第4回 つづきです 第2章 ミトコンドリアとは・・その2 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 ミトコンドリアの機能を悪化させる要因に関連して、ミトコンドリアにおけるエネルギー制御について述べます。

ミトコンドリアでのエネルギー制御はどのように行われているのでしょうか・・
 

 ATP(アデノシン三リン酸)は、“生体のエネルギー通貨”として重要な物質です。ATPからADP(アデノシン二リン酸)に変換される時にエネルギーが産生されます。さらには、ADPからAMP(アデノシン一リン酸)に変換される時にまたエネルギーが産生されます。
 すなわち、生体はエネルギーが必要な時、ATPに蓄えたエネルギーを使い、ATPはAMPになるのです。
 このようにして、ATPからエネルギーが産生されます。

 “AMPK”「AMPキナーゼ」

 色々な活動にエネルギーを使うと、ATPが減少し、AMPが増えてきます。 ATPの減少を感知して、活性化され、ATPのレベルを回復させるように代謝を調節しているのが、AMP活性化プロテインキナーゼ“AMPK”なのです。つまり、AMP活性化プロテインキナーゼAMPKは、細胞内のエネルギーセンサーで、一番重要なマスタースイッチとしての役割を果たしています。
 いつでも、体内のATP量をチェックしていて、少なくなればATP生産量を増やすように働きかけます。
 ATPが不足しているということはエネルギー不足ということです。
 ですから、脂肪の蓄積よりも、ブドウ糖を細胞内のミトコンドリアに運んで、より多くのATPを作るようにしていきます。
 それと同時に、ATP生産工場であるミトコンドリア自体の量を増やすようにも働きかけます。
 こうして“AMPK”「AMPキナーゼ」はATP産生をコントロールしています。

AMPK : エネルギー代謝のマスタースイッチ
 

AMPKが減ると

 この重要なAMPKが減って、うまく働かなかったら生体にとって大変なことになります。
 AMPKが活性化しないと、蓄えていたエネルギーを有効に使えなくなってしまいますので、脂質や糖などのバランスが崩れ、様々な病気になってしまう危険があります。
 脂質が増えれば、血中のコレステロールやグリセリドの濃度が上がり、血管に悪影響を与え、動脈硬化に繋がるかもしれません。皮下脂肪も増えてお腹周りが増えたり、体重が増えたりするかもしれません。
 血中の糖分が増えれば、血糖値が上昇し、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなり、さらには糖尿病に繋がるかもしれません。異常やダメージを受けたタンパク質が増えてくれば、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経退縮性疾患になるかもしれません。
 
AMPKを活性化する方法
 

 AMPKがうまく働かないと様々な問題が出てくることが心配されます。
 では、AMPKを活性化する方法にはどんなものがあるのでしょうか?
 これまでに知られている方法は以下の4つがあります。
 
 運動

 日常の運動はエネルギーを使う方向なので運動で消費されたエネルギーを補給するためにAMPKが活性化されますが、この働きは加齢で低下します。

  カロリー制限

 食事量を減らすとさらにエネルギーが必要であるとセンサーに認知され、AMPKが活性化されます。

  メルフォルミン(ビグアナイド系糖尿病治療薬)

 ll型糖尿病患者に処方される糖尿病治療薬で、上昇したブドウ糖濃度を下げます。消化器不良の副作用も報告されています。

  植物抽出物

 漢方のGynostemma pentaphyllum(アマチャヅル)とローズヒップ由来のtrans-tiliroside(アシル化フラボノール配糖体)は、ブドウ糖濃度を下げる強力な作用を示し、メルフォルミンより強くAMPKを活性化します。

