女性のための頭痛学 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 先日、Mommy さんから、片頭痛治療を実際に行っていくに当たって、何から手をつけてよいのかが分からないとのご質問をお受け致しました。
 ところが、Mommy さんが、年齢が定かでなく、片頭痛がどのような経過から発症されたのかが一切、明らかではありません。
 本来であれば、こうしたことは実際の外来診察の場で、詳細な問診を綿密に行うことによって、まず、何から手を付けるべきかを的確に指導するのが本来のあり方と思われます。
 しかし、よく考えてみますと、多くの「頭痛外来」では、このような詳細な問診を行うこともなく、ただ単に「問診表」を利用され、片頭痛を効率よく拾い上げて、トリプタン製剤や予防薬を処方する、といったベルトコンベア方式で対処され、片頭痛の発症要因が何か、何が現在の片頭痛を”ややこしくさせているのか”が度外視され、片頭痛を根治させるためには、何が必要なのかが適切に指導されていないのではないのかと思われます。


 そこで、このような現状を鑑みて、一般的に女性の片頭痛とは、どのように考えるべきか、を明らかにし、年代によってどのような可能性が秘められているのかを考察しながら、どのように、何から手を付けるべきかを考えることにしました。

 このことで、Mommy さんへの回答とさせて頂くことにします。

 

 題して、「女性のための頭痛学」です。あくまでも一般論で述べます。


 「女性の片頭痛」の発症の要因として、以下の3つの大きな柱があります。


   1.ミトコンドリアの関与
   2.女性ホルモン(エストロゲン)の関与・・脳内セロトニンの低下
   3.「姿勢の悪さ」→「体の歪み(ストレートネック)」

 


 そして、女性の片頭痛の特有の問題点は以下のようなものがあります。

 
  一般的に片頭痛は、母親の”ミトコンドリアの活性低下”という遺伝素因がミトコンドリアDNAを介して、子供へと引き継がれてきます。
 母親のミトコンドリアの代謝活性が低ければ(働きが悪ければ)、その影響を子供は当然受けやすくなります。
  受け継がれたミトコンドリアの働きが悪ければ、当然、セロトニン神経系の機能が低下することになり、ここに生活習慣の問題点(「慢性頭痛 発症の要因」をご覧下さい)が加わることによって「脳内セロトニン」は低下します。
 女性は健常男性より 約52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の4倍減少する、と言われています。
   この母系家族から引き継がれた”ミトコンドリアの活性低下”は、生後、ミトコンドリアを悪化させる要因か加わることによって、さらにミトコンドリアの機能が悪化することによって、ミトコンドリアのエネルギー産生能力が低下が引き起こされて、さらに、「脳内セロトニンを作る能力」が低下することになります。
 このため、女性では、「脳内セロトニンの低下」した状況に置かれていることを忘れてはなりません。
 


 そして、ミトコンドリアのエネルギー産生系には、解糖系とミトコンドリア系の2通りがあり、年齢によって、この産生系が解糖系からミトコンドリア系へと変化していきます。
 片頭痛を起こしやすい環境は、解糖系の働きやすい「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態です。このような解糖系優位の状況に置かれると片頭痛を発症します。


 女性の片頭痛の特徴は、生理時に、女性ホルモンのエストロゲンが低下して起きることが多いことです。エストロゲンが低下することによって、脳内セロトニンの低下することによって、片頭痛の発作が誘発されてきます。
 エストロゲンと脳内セロトニンは密接な関係があります。
 先述のように、女性は健常男性より 約52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の4倍減少する、と言われています。


 このように、生まれつき悪い上、生後、ミトコンドリアの働きが悪くなって、さらに低下し、その上、生理時にさらに低下することにになり、女性は「脳内セロトニン」が極端に低下しやすい状況になっています。


 この女性ホルモンのエストロゲンは、思春期から分泌が始まり、更年期になって分泌が低下してきて、60歳を過ぎて、分泌が終わり、エネルギー産生系がミトコンドリア系へと完全に移行することによって片頭痛は終焉を迎えることになります。
 女性ホルモンには、活性酸素を減らす酵素を増やす働きがあります。
 活性酸素が過剰に産生されると、ミトコンドリアが傷付けられ、機能が低下することになります。女性ホルモンは、これを防止しています。
  エストロジェンはミトコンドリアに直接働きかけてミトコンドリアを増やしてくれます。


