1.脳過敏に関して
片頭痛の人は、まぶしい光やうるさい音、強いにおい、天候の変化などに敏感で、他の人が気づかない、わずかな兆候も見逃しません。強い日差し、タバコや香水、炒め物などの匂い、低気圧、急激な気温の変化などの環境因子によっても片頭痛が引き起こされますし、片頭痛持ちの人は、ちょっとした環境の変化に敏感に反応します。
片頭痛を持つ人の脳は、片頭痛がない人の脳より興奮性が高く、その働きが良すぎるのです。そのため小さな変化にも脳が反応し、それを神経の痛み信号に変換して頭痛を起こす、と考えられています。
「脳の高い興奮性」はつらい頭痛を起こす一方で、天才肌の優れた才能を開花する可能性があるとも言われています。古今東西を問わず、何か一つのことに突出した才能を持つ天才、例えば作家や音楽家、画家、ノーベル賞受賞者などに片頭痛を持つ人が多いことが知られています。片頭痛があった有名人には、夏目漱石、樋口一葉、芥川龍之介、後白河上皇、バーナード・ショー、モーツァルト、ベートーベン、ゴッホ、ピカソ、ギリシア神話のゼウスなどが名を連ねています。
こうしたことから、片頭痛の方々は、片頭痛を持たない凡人とは、体のデキが違うと崇め奉られてきました。
この「脳過敏」のために、片頭痛の発作が天気に左右され、遙か彼方に発生した”低気圧”が近づくことで発作が誘発され、閃輝暗点を伴ってくると考えられていました。
そして、このような「脳過敏」は片頭痛の患者さんの生まれつき備わった特徴的なものとされてきました。
「脳過敏」が片頭痛を”神秘性のある”頭痛である所以(ゆえん)とされてきました。
片頭痛持ちが歴史を動かす!? 卑弥呼・信長と片頭痛(富永 喜代 All About)」
https://allabout.co.jp/gm/gc/411601/
このことに関しては、これまで以下で述べてきました。
「脳過敏」「頭痛の慢性化」を引き起こす要因
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12347538785.html
低気圧が来ると自律神経が乱れて片頭痛が起きるという嘘 1
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11944485390.html
低気圧が来ると自律神経が乱れて片頭痛が起きるという嘘 2 https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11949714897.html
2.片頭痛は”病気”です??? 嘘・・・
片頭痛は”病気”です。”病気”ですから、医療機関を受診して、片頭痛を治療して、治しましょう」、生活の質QOLを高めて、”健康寿命を長く”させましよう。
片頭痛の起こったときに、一般的には市販の頭痛薬を使う人が多いと思います。
市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。
すぐに、頭痛専門の医師に相談するのが一番いいと申されます。このような患者さんに対して、頭痛専門の外来ではトリプタン製剤と呼ばれる片頭痛治療薬が処方されます。
まず、トリプタン製剤の説明をしておきましょう。この薬剤は市販の鎮痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症蛋白が放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬であるといえます。
水道の蛇口にたとえるとわかりやすいでしょう。
片頭痛とは、脳の血管の周りに、水道の蛇口からジャージャーと炎症物質を含んだ水がばらまかれている状態です。たいていの市販の頭痛薬(アスピリン=アセチルサリチル酸:製品名バッファリンAをのぞく)は、このように水が出っぱなしになっているにもかかわらず、その下で水を拭き取る雑巾のようなものです。いくら、早くきれいに拭き取ろうとしても、大元の水道の蛇口からは水が出っぱなしの状態であり、頭痛薬である雑巾は何枚も必要になります。そして、やがて雑巾もボロボロになって拭けなくなってしまうのです。
これは、市販の鎮痛薬を規定範囲を超えて何度も飲んでいる間にだんだん効かなくなり、そのうち飲む日数が徐々に増えていき、しまいには毎日頭痛薬を飲むような状況に陥ってしまうのと同じです。
これに対してトリプタン製剤は、炎症の水が出っぱなしになっている水道の蛇口を閉めてしまうことにより、片頭痛の痛みを根本から断ち切るー・・そう考えていただければ、理解しやすいでしょう。
ここで大切なことは、この蛇口を閉めるのに時間がかかってはいけない、ということです。水浸しになってから蛇口を閉めても、炎症の水が時間とともに乾くのを待たなければ、痛みは取れないからです。
したがってこのトリプタン製剤を飲むタイミングは、何となく痛くなってきてから30分以内だと非常に効きがよく、患者さん自身がベストタイミングを習得する必要があります。 しかし、心配はいりません。片頭痛持ちの女性は聡明で頭がいいため、何となく片頭痛が起こりそうな肩こりがしたり、生あくびが出たり、また何となく異様な空腹感が出てくる片頭痛の前段階の予兆期を、十分に学習することも可能です。