 カロリー制限でもミトコンドリアが増えます。

 カロリー制限をして摂取カロリーが減ると、当然、その材料であるブドウ糖(グルコース)の外部からの供給が一時的に減ってATP生産量も減ってきます。すると、それを感知したAMPキナーゼが活性化します。この働きにより、先程のようにミトコンドリアを活性化させたり、量を増やしたりしていきます。
 また、カロリー制限をしていると無駄に貯まった脂肪も分解されていきます。
 脂肪細胞に貯まっていた中性脂肪が少なくなっていくわけです。
 脂肪細胞は、ただ単に脂肪を貯め込むだけのものではなく、それ自身が生理活性物質を分泌しています。脂肪細胞に脂肪が貯まり過ぎてぶくぶくになっているときは悪玉物質、脂肪が貯まっていないときは善玉物質が分泌されるようになっているのです。
 そして、善玉物質の1つに「アディポネクチン」というのがありますが、これがAMPキナーゼを活性化する働きも持っています。
 こうしてみると、”適度なカロリー制限”をすることは、二重にも三重にもいい効果が得られると考えられます。


 それでは、「アディポネクチン」とは、どのようなものなのでしょうか。

「アディポネクチン」って何?

 あるときは「やせホルモン」、またあるときは「長寿ホルモン」と呼ばれ、話題になっているものがあります。その正体は「アディポネクチン」と言い、脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種です。生活習慣病の対策としても期待されるこのホルモンには、一体どんな働きがあるのでしょうか。

なぜ「やせホルモン」と呼ばれるのか?

 ホルモンというと、内臓などから分泌されるものと考えている人が多いと思いますが、実は脂肪細胞からも分泌されます。脂肪細胞からはホルモンだけでなく多くの生理活性物質が分泌されていますが、そのなかで善玉物質として注目されているのが「アディポネクチン」です。

 なぜ注目されているのかと言いますと、アディポネクチンには脂肪を燃焼させる働きがあるからです。そのためテレビ番組などでは「やせホルモン」と呼ばれたりして、しばしば取り上げられているのです。
 体を動かしてエネルギーが必要になると、脂肪を分解する酵素「リパーゼ」が活性化されて、体内の脂肪をエネルギーとして消費します。また、筋肉にある酵素「AMPキナーゼ」も活性化されて、糖や脂肪をエネルギーとして活用しようとします。つまり、運動することで酵素が活躍して、脂肪が蓄積されるのを防いでくれるのです。
 これに対してアディポネクチンには、運動を行わなくてもAMPキナーゼを活性化する働きがあります。運動をすればもちろん、しなくても糖や脂肪の消費をサポートしてくれるのです。アディポネクチンが分泌されていれば、脂肪を燃焼しやすく、太りにくいカラダになることが可能というわけです。

 アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されているため、脂肪が多く太った人のほうがたくさん分泌されるのでは? と考えるかもしれませんが、事実はその逆です。
 脂肪、なかでも内臓脂肪が多くなればなるほど、アディポネクチンの分泌量が減ってしまうことが分かっています。
 そのメカニズムに関しては、すべてが明らかになっているわけではありません。しかし、その理由として考えられているのは悪玉物質との関連です。脂肪が多く太っている状態は、狭い密室に脂肪細胞が詰め込まれていることを意味します。詰め込まれた脂肪細胞は炎症を起こし、炎症細胞であるマクロファージがそこに近づいてきます。すると悪玉物質が分泌されてしまい、代わりに善玉物質であるアディポネクチンの分泌が減ってしまうと考えられています。アディポネクチンが分泌されるためには、脂肪を貯め込むことを防がなくてはいけないのです。

動脈硬化や糖尿病の予防にも役立つってホント?

 アディポネクチンが注目される理由は、脂肪燃焼の働きだけではありません。
 今、最も注目されている点は、動脈硬化を予防し、改善する働きです。
 血管は加齢によって弾力が失われるだけでなく、糖や脂質などを摂取することで常に損傷していきます。そうすると血管壁にコレステロールがプラークと
して付着しやすくなり、血管を詰まりやすくしてしまいます。動脈硬化は高血圧や心筋梗塞、脳卒中を引き起こす大きな原因となってしまうのです。
 アディポネクチンには血管内の傷を修復するだけでなく、血管を拡張する働きがあります。そのためアディポネクチンがちゃんと分泌されていれば、動脈硬化を予防することが可能となり、高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクを低減できることになります。

