。レプチンのような血液を介したルートを液性伝達といいますが、こちらは無線LANで伝達スピードが若干遅いのです。このルート経由の満腹感は食後数十分から1時間くらいにやってくることになります。
前者が食事という行為に直接反応するのに対し、後者はどちらかというとカラダのエネルギー状態をモニターしています。
中性脂肪の蓄積量が多ければ満腹感を促し、逆に脂肪が少なければレプチンの分泌量自体が減り、空腹感が促される。 満腹感は2段構えのシステムでもたらされているのです。
食欲は、視床下部で起きている!
切ないほどの空腹感を感じたとき、人は「おなかが空いた」と言います。苦しいくらいの満腹感を感じたとき、人は「おなかいっぱい」と言います。
とはいえ、当たり前のことですが、空腹感や満腹感を感知しているのはおなかではなくて、脳なのです。満腹中枢が発見されたのは1942年。9年遅れた1951年には摂食中枢が発見されました。
それで、これらの食欲の中枢の在り処は視床下部という脳の特定の部位です。視床下部は、脳の深層近くにあり、さまざまな神経核が集合している自律神経やホルモン分泌のコントロールセンターです。
70〜80年前に発見された満腹および摂食中枢はそれぞれ、腹内側核、外側野にあると考えられていました。でもこれ、ネズミの脳の部位を一つ一つ壊す実験で得られた答えでした。
視床下部は非常に小さい部位でヒトでもその重量はわずか4g程度。ネズミのそれはもう芥子粒のよう。当時の実験で他の部位も一緒くたに破壊した結果、食欲の増減が見られた可能性が極めて高い。
時代が下り、破壊を伴わない遺伝子改変マウスによる実験が可能になると、新たな摂食中枢の在り処が判明。同じく視床下部内の弓状核と呼ばれる部位がそれです。
でも、事はそんなに単純ではありません。
ところで、血糖値が上昇すれば満腹感が高まり、血糖値が低下すると空腹感が増すということはよく知られています。でも、事はそんなに単純ではありません。脳の中枢や消化器などの末梢から分泌される食欲関連物質が実は無数にあります。
たとえば、脂肪細胞から分泌されるレプチンは食欲を抑制し、胃から分泌されるグレリンは食欲を増進させるホルモンとして機能します。
これらの情報は一旦、すべて弓状核に集められます。弓状核にはNPY/AgRPニューロン(神経細胞)とPOMCニューロンの2つが存在していて、前者が摂食中枢、後者が満腹中枢とされています。
これら2つのニューロンに各種情報が届き、近くにある室傍核などの神経核に働きかけて食欲がコントロールされている。というのが今のところ分かっている食欲の基本メカニズムです。
ちなみに弓状核にはレプチンの受容体が多く存在しています。旧食欲中枢にはこうした受容体がほとんどありません。これだけでも、新たに見つかった弓状核の方が食欲中枢として適切と考えられる。
報酬系が、食欲の増減に関わっている。
とはいえ、食欲にまつわる脳の機能は視床下部の専売特許ではありません。「報酬系」と呼ばれる脳の神経伝達ルートも少なからず、というか大いに関与しています。これは、視床下部よりもっと深い部分にある中脳に端を発するドーパミン神経系というルートです。
ドーパミンは気持ちを緊張させたり興奮させる神経伝達物質で、ドバドバ出ることで達成感や快感がもたらされます。というわけで、ドーパミンが脳幹で分泌され、脳内に広く伝達されると、やる気や学習意欲のスイッチが入ることが知られています。いわゆる「やる気スイッチ」の正体がこれです。
一方、ドーパミン神経系が過剰に働いて厄介なことが起こるケースもあります。うなぎの匂いを嗅いで空腹感がマックスになる人、夜中にジャンクフードのCMを見て、辛抱たまらずコンビニに走る人は、ドーパミン神経系のオーバーラン状態です。
ドーパミン神経は「好きな人に褒められた」とか「ものすごく美味しい」というご褒美によって発動するだけでなく、「褒められるかも」とか「美味しそう」という報酬予測でも発動します。
夏の食欲に、どんな異変が起こるのか?