トリプタン製剤をタイミングよく飲むことが出来れば、大元から炎症を起こす蛋白がばらまかれるのを防いでくれ、片頭痛との付き合いを快適にしてくれます。
また、トリプタン製剤は、不必要に脳の血管が炎症で損傷することも防いでくれるため、結果として、将来、脳梗塞に陥ることをある程度防いでくれることも明らかになっています。
このような神経の炎症物質がばらまかれ、脳が片頭痛のたびに異常な興奮を繰り返すことを放置していると、脳の血管損傷の他にも、将来、よからぬことが起こるのです。
それは、歳を取って片頭痛の痛みを忘れた頃に、突如襲ってくる、しつこいめまいや耳鳴り、さらには性格の変化です。
片頭痛の発作のたびに脳が異常な興奮を繰り返していると、歳を取ってからは脳がちょっとした刺激で簡単に興奮するようになり、さらには常時、興奮状態が続くような状態に陥ってしまいます。このために、めまいや耳鳴りなどの症状が出るようになるのです。
めまいは片頭痛のように吐き気を伴い、しかし長くとも3日は続かず、また体を動かすと強くなるなど、頭痛がしない以外は片頭痛と同じような症状を呈します。
さらに、脳が常時興奮するような状態になると、耳鳴りが止まらなくなります。この耳鳴りは、耳に異常があって起こるのではなく、大脳にある側頭葉という、聴覚の中枢のある部分が興奮することによって起こる症状で、正確な医学用語では「頭鳴」といいます。
このような状態になってからでも、脳の興奮症状を抑えるような抗てんかん薬を服用することで、ある程度は治療可能です。しかし、長年の間にこびりついた”お焦げ”をはがすには、相当時間がかかりますし、完全に取り払うことは不可能なことも多いです。
このような結果に至らなくするためには、頭痛は単に痛みを抑えればよい、もしくは頭痛は我慢すべき病だという間違った考えを捨てるべきです。
日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を繰り返して服用することによって、ミトコンドリアの機能を低下させ、さらに脳内セロトニンを低下させることによって薬剤乱用頭痛を併発させてくることになります。市販の鎮痛薬という”薬剤”が原因となった「後天性ミトコンドリア病」を作る典型例を示していることになります。
ここにミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”があれば、当然のこととして片頭痛を発症してくるということです。
基本的に、片頭痛発作時には、脳内セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っている脳内セロトニンをバックアップしているだけです。
「脳内セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下」は、あくまでもミトコンドリアの機能低下によって引き起こされた結果に過ぎません。トリプタン製剤で痛みを無くしても、「ミトコンドリアの機能低下」は厳然として存在しています。
要するに、トリプタン製剤は謂わば”鎮痛薬”に過ぎないということです。
そして、片頭痛発症の根幹には「酸化ストレス・炎症体質」というものが存在し、このために、活性酸素や遊離脂肪酸が過剰に産生されやすく、このため血小板凝集が引き起こされ、これが引き金となって血小板から”生理活性物質”であるセロトニンが放出されることによって、片頭痛発作につながっていきます。
現在では、このように、神経伝達物質である「脳内セロトニン」の低下を補填するためにのみ片頭痛治療の主眼が置かれ、トリプタン製剤が第一選択薬とされています。
しかし、トリプタン製剤によって痛みだけを抑制していますと、根幹にある「酸化ストレス・炎症体質」はさらに増悪してくることになり、慢性化に繋がってきます。
本来、片頭痛治療の焦点は、「脳内セロトニン」をいかにして増やすか、さらに、「酸化ストレス・炎症体質」をどのようにして改善させるかに置かなくてはなりません。
現在のトリプタン製剤は患者のわずかに50~60%だけしか効果が見られず、心疾患のある患者や脳梗塞の既往のある患者では使うことができません。しかも、それらは根本的な治療薬ではない(片頭痛を根治させる薬剤ではない)ため多くの場合頭痛は24時間以内に頭痛が再発する傾向があります。このため、服用回数が増えてくることになります
片頭痛は、西洋医学でいう「病気」でも「健康」でもありません。この中間に位置するものです。このため、国際頭痛学会(基を質せば、トリプタン製薬メーカーとトリプタン御用学者)が作成した「国際頭痛分類 第3版β版」に従って、あくまでも症状から片頭痛と診断していることになり、謂わば「症状群」です。東洋医学でいえば”未病”に相当するものです。謂わば、風邪と同様の片頭痛に対して、トリプタン製剤を使うことは、対症療法そのものであることを意味しており、このような対症療法に終始しておれば、自然治癒力を奪ってしまうことになり、必然的に片頭痛は慢性化してきます。
ということは健康寿命を長くするどころか、逆に「慢性片頭痛」に陥り、健康寿命を短縮させることになります。
脳梗塞を防ぐには
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12185625698.html
片頭痛は摩訶不思議な全身疾患???