 アディポネクチンにはインスリンの効果を高める働きもあります。膵臓から分泌されるインスリンは、私たちの体の中で唯一、血糖値を下げてくれる働きを持っています。
 しかしアディポネクチンの値が低いとインスリンの働きが悪くなってしまい、血糖値が上昇してしまう危険性があります。つまりアディポネクチンには、2型糖尿病の予防に対しても大きな期待がかけられているのです。
 また、脂肪を燃焼する働きがあるアディポネクチンの分泌が十分でなければ、脂質の代謝が悪くなってしまいます。このため太りやすくなるだけでなく、中性脂肪の数値が悪くなったり、善玉と言われるHDLコレステロールの数値が低くなったりします。すると、脂質異常症にも繋がってしまいます。
 高血圧や糖尿病、脂質異常症といった病気は「生活習慣病」と呼ばれる病気です。アディポネクチンが正常に分泌されていれば、これらの生活習慣病を防いでくれる可能性があります。そのためアディポネクチンは「長寿ホルモン」とも呼ばれているのです。

 また、アディポネクチンにはがん細胞が増殖するのを抑制する働きがあるのでは、とも言われています。すべてのがんに対してではありませんが、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮体がん、前立腺がんなどに対して、アディポネクチンの予防効果が期待されています。
 さらに、アディポネクチンが心臓などの臓器にも作用しているのではないかという研究報告もあります。心筋梗塞のあるマウスによる実験では、心筋のアディポネクチンの量が一時的に増加するのに対して、血中のアディポネクチン濃度が一時的に低下するという様子が見られたと言います。これは、血液中を巡回していたアディポネクチンが障害された臓器に集まり、臓器保護作用を発揮している可能性が示唆されていると言うのです。

アディポネクチンを増やすためにはどうすればいい?

 アディポネクチンの分泌を高めるためには、毎日の食事が重要です。
 大豆タンパクに含まれる「βコングリシニン」は、アディポネクチンを増やすと言われています。木綿豆腐には6.6g、絹ごし豆腐には4.9gのタンパク質が含まれています(食品100g中。以下同様)。
 豆腐を凍らせて乾燥させた高野豆腐は、栄養分が豊富だとよく報道されたりします。例えば「高野豆腐は木綿豆腐の約7倍のタンパク質を含んでいます」といった記事などをご覧になったこともあるでしょう。実際、高野豆腐には50.5gのタンパク質が含まれていますが、それは乾燥品100gあたりの数値のこと。市販品の多くは1切れ約16gなので、6切れ以上食べないと100gになりません。それに比べて、約80%の水分が含まれた高野豆腐の水煮に含まれるタンパク質は10.7g。実際に食べるときにはだし汁で戻すわけですから、水煮の数値を参考にしたほうがよさそうです。もちろん納豆や豆味噌、湯葉など、ほかの大豆製品もタンパク質が豊富ですので、積極的に食べるようにしましょう。

 青背魚に含まれるEPAもアディポネクチンを増やすと言われています。青背魚とは、アジやイワシ、サバ、サンマなど、私たちにとって身近な食材です。 ただし、EPAは脂肪ですので熱を加えると溶け出てしまいます。刺し身やカルパッチョなど生で食べる工夫をするほか、煮魚の場合は煮汁もいっしょに摂るといいでしょう。ただし、薄味に仕上げるなど塩分の過剰摂取には注意が必要です。EPAを摂取したい場合、青背魚の揚げ物はお勧めできません。揚げ油に溶けたEPAは取り戻すことができないからです。ほかに魚介類では、サケやエビ、カニなどに含まれている赤い色素成分「アスタキサンチン」もアディポネクチンの働きを助けると言われています。「青背魚ばかりでは飽きる」という人は、こういった食材も試してみましょう。