ところが、人より食べ過ぎてしまう傾向のある人は、ご褒美を期待してドーパミン神経が働いた後、実際にご褒美をもらったら期待値より小さいと感じてしまいます。
脳は報酬予測と実際の報酬の誤差を計算してドーパミンを出し、それによって快感を得ますが、誤差が大きければ大きいほどドーパミンの出が悪い、あるいはドーパミンを受け取るシステムが働かず、「まだ足りない」と過剰に食べ過ぎてしまうわけです。
このように、視床下部と報酬系は2大食欲調節器官ですが、他にも自律神経や体内リズムなど、食欲に関わる脳のシステムは複雑に重なり合って作動しています。
甘いものが食べたくなる理由
それでは、どうして突然甘いものが食べたくなるかというメカニズムについて考えてみましょう。
人間の食欲が脳の視床下部という部分でコントロールされていることはよくご存じだと思います。視床下部には摂食中枢と満腹中枢が存在します。私たちが食事をすると、胃や腸で栄養が吸収されて血糖値が上昇し、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。すると視床下部の満腹中枢の活動が活発になり、満腹感を感じて食事を中止します。 一方血糖値が低下すると、体脂肪から分解された遊離脂肪酸が血液中に増加し、空腹感を感じて摂食中枢が働き出し、ものを食べるというわけです。
この視床下部の中枢を調節する因子には、神経伝達物質や消化管ホルモンなど40種類があるとされています。よく「急いで食べると過食になる」、「早食いはデブのもと」といわれます。これは食後血糖値が上昇しインスリンが最高値となるには30分かかるため、満腹感をおぽえる前に食べすぎてしまうからです。
それでも単に「この中枢をおさえれば過食にならない」と思うのは早計。これが人間の複雑かつおもしろい(?)部分です。
おなかがいっぱい、胃がいっぱいになったから食べなくなる、というわけにはいかないのです。それならダイエット食やこんにゃくを食べておなかをいっぱいにすればそれでよいわけです。ところがそうはいかないのは、人間の食欲全体を統制している最大の司令部は「大脳皮質前頭葉」だからです。 おなかがいっぱいでも、すてきに盛りつけられたデザートを見たら、どうですか、食べたくなるでしょう。好奇心のわく料理を海外のレストランで見たら、おなかがいっぱいでも食べてしまうでしょう。
テレビでアイスクリームの宣伝をしていたらつい手を伸ばして食べたり、映画で食事をするシーンを観ると自分も食べたくなったり、電車に乗って旅行に行くと車内で食べてしまったりしませんか。これは人間の食欲が大脳皮質でコントロールされているゆえなのです。実際、新幹線でまわりを見回してみてください。通常の食事時間でないときに食べたり、飲んだりしている人が多いはずです。周囲の人が食べているとつい食べたくなるものなのです。
失恋すると食べたくなる、イライラすると食べたくなるのも、大脳皮質の欲求なのです。 ストレスがふえてイライラすると食べすぎる、甘いものに手を伸ばす、こうした大脳皮質の欲求のコントロールが必要であることがおわかりですね。
「おなかいっぱいなのに、つい食べてしまう」、「ダイエットを始めても数カ月続けるとがまんできなくなってしまう」という悩みをもっているあなたのために、人間がなぜものを食べたくなるか、という点を考えてみましょう。ここでおぼえておきたいのは、血糖と脳の視床下部の問題です。
血糖値が下がると、視床下部がそれをキャッチし、摂食中枢が働き出す。血糖値が上昇すると、満腹中枢が働いて食べるのを中止する。ものを食べ始めてから満腹中枢が働き出して満腹感を感じるまでに、20~30分は時間がかかる。だから
・急いで食べない(満腹中枢が働き出す前に食べることになるから太る)
・ゆっくり噛んで食べる
・食事の最初はお吸い物、スープなどを飲むと過食を防げる
以上に気を配ってください。過食を防ぎたい方は、お吸い物、コンソメスープを常備するとよいでしょう。
脳をコントロールして過食を防ぐ
さて、人間の食欲は、視床下部だけでコントロールされているのではなく、その元締めは大脳皮質前頭葉であることも前節でお話ししました。
「おなかがいっぱいでも、おいしそうなデザートがあるとつい食べてしまう」、「イヤなことがあると食べてしまう」、「することがないと食べてしまう」というのは、人間の食欲が単に血糖と視床下部だけでなく、大脳でコントロールされているからです。つまり、大脳皮質をリラックスさせ、満足した状態にしておくことが過食を防ぐために不可欠な条件といえます。
ちょっと思い返してみてください。とても幸せな充実した気分のとき、やたらとムシャムシャ食べたくはならないはずです。仕事も充実している、ボーイフレンドともうまくいっているとき、過食になりましたか?
