ストレスと頭痛 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 頭痛は、だれでもよく経験する身体的愁訴の一つです。困難な問題に直面すると「頭の痛い話だなー」というようにストレスと頭痛は密接な関連があります。
 そして、慢性頭痛の多くの方々が、頭痛の原因として、ストレスを挙げられ、心理社会的要因(ストレス)の影響を強く感じておられます。
 このシリーズの最後として、ストレスは、「症状」ではないのですが(慢性頭痛の発症要因のひとつですが)、ストレスが慢性頭痛の発症の過程でどのように関与しているのかを考えてみることに致します。

 

 

これまで「慢性頭痛 発症の要因」
    
http://taku1902.jp/sub647.pdf

 

  のなかで、慢性頭痛は以下のように発症してくると述べました。
 

第1段階 「酸化ストレス・炎症体質」の形成
 

  「ミトコンドリアの機能を悪化させるもの」には、以下の要因があります。
 

   1.生活習慣の問題
 

     睡眠不足
      運動不足
       食べ過ぎ・過食
      早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
      薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬

 

  2.食事内容の問題
 

    マグネシウム不足
      必須脂肪酸の摂取のアンバランス 
      鉄不足
   
   3.生活環境の問題

 

    活性酸素    野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足
      有害物質
 
 
  このように私達の生活環境および生活習慣のなかには、ミトコンドリアの機能を悪くさせる要因に満ち溢れています。
  これらの要因が、「酸化ストレス・炎症体質」を形成させ、慢性頭痛発症の基盤を作ってきます。

 

第2段階 姿勢の悪さ→「体の歪み(ストレートネック)」形成
 

第3段階 ホネオスターシス(自然治癒力)の乱れ
 

 自律神経系・・脳内セロトニン
 
 生理活性物質・・オメガ3とオメガ6のバランス
 
 腸内環境

 

 この第3段階のホネオスターシス(自然治癒力)を構成する3つの柱として、自律神経系、内分泌系、免疫系があります。
  自律神経系には、セロトニン神経系が、内分泌系として、生理活性物質が、免疫系には、腸内環境があり、これら3つは、すべてミトコンドリアが密接に関与しており、自然治癒力を高めるためには、ミトコンドリアの働きを良好に保つことが必須になっています。
   
  この第2段階と第3段階で、日常的に感じる極く軽度の頭痛を発症させてくることになります。

 

第4段階 脳過敏・慢性化の要因が追加される
 
     1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
 
   2.脳内セロトニンの低下
 
   3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続

 

 これらが慢性頭痛を発症させることになります。すなわち、日常的に感じる極く軽度の頭痛が、次第に増強することになります。
  このように、慢性頭痛を発症させる要因は共通しているということです。


  以上のように慢性頭痛の発症の概略について述べました。

 

 


 こうした慢性頭痛の発症の過程で、ストレスがどのように関わっているのかを述べていくことにします。


第1段階 「酸化ストレス・炎症体質」の形成


 1.活性酸素の問題


ストレスがたまると活性酸素が増える


 活性酸素を増やす要因には、食生活の乱れやタバコや大量の飲酒、過激なスポーツ、紫外線など、さまざまな要因があります。
 しかしそれだけではなく、ストレスも重要な要因のひとつです。

 代表的なメカニズムには、次のようなものがあります。


1.ストレスを受けると、ストレスに対抗する「副腎皮質ホルモン」が分泌される。この分泌と分解の過程で、活性酸素が発生します。
2.ストレスは、「抗酸化ビタミン」ともいわれるビタミンCを大量に消費します。
3.緊張が続くと血管が収縮し、一時的に血流が阻害されます。その後、血管が拡張したときに、血液が勢いよく流れますと、大量の活性酸素が発生します。
4.ストレスがあると高血糖になりやすい。この状態も、活性酸素が増える一因となります。


 イヤな仕事や勉強、人間関係などのストレスも、体内で活性酸素がドッと増えます。
 よく、ストレスから胃潰瘍、十二指腸潰瘍になった、とききますがこれも活性酸素が犯人です。ストレスにより血管が強く収縮し血流障害がおき、虚血状態に陥った後、血流が再開する時大量の活性酸素がドッと洪水のように発生するのです。
 ストレスホルモンの一種であるコルチゾルが免疫機能の重要な役割をになうNK細胞の機能を停止させ、生成時に活性酸素も発生させます。


 ストレスが体にダメージを与える理由は、体内のあらゆる栄養素が消耗し、瞬間的に血管が収縮して血行が悪くなります。この血流が再開されるときにドッと大量の活性酸素が発生するのです。
 体内のあらゆる栄養素が血液中に動員され、筋肉や副腎といったストレスとの闘いで活躍する組織に優先的に送られるのです。その一方、そのほかの組織は逆に栄養を絞りとられる結果となります。ストレスに対処するのに直接関係しない臓器(消化器や皮膚など)に送られる血液量が最小限に絞られます。
 ストレスが解消されると、これらの臓器にも血液が戻ってきます。このときにも、活性酸素が大量に発生すると考えられています。現在のように繰り返しじわじわとストレスが続く状況では、体にとって大きな負担となります。例えば、ストレスがかかると心拍数や血圧が上がるのは、身に迫る危険に対抗するために自律神経により様々な臓器が調整された結果です。身に迫る危険に対抗するための、体の仕組みになっています。


 もう少し詳しく説明しますと、精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
 本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
 通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
 しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから開放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
 その結果、血小板に直接作用して血小板の凝集を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
 このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから開放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
 このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより脳血管内のセロトニン濃度が上昇することで片頭痛を発症すると考えられます。
 または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。


