前回は、女性ホルモンのエストロゲンは、活性酸素を消去する、と述べましたが、正確には以下のように考えるべきものです。
女性ホルモンとミトコンドリア
女性ホルモン自身が活性酸素を減らすわけではありません。
まず、女性ホルモン(エストロジェン)が活性酸素を減らすメカニズムですが、女性ホルモンは、活性酸素を減らす酵素を増やす働きがあるのです。
しかも、その増やし方は巧みで、活性酸素が少なくなると活性酸素を減らす酵素を増やす働きも失われるのです。つまり、完全に活性酸素をなくしてしまうことはないのです。活性酸素には、いろいろな役割があって活性酸素を完全になくしてしまえばよいというものではないのです。うまく制御しながら活性酸素を減らすエストロジェンの働きは巧みで、そのために女性は長生きできるのです。
エストロジェンにはもうひとつの役割、ミトコンドリアを増やす機構があります。
エストロジェンはミトコンドリアに直接働きかけてミトコンドリアを増やしてくれます。
ミトコンドリアと女性ホルモンの関係
ミトコンドリア病の中には、女性の患者さんが多いと言われる症状もあります。
これはミトコンドリアと女性ホルモンが関係しているのかもしれません。
ミトコンドリアの働きを悪くする「活性酸素」
活性酸素は、体内に入り込んだウイルスや細菌をやっつけ、殺菌する役割を持ちます。
一方で細胞を酸化させ老化促進や健康トラブルにつながるデメリットも持ち合わせます。
ミトコンドリアは、その活性酸素の生産源として注目されました。
私達が呼吸した際に取り込む酸素の90%以上が、ミトコンドリアで使用されます。ミトコンドリアがエネルギーを作る過程で、酸素の一部が活性酸素に変わると考えられているのです。 皮肉なことに、ミトコンドリアから作られる活性酸素は、ミトコンドリア自身も傷つけます。傷ついたミトコンドリアは働きが悪くなるだけでなく、より多くの活性酸素を作るという悪循環が生まれるのです。
女性ホルモンがミトコンドリアの活動を助ける
女性ホルモンには、活性酸素を減らすメカニズムがあることが分かっています。女性ホルモンは、活性酸素を減らすための酵素を増やす働きがあるのです。 しかも、活性酸素が減ってくると、酵素を増やすのを止め、活性酸素がなくならないように調整してくれます。
体を酸化させ老化を促進する活性酸素ですが、完全になくなると、体内の殺菌効果も弱くなります。そのため、上手く調整する女性ホルモンの働きではとても重要と言えるでしょう。 女性の平均寿命が男性よりも10歳ほど長いのは、すぐれた抗酸化物質である女性ホルモンの存在が役立っているのです。
出産や閉経でホルモンバランスが崩れると、体調不良や病気になりやすいのも、そういった理由があるのかもしれません。
活力あふれる生活
ミトコンドリアは、私達が生活するためのエネルギーを生み出す重要な役割を担います。だからこそ、ミトコンドリアを活性化させることは疲れづらく、若々しい体を作ることにつながります。加齢とともに減少するミトコンドリアを活性化させるには、バランスのよい食事や睡眠、ビタミンが大切です。毎日の食事だけでなく、補助としてサプリメントを利用しても良いかもしれません。 年々増える体のトラブルを抑えるために、ミトコンドリアと上手に付き合っていきましょう。
エストロゲン様作用を有するもの
イソフラボンが活性酸素を抑制. イソフラボンは活性酸素を抑える抗酸化作用と、女性ホルモンのエストロゲン様の働きがあります。 イソフラボンを摂取することにより、体内の増えすぎた活性酸素が抑制され、細胞や血管の老化を食い止めます。
イソフラボンの抗酸化作用は細胞と血管の老化を防止し、病気から体を守るほかにも、しわやたるみ、 しみなどの肌の老化を遅らせ、若々しい素肌を保つのに有効です。
大豆イソフラボンの特徴は、女性ホルモン「エストロゲン」(卵胞ホルモン)に似た働きをし、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれる事にあります。
加齢とともにエストロゲンの分泌量が減少すると、やがて更年期、閉経を迎え、それに伴い、「更年期障害」と呼ばれる体と心のトラブルがみられることがあります。そこで大豆イソフラボンは、エストロゲンの不足を補い、トラブルを予防してくれるのです。
ザクロはエストロゲン様作用を有することで注目されていましたが、抗酸化作用においても突出した活性を有することが明らかとなりました。
ザクロ、プルーン、ブルーベリー等の抗酸化作用は、主に、アントシアニンやタンニンなどのポリフェノール類によるものと考えられます。