 アルコールも適量であれば、アディポネクチンを増やすと言われています。 ただし、1日の適量というのはビールで中瓶1本、25度の焼酎で0.7合、ワインでグラス2杯……。酒飲みにとってはなかなか厳しい制限です。
 しかしアルコールを飲み過ぎてしまうと中性脂肪を増やし、アディポネクチンの分泌を阻害することになってしまいます。「お酒を飲み過ぎることがよくある」という人は、アルコールでアディポネクチンを増やすことは諦めたほうが得策です。
 カルシウムとともに骨や歯を形成するのに欠かせないマグネシウムも、アディポネクチンの分泌を助けると言われています。塩化マグネシウムを主成分とした「にがり」を使って作られた豆腐には、当然マグネシウムが含まれています。また、豆味噌や油揚げ、納豆といった大豆製品、あおさやわかめ、てんぐさといった海藻類、さらにはゴマやアーモンド、カシューナッツといった木の実類にもマグネシウムが多く含まれていますので、これらの食材を意識して摂取するとよいでしょう。
 最近注目されているスーパーフードのなかでも、中南米原産の穀類「アマランサス」は特に多くのマグネシウムを含んでいます。マグネシウムだけでなく食物繊維やカルシウム、鉄分も多く含まれていますので、お米を炊くときに少量加えたり、茹でてからサラダにトッピングするなど、摂り過ぎに気をつけながら毎日の食事に加えるのも一つの方法です。

 もちろん食事だけでなく運動も重要です。

 内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌が減ってしまいますから、内臓脂肪を増やさないためにも有酸素運動は欠かせません。速歩きを加えたウォーキングは、無理なく続けられる点でお勧めです。ラジオ体操、アウトドアアクティビティ、サイクリングといった運動でも構いませんが、いずれにしても継続して行うことがポイントです。
 皮下脂肪に比べて、内臓脂肪のほうが落としやすいと言われています。ダイエットを行うと、まず余分な内臓脂肪を減量できるのです。無理なダイエットでなく、バランスのとれた食事と適度な有酸素運動を組み合わせれば、内臓脂肪を落とすことが可能です。そのためには、毎日欠かさず体組成計に乗って体重を測ることも、継続の大きなモチベーションになります。食事だけでなく運動を取り入れて、アディポネクチンを増やす生活を心がけてみましょう。


 病気は”体毒”より生じ、その”毒”はその最大原因は過食です。
 これは、実際にはどのようなことなのでしょうか?
 
 消費されなかった余分な糖と劣化したタンパク質=AGE

 先程は、糖質の過剰摂取は癌だけではなく、人類の万病のもとと述べました。
  消費されなかった余分な糖は、コラーゲンなどのタンパク質と結びつきAGE(終末糖化産物)という物質に変質してしまいます。このAGEの有害な毒物の蓄積が、ミトコンドリアの機能を悪くする原因になっています。
 このような糖質の過剰摂取は、過食だけでなく、ドカ喰い・早食いによる一過性の高血糖でも起きることを忘れてはならないことです。

体内に貯まるほど老化が進むAGE
 

 AGEとは終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)、すなわち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」のことです。強い毒性を持ち、老化を進める原因物質とされています。
 老化というとすぐに思い浮かぶのはお肌のシミ・シワや認知症などかもしれませんが、それだけではありません。AGEが血管に蓄積すると心筋梗塞や脳梗塞、骨に蓄積すると骨粗鬆症、目に蓄積すると白内障の一因となり、AGEは美容のみならず、全身の健康に影響を及ぼしていると言えます。
 体のあちらこちらで深刻な疾病を引き起こすリスクとなるAGEを体内に貯めない生活・減らす生活を送ることが大切です。 .
 
 食事から摂取した炭水化物はアミラーゼ酵素によってブドウ糖に分解され、細胞に供給されてエネルギーとして消費されます。ところが消費されなかった余分な糖は、コラーゲンなどのタンパク質と結びつきAGE(終末糖化産物)という物質に変質してしまいます。肌や目の水晶体のタンパク質は入れ替わり周期がとても長いためAGEが蓄積してしまい、その結果シワやタルミがでたりくすんで透明感がなくなったり、白内障になったりといった老化現象が現れます。

糖化の原因
 
 細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアが原料としているのが、血糖の『糖』です。元気なミトコンドリアは『糖』をどんどん私達のエネルギーである『ATP』に変換しています。

 息切れもない、疲れない、健康なカラダには、豊富なATPが供給されています。
  一方ATPが不足しがちになると、生命維持のための心拍や呼吸などい優先的にATPが消費され、遺伝子修復やがん細胞撃退などさまざまな弊害が出てくると言われています。