 このため、女性のライフステージ、すなわちエストロゲンの分泌状況によって、片頭痛が変化してくることを理解しておかなくてはなりません。
 すべての年代において”一律”ではないということです。
 各ステージに合わせて適切に対処しなくてはなりません。


 専門家が考えるように、片頭痛であれば一律にトリプタン製剤を、といった単純な対応の仕方では、到底対処しきれないということです。


 女性はなで肩で、首が細く、女性は男性に比べて筋肉の量が少ないので、筋力も強くありません。
 しかし、頭部は約6キログラムもあり、男女ともほとんど同じ重量です。
 そして、女性の場合、掃除・洗濯・炊事と日常的に前屈みを強いられる生活環境にあり、姿勢の悪さを引き起こしやすい環境におかれています。
  女性は、先述のようにミトコンドリアの働きが悪く、セロトニン神経系の機能が悪く、この両者によって、「姿勢の悪さ」が起きやすく、この上前屈みの姿勢を強制させる生活環境が置かれておることから容易に「体の歪み(ストレートネック)」が形成されてきます。
 この「姿勢の悪さ」が、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛を引き起こし、さらに「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることによって、片頭痛を引き起こしてきます。


 このように、女性は慢性頭痛のなかの緊張型頭痛を引き起こしやすく、さらに片頭痛まで起こりやすくなっています。
 片頭痛を引き起こす3つの柱そのものは、発症要因になるとともに増悪要因にもなっていることを忘れてはなりません。
   そして、これらの3つの要因そのものは、相互に密接な関係があることです。


 このため、女性の片頭痛を治療していく場合は、この3つを平行して行っていくことが重要になっており、このなかの1つでも欠ければ、片頭痛の改善は得られないことになってきます。


「体の歪み(ストレートネック)」の問題


 最も、皆さんが難渋されるのは、「体の歪み(ストレートネック)」の改善・是正させることだと思われます。
 現在の臨床頭痛学では、「体の歪み(ストレートネック)」は無視されていることから、「体の歪み(ストレートネック)」そのものの診断基準がなく、専門家には、「体の歪み(ストレートネック)」を治す治療手技そのものがありません。このため、片頭痛がいつまでも治らない原因ともなっています。
 これまで述べてきましたように、このような「体の歪み(ストレートネック)」は頸椎X線検査をするまでもなく、女性であれば存在するものと考えておくことが大切のように思われます。
 ということは、日常生活を送る上で、「体の歪み(ストレートネック)」を作りやすい状況にあることを念頭に置いて、作らないようにすることです。
 このためには、姿勢を正しくするように日頃から注意することです。
 そして、前屈み・俯き姿勢を強制される生活環境に置かれておれば、30 分に1回は、「首反らし姿勢」をとるような習慣を身につけることです。
 さらに、就寝前には、「背骨伸ばしのストレッチ」を3分間、毎日行うことを習慣づけることです。このような単純なことを行えば済むことです。
 既に、「体の歪み(ストレートネック)」を形成してしまった段階においても、この2つのことを最低行うことが大切になってきます。
 さらに、「慢性頭痛 治療の進め方」に記載された方法も取り入れることができれば、さらにベターということです。


 要するところ、その日にかかった首の負担はその日のうちに解消しておくことが原則であり、決してこれを貯め込んで蓄積させてはならないということです。このような単純なことです。するかしないかの問題でしかありません。


「脳内セロトニン」の問題


 次は、「脳内セロトニン」を如何にして増やしていくかが課題になっています。

 専門家は、片頭痛発作時に低下した「脳内セロトニン」をトリプタン製剤を服用させることによって、一時的に補填しているだけのことです。
 女性では、脳内セロトニンが低下しやすい状況に置かれていることは、これまで述べてきたことで理解されたはずです。
 ですから、日頃から、「脳内セロトニンを如何にして増やすかが、極めて重要になっています。女性の片頭痛の治療を進めていく際に、どのステージでも欠かせない重要な項目になっています。
 この詳細については、第5章で詳しく述べました。
 その要点さえ理解しておけば、行うこと自体は難しくはないはずです。
 問題は、サプリメントなどで簡単には増やすことはできないということです。 それも地道に、根気強く行っていくことが大切であり、脳内セロトニンの低下が是正されるまでは、最低でも3カ月は必要とされるということです。一端、脳内セロトニンが増加させても、これを継続して行いませんと、また逆戻りするため、厄介なものであることを知っておかなくてはなりません。
 多くの場合、短期間されて効果がみられないからといって、すぐに中止される方々がみられますので注意が必要です。多くの方々が中途半端になっているのが実情です。
 このようにして、脳内セロトニンを増やしておけば、生理時にエストロゲンが低下することによって、低下する分を上回ることになり、生理時の片頭痛の要因の一部分は改善できることになります。