何か不安なことがある、仕事でうまくいかない、ボーイフレンドとケンカした、親と争ってしまった、ひとりぽっちでさびしい、仕事や、しなければいけないことがあるのにどこから手をつけてよいかわからない、そんなとき過食に陥るのです。つまり大脳皮質をあなたがコントロールできない状況になると過食に陥ると思ってください。
ひとりでの「ながら食い」も中止します。テレビを観ながら食べる、雑誌をばらばらながめながら食べる、こうした行為は過食の引き金になります。
次に、過食のカルマを断つ大脳皮質コントロールとしての行動修正について考えてみましょう。「食べたい」と思って、それが過食の引き金になりそうなときは、好きなCDなどをかけ、大脳皮質の衝動をおさえてください。ミントティーやラベンダーなどのハーブティーを飲むと衝動は軽くなります。
行動修正は、大脳皮質の衝動を「食べる」ことから「他」へ向けるための第1ステップになります。次に、行動修正のパターンについてご紹介します。食べたいと思って、お菓子に手が伸びたとき、次の行動に修正してみてください。
・スーパーモデルの写真が載っている雑誌を見る
・旅行の本、写真集など好きな本を読む
・散歩に出かける
・誰かに電話をかける
・お風呂に入る
・歯をみがいてしまう
・手紙を書く、日記をつける
・ 本屋に出かける
ところで、女性は生理前になると、普段より20ないし30パーセント食べる量がふえてしまいます。これは、月経前症候群(PMS)のひとつで、黄体ホルモンの影響でイライラするために大脳皮質のコントロールがきかなくなってしまうのです。このようなときは、過食の行動修正を心して試してくださいね。
女性特有PMS(月経前症候群)の時期は要注意
生理前というと、甘いものが食べたくなることがあります。チョコレートが食べたくなったりすることも多いでしょう。
なぜ甘いものが食べたくなるのでしょう。生理前もそうですが、イライラしたときに甘いものがほしくなるのは、実は私たちが脳のエンドルフィンを求めているからなのです。脳が生産するエンドルフィンという物質にはモルヒネに似た鎮痛効果があり、心の解放感を与えてくれます。
アイスクリームやキャンデー、チョコレートのような甘いものにはエンドルフィンを生産する働きがあるのです。ストレスがたまるとアイスクリームが食べたくなるのは、実はアイスクリームが食べたいというより、むしろエンドルフィンを求めているのです。デイエットしているときに限って甘いものが食べたくなる理由もそこにあります。
私たちの食欲はさまざまな神経伝達物質によってコントロールされていますが、ダイエットで朝食抜き、昼食も少なめという状況が続くと神経伝達物質のバランスがくずれてエンドルフィンの必要が増加し、甘いものに手が出るのです。甘いものは急速に血糖値を上昇させ、インスリンを分泌させます。インスリンの働きで今度は急激に血糖値が下降するために、また甘いものに手が出る、チョコレートやケーキ、アイスクリームは食べるのに時間がかからないので、つい過食になる、こうした甘いもの食べたさの悪循環ができてしまいます。
エンドルフィンを求めて甘いものを過食しないためには、ダイエット中も朝、昼食を低カロリーにおさえつつしっかり食べる、このルールを守ることです。
もうひとつおぼえておきたいことは、人間が憂鬱になっているとき食べすぎるのはセロトニンのため、という点です。
所在なく、憂鬱な気持ちになっているとき、血中のホルモンであるセロトニンが下降します。すると炭水化物をやたらに食べたくなるのです。炭水化物を食べるとセロトニンが分泌され、安定した気分になります。
セロトニンを求めて炭水化物をとりたくなったときには、砂糖を使わないレーズンクッキーなどをとってみては。
さて、過食のカルマを断つ方法とメカニズムについてお話ししてきましたが、最後にひとつ、買い物の方法についておぼえてください。
・食料品の買い物はおなかがいっぱいのときにする
・買いだめはしない。面倒でも1~2回分しか買わない
・ メモしたものだけを買う
過食のカルマを断つ大切なポイントのひとつは、買いすぎないこと。余分に買ってがまんするのはむずかしいですからね。
満腹、空腹を感じる脳内の仕組み・メカニズム
満腹と空腹は、血液中のブドウ糖と遊離脂肪酸の濃度で決まります。また、満腹を感じる満腹中枢と、空腹を感じる摂食中枢は間脳の視床下部にあります。
満腹感を感じる時ってどんな変化が起こっているの?