 ATPが不足になるのは糖が足りない場合と、糖をATPに変換するミトコンドリアの活性が悪くなる場合とがあります。
 現代社会において糖が足りないということは稀で、一般的にはミトコンドリアの活性が悪いために糖を変換しきれないことがほとんどです。
 この変換しきれない糖が『糖化』の基になります。細胞内の糖はミトコンドリアにダメージを与え、ますますミトコンドリアを減らし活性を悪くします。 そうするとミトコンドリアは糖をATPに変換せず、大量の活性酸素を発生し始めます。
 酸化と糖化のダブルパンチで加速度的にミトコンドリアを悪化していくのです。
 このようにして、活性酸素による酸化とエネルギーに変換しきれない糖による『糖化』の2つによって、ミトコンドリアの働きが悪くなってきます。

■ AGE : 終末糖化合物

 ミトコンドリアが変換しきれなくなった糖は先ず細胞内に貯め込まれ、それでも余った糖は血糖として血液を循環します。これが血糖値です。
 各器官の組織を構成するタンパク質と糖が結合し、糖化物になります。
 その後、糖化反応中間体になり、『AGE:終末糖化合物』という物質に変質します。
 
 炊き立てのご飯の甘さはデンプンが糖質に変わったからですが、時間が経つと黄色くなり、粘り気と弾力が無くなります。肌が糖化すると黄色いくすみとなり、ハリや弾力低下などとして現れます。
 これを防ぐには血糖値を低く抑えることが重要です。ミトコンドリアの活性を良くし、代謝を上げることで予防できます。

AGEが体内に蓄積されるしくみ

体内でつくられるAGE

 AGEは、2通りのしくみで体内に溜まっていきます。
 一つ目は、体内でつくられるAGE。
 血中のブドウ糖が過剰になって溢れ出すと、人間の体の細胞や組織を作っているタンパク質に糖が結びつき、体温で熱せられ「糖化」が起きます。こうして「タンパク質と糖が加熱されてできた物質=AGE」ができるのです。
 体内のタンパク質が糖化しても、初期の段階で糖の濃度が下がれば元の正常なタンパク質に戻ることができます。しかし高濃度の糖がある程度の期間晒されると、毒性の強い物質に変わってしまい元には戻れなくなります。
 
  食べ物から体内に入るAGE

 もう一つは外から取り込むAGE。「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」はいろいろな食べ物・飲み物の中にも含まれ、私たちは食事や間食として取り込んでいるのです。
 分かりやすい例として、ホットケーキを挙げてみましょう。小麦粉(糖)と卵や牛乳(タンパク質)をミックスして加熱すると、ホットケーキが焼けます。 そして、ホットケーキ表面のこんがりキツネ色になっている部分こそが糖化した部分。ここにAGEが発生しているのです。
 こうした飲食物に含まれるAGEの一部は消化の段階で分解されますが、約7%は排泄されずに体内に貯まってしまいます。

老化の速度を決める方程式 AGEの量=血糖値×持続時間

 体内でできるAGEの量は、「血糖値×持続時間」で表すことができます。
 血糖値が高いほど、体の中で糖とタンパク質が結びついて多くのAGEが発生します。そして糖に晒される時間が5年、10年と長くなればなるほどAGEは貯まり続けるのです。
 また、AGEを多く含む食べ物を頻繁に食べると、それだけ蓄積量が増えていきます。 .

AGEを下げるためには・・

 AGEは日常的に体内で少しずつ生成されていますが、余計なAGEを蓄積させないための方法があります。
 
  1.AGE値の高い食品と調理法を知る

 主食では、パン、パスタ、コーンフレーク、パンケーキなどに多くのAGEが含まれています。これに対して、ごはんはトーストしたパンの3分の1のAGE量です。
 また、AGEの生成は加熱によって促されますので、生で食べるのと、短時間で高温調理したものではAGEの量が桁違いに変わってきます。特に注意したいのは、唐揚げ、ハンバーガー、ステーキ、清涼飲料水など若い男性が特に好んで食べるもの。外食をする際には気をつけたほうがいいかもしれません。
 