 (これだけでは、十分ではなく他にもあることは理解されていると思いますが、マグネシウム・脂肪の摂り過ぎの問題があるからです)
 そして、脳内セロトニンを増やしておけば、「ストレス対策」にもなってきます。
 このことは、女性は年齢を重ねるに連れてストレスが増えてくることを忘れてはなりません。
 女性の片頭痛では、すべてのステージで、ストレスがすべて関与しています。
 ということは、脳内セロトニンを増やす「生活習慣」は継続して行っていくことが極めて重要になってきます。


ミトコンドリアを弱らせる要因に対する対策


 次に、ミトコンドリアを弱らせる要因に対する対策です。
 このなかで最も大切なものは、睡眠の問題です。睡眠不足はミトコンドリアを弱らせる最大の要因になっています。
 良質な睡眠をとるためには、規則正しい生活が重要になってきます。
 産後、片頭痛が増悪してくる理由は、睡眠時間が授乳によって十分に確保できないためです。このような状況にあるため、ある意味では避けられないことになっています。
 また、思春期に片頭痛を発症したり、片頭痛が増悪してくることが経験されます。それは、受験を控えて、睡眠時間を削ってまで勉学にいそしむ方々が多く、このため睡眠不足が重なることによって片頭痛を増悪させる要因になってきます。
 ただ、必ずしも睡眠時間を削ってまで勉強することが、記憶力がよくなる訳ではないことを知っておく必要があります。


 ミトコンドリアを弱らせる要因として、第2章でも述べていますが、女性特有な問題が存在します。
 それは、マグネシウムの問題、脂肪の摂り過ぎ・必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取のアンバランスの問題、腸内環境の悪化の問題の3つです。
 これらは、第3段階目の「自然治癒力(ホメオスターシス)」の低下に直結する問題点にもなってきますので極めて重要な位置を占めています。


 マグネシウム不足は、ダイレクトにミトコンドリアを弱らせる要因にもなり、さらに第4段階目の「脳過敏」を引き起こす要因にもなってきます。
 マグネシウムの補充は、毎日、コツコツと行うことが肝心であり、サプリメントを利用したからといってすぐには増加させることはできません。少なくとも、サプリメントでは、マグネシウム不足はまず改善できないものと心得ておかなくてはなりません。
 専門家が考えるように、予防的に補充すれば改善が期待できる可能性があるといった、楊枝のツマのような考え方では到底、補充は不可能です。

 マグネシウム補充は、片頭痛治療の要(かなめ)となるものと心得るべきです。
 「必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取のアンバランスの問題」は、ミトコンドリアの膜構造を形成しているところから、この問題を是正しても、直ちには効果が発揮されることはありません。私達の体の構造が作り替えられまでには、最低でも3カ月を必要とされることを忘れてはならない点です。不適切な必須脂肪酸の摂取により悪化した、私達の体組織、臓器を再構築させ、作り替えるには、半年以上は必要になってくることは想像できるはずです。
 腸内環境の悪化の最大の原因は「便秘」です。便秘は女性特有な要因から引き起こされる、女性全般に共通した問題となっており、工夫が求められています。


 以上のように女性の片頭痛は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が始まる初潮の時期に発症してくることが多いことから、これまで述べてきたことを、すべて平行して改善・是正させていく必要があります。
 ということは、改善させていく順番はないということを意味しています。
 ただ、これまでのあなたの生活習慣と照らし合わせてみて、問題点の有無を抽出していくことも、大切になっているということです。


 人によっては、ムチウチを契機もしくはムチウチを経験後暫く経過した後、片頭痛を発症させることもあります。こうした片頭痛は、これまで述べてきたような片頭痛一般の症状とは異なっていますので、その相違点を第4章で述べたことを参考にして判断する必要があります。
 このような場合は、「体の歪み(ストレートネック)」の改善・是正だけで片頭痛が改善されてしまう場合もあります。
 このような治療を行う際には、レーザー照射療法が威力を発揮することになります。


 専門家には、こうした「ミトコンドリア」「脳内セロトニン」「「体の歪み(ストレートネック)」といった概念はないことから、まず片頭痛は治ることはないことは理解されるはずです。