食事で体内にエネルギーが補給されると血糖値が上昇し、血液中のブドウ糖の濃度が上がりますが、この情報はただちに満腹中枢に伝えられます。
この情報を受けて、中枢からは「エネルギーの摂取は十分である!」という情報が体にフィードバックされ、私達は満腹感を覚えることになります。
血糖値の上昇は食事を始めてから20分ほどかかるので、この間に必要以上に食べてしまうと、満腹中枢から満腹感の信号が出される前に多量のエネルギーを摂ることになってしまいます。早食いの人が太りやすいのはこのためです。 ダイエットをしている人はなるべくゆっくり食べた方がよいでしょう
空腹感を感じる時ってどんな変化が起こっているの?
一方、さまざまな活動により体内のエネルギーが消費されると血糖値が低下し、体に蓄えていた脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。この脂肪を分解するときにできるのが遊離脂肪酸です。
遊離脂肪酸が血液中に増えてくると、この情報が摂食中枢に送られ空腹感となって、私たちにエネルギーの補給を促すのです
食欲は脳内ホルモンでコントロールされている
食欲は、実はホルモンの働きによって増進したり抑制したりされているということをご存知でしょうか。
そのホルモンの働きをコントロールすることができれば、ダイエット中も食欲をコントロールできると言えます。
まずは、食欲の仕組みについて見てみましょう。
満腹を感じる満腹中枢は、「レプチン」というホルモンの影響を受けています。
食事をすることにより、血糖値が上昇し、脂肪細胞が刺激されることで「レプチン」というホルモンが分泌されます。
このレプチンは、満腹中枢を刺激する「レプチン受容体」に作用して、食欲を抑制します。
つまり、食べることでレプチンが働き、食欲が抑えられ、満腹を感じるのです。
逆に、空腹を感じる空腹中枢は、食べ物を口にした際の胃や腸への刺激や、料理を見たり匂いを感じたりすることで刺激されます。
食後、胃が刺激された時に分泌されるのが「グレリン」というホルモンです。
このグレリンが、空腹中枢を刺激し食欲が増進すると言われています。
レプチンとグレリンの特長は?セロトニンやプロゲステロンも食欲に影響あり?!