  2. 生!茹!煮!の和食がオススメ

 伝統的な和食では、高温調理するものはそんなに多くないのでオススメです。 生の状態の刺身やおしんこ、酢の物などはAGE量が最も少なく、茹でる・煮るという調理法はAGE量を効果的に抑えるのに有効です。
 焼き魚よりも、煮付け。焼き鳥よりも、水炊き。生姜焼きよりも、豚しゃぶ。といった具合に調理方法にも気を配ると良いでしょう。
 
 3. 食事のスタートは野菜から
 
 和食を食べるときはおひたしを、洋食ならサラダを食事の起点にしましょう。 野菜から先に食べることで、血糖値を上昇させにくくさせ、AGEが貯まりにくくなります。さらに、野菜に含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌の大好物なので、腸内環境を整えることもできます。
 
 4. 一口目から完食するまでは、最低でも20分かける
 

 過度の早食いもAGEを増加させる原因となります。大量の糖質が胃から腸へ一気に届くことで、糖とタンパク質が反応しやすくなり、AGEを生成させやすくしてしまうためです。
 ですので、ひと口ずつしっかりと咀嚼しながら食事をすることを心がけましょう。一気食いしてしまいがちな牛丼などは避け、できるだけ定食メニューを選び、一口目から完食まで20分を目安に食事をすると良いでしょう。

AGEを増やさないために
 
 ついつい飲んでしまう炭酸飲料や、ガムなどのお菓子の甘味づけに使われる人工甘味料は、ブドウ糖の10倍の速さでAGEを作るため、食べ過ぎ、飲み過ぎには注意しましょう。
 成分表示を確認し「果糖ブドウ糖液糖」「果糖液糖」「異性化糖」などと書かれている場合は注意が必要です。
  
 以上のようにしてAGEを増やさない工夫が必要になってきます。


エネルギー効率を上げる方法

 先述のように、AGE(終末糖化産物)蓄積の原因は、一般的にはミトコンドリアの活性が悪いために糖を変換しきれないことがほとんどです。この変換しきれない糖が『糖化』の基になります。
  主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。この「低体温」「低酸素」「高血糖」を改善することが大切になってきます。

 体温を上げるには、体を冷やさないことです。冷蔵庫から出してすぐの食べ物や飲み物を避ける、体を冷やす服装をしないことです。また、湯たんぽやカイロや入浴で体を温める、適度な運動を心がけるといったことを行ってください。
 酸素を十分に取り入れるには、深呼吸です。深呼吸は酸素を十分に取り入れるだけでなく、横隔膜を大きく動かすので、静脈血やリンパ液の流れをよくします。また、姿勢に注意してください。猫背や前屈みの姿勢ですと、胸郭を大きく開いての深呼吸ができなくなります。「体の歪み(ストレートネック)」は是正・改善に努めなくてはなりません。
 さらに、食事に気をつけてください。エネルギー源になるのは、糖質(炭水化物)と脂肪です。解糖系でもミトコンドリア系でも、糖質が胃や腸で分解されたブドウ糖をエネルギー源としています。消費エネルギーのうち、およそ60%は糖質が望ましいといわれています。現代の食生活は、主食である「糖質(炭水化物)」が少ない状態になっています。
 睡眠も、エネルギーと大きな関わりがあります。脳の重さはおよそ体重の2%ほどですが、消費するエネルギーは、目覚めているときで、体全体の20%ほどだと言われています。起きている間は、エネルギーを作り出して心身を活動させているわけですが、睡眠中はその作用を抑えてエネルギー源を保存しています。深いノンレム睡眠では、エネルギーの消費量は、目覚めているときの40%程度に下がっています。したがって、睡眠時間が短いと、エネルギーを消費しやすくなります。
 また、前向きな「プラス思考」も、行動を促し、結果として体温を上げていきます。うつ状態で低体温の方でも、プラス思考ができるようになって、行動を起こすことができたら、体温が上がってうつの状態から抜け出すことができます。

 もっとも、「低体温」「低酸素」「高血糖」はバラバラで現れているわけではありません。体温が上がってくれば、低酸素の状態から抜け出し、血糖値も下がります。酸素を取り入れる呼吸をすることで、体温も上がり、血糖値も下がります。