 トリプタン製剤は、片頭痛発作時に低下した「脳内セロトニン」を補填しているに過ぎないもので、単なる”鎮痛薬”に過ぎないもので、頭痛を抑制しているだけのことであり、根本的に治すものではありません。


 専門家の申されるように、トリプタン製剤が片頭痛の特効薬であり、これで片頭痛が治ってしまう、といった詭弁を鵜呑みにし、信用することによって、40 歳を過ぎれば、諸々の苦渋を嘗めさせられることになります。このような方々が如何に多いのかに驚かされます。


 現在では、このことが最も問題になっていることです。
 ですから、基本通りに治療を進めていくことが大切であり、さらに各年代、女性特有のライフステージに合わせて、対応していくことが重要になっています。

 姑息的なことでは、片頭痛の改善は望めないということです。
 よく、奥歯を抜歯しただけで片頭痛が治ってしまったというようなことが、ネット上に掲載されていますが、こうしたことは極めて希な幸運であり、まさに宝くじに当たったようなもので、一攫千金を狙ってはなりません。


 あくまでも、理論的に筋道を立てて、地道に・的確に治療を進めていくべきと考えて、今回は「女性のための頭痛学」を作成致しました。


 

                  女性のための頭痛学


                                    目次

 

はじめに


第1章 女性のライフステージと体の変化


第2章 片頭痛とミトコンドリア


第3章 「体の歪み(ストレートネック)」の慢性頭痛への関与

 

第4章 慢性頭痛の症状から発症の要因を分析する


第5章 女性のライフステージからみた片頭痛


第6章 あなたの子供さんが頭痛を訴えたら・・


第7章 片頭痛の治療の原則


おわりに

 


 以下から、ダウンロードして下さい。


        女性のための頭痛学
     
http://taku1902.jp/sub648.pdf

 

 

 

 

 今回のものは、女性のための頭痛学でしたが、男性の場合、これをもとにして考えれば、男性には、生理がなく、さらに、”女性のように健常男性より 約52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の4倍減少する”、ということはありません。
 これを引き算して、男性の片頭痛を考えればよいということです。


 男性では、その代わりに、仕事上の問題から、ストレスが女性とは比較にならない程あることと、「規則正しい生活を送ること」が困難なため睡眠不足が重なることが多い社会環境に置かれています。
 すべての企業が優良企業とは限りません。仮に、優良企業であっても、新入社員が必ずしも優遇される企業は少ないはずです。このような例は、いくらでもあり、残業時間が極めて多く、自殺者も出てきてよく報道される程です。
 ブラック企業、中小企業も多いのが日本の社会です。こういった会社に大学を卒業後、放り込まれることによる身体的・精神的なストレスは想像を絶するものです。
 このことが、「脳内セロトニンを低下させる」根源ともなってきます。
 このように考えれば、女性のように「生理がない」だけのことであり、同様に、「脳内セロトニンは低下する」ことになります。


 このようなことから、男性では、20 歳前後に、片頭痛を発症させることが多い理由にもなっています。女性よりは、多少とも、発症年齢が遅くなるだけのことです。


 このように考えれば、いかに「規則正しい生活」が送れない日本の社会になっているということです。これが、片頭痛を引き起こす最大の要因ともなっています。

 これを是正しないことには、片頭痛そのものは改善させることは到底不可能なことは理解されるはずです。
 ですから、今回の「女性のための頭痛学」も謂わば、出来もしない机上の空論と蔑まれることは必定です。


   このようなことから、専門家達は、片頭痛を引き起こす柱として


   1.ミトコンドリアの関与
   2. 脳内セロトニンの低下
   3.「姿勢の悪さ」→「体の歪み(ストレートネック)」


 この3つを無視される理由にもなっているのかもしれません。

 このような、煩わしい「社会的な問題」に関与したくない、というのが本音かも知れません。
 となれば、専門家は、どなたを味方にして研究されておられるのでしょうか?
 ここが、私にとっての永遠の謎となっています。
 このことは、片頭痛の本態を解明する以上に困難な、永遠の謎となっています。

 ですから、学問だけの問題ではないことが、容易に想像されます。

 そうでなければ、余程、頭が悪いことになります。しかし、一流の大学を卒業された方々ばかりで、私のような三流大学の卒業ではないはずです・・

 

 皆さんは、どのように解釈されますでしょうか???