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片頭痛って”心臓の手術”で治るの??
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3.多因子遺伝
片頭痛は遺伝的な病気の1つですが、多因子遺伝、すなわち体質の遺伝です。
受け継いだ遺伝子だけでは発症しない、生活習慣、環境の変化などが引き金となって片頭痛が引き起こされています・・
同じ多因子遺伝である高血圧症や糖尿病と同様に、生活習慣の管理が重要になるのです。 片頭痛も発症を予防し、痛みが起こらなければ治ったことになります。
片頭痛予防の第一歩は、何が自分の片頭痛の引き金になっているかを知ることです。
生活習慣で言えば、睡眠不足、あるいは不規則な睡眠時間、食事、ストレスなどが誘因です。さらに、ホルモンバランス、環境因子である天候(気圧、温度、湿度)、光、音などが密接に関係するのです。
こういったことから、自分の片頭痛を引き起こす誘因を知り、こういった誘因を極力避けることが原則とされ、このことが片頭痛の予防に繋がり、このことで「片頭痛が治った・・片頭痛から卒業できた」とされています。
しかし、大半の片頭痛の方々は、「発作の引き金」が分からないというのが実情です。
片頭痛はミトコンドリアの機能低下による頭痛です。
片頭痛の大半は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因子”として、生活習慣(特に食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより、引き起こされる頭痛です。
「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、また特効薬などはありません。
このように片頭痛とは生活習慣病そのものであり、生活習慣の問題によって引き起こされる頭痛であり、現在、使われているトリプタン製剤や予防薬はあくまでも補助的手段でしかなく、片頭痛を治す(なくす)には、このような生活習慣の問題を是正・改善しないことには解決にならないということです。そして、トリプタン製剤で頭痛だけを緩和させていますと、場合によっては、極めて”困難な状況”に至ることもあり得ます。
”多因子遺伝”って何??
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12057563627.html
4.迷走し続ける片頭痛医療で述べたことです
(1) 片頭痛のメカニズム・・原因不明の引き金
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12445913481.html
引き金は活性酸素と遊離脂肪酸
(2)「頭痛そのものが脳の病気」という表現・・片頭痛は中枢性疾患である
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12445923594.html
(3)片頭痛の痛みは通常,脳幹の三叉神経尾側核で痛み調節系によりコントロールされますが,ここでの調節系が作動せず.痛み抑制神経が逆に痛みを賦活する現象が生じます. 三叉神経尾側核が痛みに過敏な状態となり,この刺激がtrigeminocervicalconvergence を介して逆行性に伝わり後頭部に筋硬結,圧痛部位をつくると考えられます。
このようにして、片頭痛では後頭部に筋硬結,圧痛部位をつくるとされます。
体操で圧痛点がストレッチされ、そこから痛み調節系に良い信号が送られるのです。脳の痛み調節系が活性化されると、痛みへの敏感さが随分少なくなります。このシコリを緩和することを目的とした体操です。
このことは以下で明確になるはずです。
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12445973218.html
5.ある”カリスマ医師”の言語録から
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11947896563.html
6.トリプタン製剤は”抗うつ薬”なのか???
片頭痛の”適切な治療”とはトリプタン製剤を服用することであるとされています。このため、このように適切に治療しておりさえすれば、片頭痛が治ると同時にうつ病、うつ状態、パニック障害、冷え性までが改善できるとされています。
うつ病、うつ状態、パニック障害、冷え性は、脳内セロトニンが低下している状態です。
片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップ(補填)しています。
このため、うつ病、うつ状態、パニック障害、冷え性までが改善すると言っています。
しかし、片頭痛発作時に、このような”雀の涙”ほどの量のトリプタン製剤を服用したからといって、脳内セロトニンの低下は十分に補填できるものなのでしょうか?
このような潜在的に存在する脳内セロトニンの低下状態を、片頭痛発作時に、このような雀の涙ほどの量のトリプタン製剤を服用したからといって、脳内セロトニンの低下は十分に補填できるはずはないことは、馬鹿でも理解されるはずです。
このような潜在的に存在する脳内セロトニンの低下状態を改善させるためには、「脳内セロトニンを増やす工夫」・・「セロトニン生活」を根気強く行っていく必要があり最低でも、3カ月は必要とされます。
トリプタン製剤は”抗うつ薬”なのか???
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12309815196.html