食欲コントロールするには、ホルモンを味方につけることがカギとなります。
食欲抑制作用のあるレプチンはもちろんのこと、レプチンと相関関係にあるグレリン、さらに食欲に影響があると言われているセロトニンや、女性ホルモンであるプロゲステロンについて、その特長と食欲をコントロールするためのポイントをご紹介します。
食欲を抑制するホルモン「レプチン」の特長
食欲を抑制しているホルモンの一つが「レプチン」です。
レプチンは、食後に脂肪細胞から分泌されています。
このレプチンが満腹中枢を刺激し、満腹を感じるのです。
ダイエット中で食欲をコントロールしたい場合には、このレプチンの血中濃度を高い状態に保つことが重要となります。※1
そのポイントとなるのが、食事にかける時間です。
レプチンがより多く分泌されるのは、食後20分が経過してからだと言われています。
20分より早く食べていると、充分なレプチンが分泌されず、満腹を感じるまで空腹が続くため、食べ過ぎに繋がります。※2
ダイエットにはゆっくりよく噛んで食べる方がよいと言われるのは、このレプチンの作用によるためです。
20分以上かけて、ゆっくり食事をすれば、満腹中枢が働き出し食べ過ぎ防止を助けてくれるのです。
さらに、レプチンには、脂肪の蓄積を抑え、エネルギー消費を助ける作用もあり、体脂肪量の調節に関係するホルモンだと考えられています。※1
レプチンが、多量に分泌されればされるほど、食欲も抑えられエネルギー消費も進むのは?と思いがちですが、実はそうではありません。
レプチンは、過剰に分泌されすぎてしまうと、レプチンを受けるレプチン受容体が正常に機能しなくなってしまい、満腹中枢が刺激されても受け取りにくくなってしまうと言われています。※2
肥満の人は、このことが原因となり、食欲のコントロールができず、さらなる食べ過ぎを招いている場合が多いようです。
食欲を増進させるのは「グレリン」
レプチンとは逆に、食欲を増進させるホルモンが「グレリン」です。
グレリンは空腹時に分泌されます。
分泌されたグレリンが、空腹中枢を刺激することで空腹を感じると言われています。
つまり、ダイエットでは、グレリンの分泌を抑えることがポイントとなります。
グレリンの分泌を抑える方法の1つは、レプチンが適切に分泌されることです。
この2つの食欲を司るホルモンは、レプチンが分泌されるとグレリンが抑えられ、レプチンが減少するとグレリンが働いて、食欲が増すという相関関係にあります。
レプチンが過剰に分泌されないことが、グレリンの抑制にも繋がるのです。※1
食欲を抑制するもう一つのホルモン「セロトニン」
レプチン同様、食欲を抑制するといわれているホルモンに「セロトニン」があります。
幸福ホルモンとも言われているセロトニンは、主にメンタルを安定させる役割を担っています。
セロトニンが不足すると不安や心配な気持ちになりやすくなると言われていますが、実は食欲とも関連していることが分かっています。※1
セロトニン不足により、満腹中枢が機能しなくなってしまい、満腹を感じなくなってしまうというのです。
満腹を感じないということは、食欲をコントロールできず食べ過ぎでしまうということになります。
セロトニン不足にならないためには、日光を浴び、リズム運動を生活に取り入れ、よく噛んで食べることが大切だと言われています。※1
生理前の食欲増進は「黄体ホルモン」の影響
女性は、生理前に異常なほど食欲が増すという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、プロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンが原因だと言われています。
黄体ホルモンは、排卵を境として大量に分泌されます。
これは排卵した卵を育てる準備で、栄養を蓄える作用があると言われています。※3
この作用の影響により、食欲が増したり、むくみがひどくなったりするのです。
生理前や生理中のホルモンバランスの変化は、仕方のないもの。
我慢しすぎず、バランス良く食べることを考えましょう。
レプチンをコントロールして食欲を抑制する4つのポイント
食欲を抑制するレプチンの正常な分泌が、食欲抑制に繋がることはおわかりいただけたでしょうか。
では実際にレプチンを正常に分泌させるために、気をつけるべきポイントを4つご紹介します。
運動を取り入れてグレリンを抑える
前章でもご紹介いたしましたが、レプチンとグレリンは相関関係にあります。
レプチンを増やすには、グレリンを抑える必要があります。
そのグレリンですが、運動を行うことでもその分泌を抑えることが出来るという研究結果が報告されています。
お腹が空いていてもグレリンが分泌されないことで空腹を感じなくなるのです。
運動強度が高いほど効果があり、運動後1時間くらい持続すると言われています。※4
空腹を感じたら、軽い運動をして、エネルギーも消費できれば一石二鳥ですね。
睡眠不足は、レプチンの分泌を減らす
睡眠不足により、「レプチン」の分泌量が減り、「グリシン」が増加することが分かっています。※5
その他の研究でも、睡眠時間が短いほど体重が多いとのデータも有り、睡眠不足はダイエットの敵だと言えそうです。
8時間程度の睡眠をしっかりとりましょう。
アルコールを摂りすぎない
アルコールのとりすぎも、レプチンを減少させると言われています。
アルコール摂取量が多い人ほど、レプチンの血中濃度が低下する傾向が見られるとの発表もあります。※6
そもそも、アルコールは高カロリーのものが多く、食欲を助ける働きもあるため、ダイエット中には特に注意が必要です。
よく噛んで食べる
食欲を抑制するホルモン「レプチン」の特長でもご紹介いたしましたが、レプチンが充分分泌されはじめるには食後20分以上かかると言われています。
そのため、20分以上かけよく噛んで食べることで、食欲が落ち着くのです。※4
自分が早食いだと感じる場合は、噛む回数を意識し、時間をかけてゆっくり食事をするようにするだけで、食べる量を減らすことが出来るかもしれません。
レプチンは多すぎても太る?!レプチン抵抗性とは
食欲を抑制するレプチンですが、多量に分泌を続けていると、レプチンを受けるレプチン受容体の働きが鈍くなり、食欲を抑制しづらくなってしまいます。
体脂肪が多い肥満傾向の人はこの状態に陥っており、食べても満腹を感じにくくなっているのです。
その結果、さらに食べてしまい、肥満につながっていると考えられています。
この状態を、「レプチン抵抗性」といいます。
まとめると、レプチン抵抗性は、一度に大量にレプチンが分泌されることと、そのレプチンを受取るレプチン受容体の働きが悪くなってしまうことで起こるということになります。
脂肪細胞が多いほどレプチンは分泌されます。
食事量には気をつけながら、「レプチン受容体」の働きを低下させないことが、このレプチン抵抗性にならないためのポイントです。
「レプチン受容体」の働きを低下させないためには、規則正しい生活と睡眠をしっかりとることが大切だと言われています。
気をつけていてもレプチン抵抗性になってしまったら、改善することはできるのでしょうか。
「レプチン抵抗性」は、食べる量を減らしダイエットをしていくことで改善可能だと言われています。
しかし、このダイエットが難関です。
ダイエットをはじめる段階では食欲のコントロールが上手にいかないため、改善に至るまでには、一定期間は食欲と闘う強い意思が必要になるのです。※7
レプチン抵抗性にならないよう、日頃から規則正しい生活と食事量を心がけましょう。
以上が、視床下部の概観です。
要は、ホメオスターシスの司令塔の役割を果たしていることです。
ところが、専門家は以下のように述べています。
片頭痛が起こる原因のひとつが「脳の視床下部」
片頭痛が起こる原因は、まだはっきりとわかっていませんが、脳の視床下部が関係していると考えられています。視床下部は、ホルモンや体温の調整、心臓の機能維持などの重要な働きをしています。この視床下部で脳の電位・脳内物質などの何らかの変化が起こると、顔の皮膚の感覚を伝える三叉神経に炎症が起こったり、脳内の血管が拡張して三叉神経を刺激したりして、痛みが起きます。三叉神経の一部は脳の血管を取り巻くように通っているため、脈を打つようなズキンズキンという痛みが現れるのです。
視床下部は、女性ホルモンの分泌や睡眠、食欲などをつかさどっているため、月経や排卵、出産や更年期、寝不足や寝過ぎ、空腹などが引き金になると考えられています。
また、視床下部は自律神経もつかさどっているため、ストレスやストレスからの解放、まぶしい光、強いにおい、人混みや騒音、天候の変化、温度の変化や高い湿度、アルコールなども片頭痛を起こす引き金になると考えられています。
このように、およそ神経学の専門家とは程遠い考え方をされておられることが、お分かり頂けたと思います。このような方々が頭痛医療を取り仕切っていることを考えれば、ゾットするばかりです。