 以上のように、過剰に産生された活性酸素が、ミトコンドリアDNAを傷つけることによって、ミトコンドリアの働きが低下することになります。


 2.マグネシウム不足の問題


 通常、ストレスがかかるとアドレナリンが分泌されます。
 アドレナリンによって心拍数が上がって、血圧上昇、血管収縮、筋肉収縮が起こります。
 こうやって外部からのストレスに身体が対処しようとするわけです。しかし、こういった作用には必ずマグネシウムが必要で、ストレスがかかる状況が続けば、マグネシウム欠乏に陥ります。
 ストレスの研究で有名な、ハンス・セリエによれば、身体の短期的な闘争反応、逃避反応から、慢性的ストレスに移行する際にもマグネシウムが消耗されると言います。また副腎(ストレス調整臓器)は、コルチゾールやストレスホルモンであるノルエピネフリンを作り出しますが、ノルエピネフリンはアドレナリンに似た作用を示し、同じくマグネシウム不足を生じさせます。
 

 こういったマグネシウムの消耗が身体にストレスを与え、ここからパニック発作が引き起こされます。
 またストレスによる副腎の酷使は、マグネシウム不足を生みますが、体内のマグネシウムレベルが低い時にストレスにさらされると、より多くのアドレナリンが放出されてしまうのです。
 アドレナリンは、イライラや怒りっぽさ、短気、感情の爆発などを作り出すので、まさに悪循環の流れが出来上がるわけです。こういった悪循環をストップさせるのには、マグネシウムレベルを回復させることが重要になってきます。
 

 またストレス反応が続く間は、アドレナリンの放出を促進するのにカルシウムが必要とされますが、元々カルシウムが過剰になっているとアドレナリンが溢れかえってしまいます。しかし十分にマグネシウムがあれば、余剰カルシウムを抑えてくれ、通常レベル以下にしてくれるので、ストレス反応が抑制されます。
 

 マグネシウムは、神経系の興奮を自然と鎮めてくれます。
 

 1995年に行われた研究でも、マグネシウム不足が脳に強度の興奮をもたらし、逆にマグネシウムが興奮を落ち着かせることがわかっています。13人の女性が初めの3ヶ月、1日に115ミリグラムのマグネシウム(一日の推奨量の30%にしかならない量)を摂取しました。その結果、脳波検査では強度の興奮性があることがわかり、その後の3ヶ月は、1日に315ミリグラムを摂りました(推奨量の360ミリグラムに近い数値)。そうしたところ、これだけの量の変化でもたった6週間後には脳波検査において、脳機能に大きな改善がみられ、興奮性が低下を見せたのです。
 

 ほとんどの人がセロトニンが働くには、実はマグネシウムが重要な栄養素であるということを話題にしません。マグネシウムは、脳細胞によるセロトニンの放出と取り込みに必要な栄養素で、適正なマグネシウムがあれば、自然と十分なセロトニンが作り出され、感情にも落ち着きが出てきます。
 ところが前述のようにストレスにより、マグネシウムが不足してしまうと、悪循環が始まって脳内の適正なセロトニンレベルを維持出来ず、痛みを感じやすくさせる素地を作ることになってしまいます。
 このように脳内を落ち着かせてくれるセロトニンについてもマグネシウムが重要な役割を果たしていたのです。
 

 ストレス状態にある人の尿に含まれるマグネシウム濃度を測ると通常時に比べてマグネシウムの排泄量が増えています。
 これは、ストレスに対する防衛反応として、ノルアドレナリンというホルモンが分泌されるときにマグネシウムが消耗されたためです。
 強いストレスを感じると体内のマグネシウムがどんどん使われ益々ストレス状態が悪化するという悪循環におちいります。
 

 また、マグネシウムは神経の興奮などをつかさどる細胞と深いかかわりがあり、細胞内でマグネシウムとカルシウムのバランスが保たれていれば精神的にも安定します。
 人間はストレスを感じると副腎からアドレナリンを分泌します。
  この抗ストレスホルモンの作用により血糖値が上昇してエネルギーを増やすことで、ストレスへの体制を整えようとします。
  ビタミンCはこのアドレナリンの生成時において補酵素として必要となります。
 アドレナリンの分泌量が増えるほどビタミンCの消費量も増加します。
 したがってストレスにはビタミンCをしっかりととることが大事です。


 以上、マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造ならびに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱くなり、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。このために、カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。
 細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎますと、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。
 その結果、調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。


  このようにして、マグネシウム不足によって、ミトコンドリアの機能が低下してきます。


第2段階 姿勢の悪さ→「体の歪み(ストレートネック)」形成


・「身体的なストレス」


 前かがみの姿勢やうつむきの姿勢などを長時間続けるような生活習慣などによる筋肉へのストレスにより、頸や頭の周りを取り巻く筋肉が収縮して凝り固まる結果重圧感を生じます。
 ストレートネックを生み出す最大の原因は、前かがみの姿勢やうつむきの姿勢などを長時間続けるような生活習慣にあります。原因の99% は、ここから来ていると言っていいでしょう。
 パソコンの画面に釘付けになっている時間がとても長くありませんか?パソコンを使っていなくても、デスクワークをしていたり、携帯電話・スマホやゲームの画面を見ていたり、座って本を読んでいたり、車を運転したり・・・。1日のほとんどの時間を前かがみやうつむきで過ごしているという人も少なくないのではないでしょうか。そういう毎日の生活習慣が、ストレートネックをつくる”大もと”になっているのです。


 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下の背骨にかかることにより、すぐに下の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないようにS状の湾曲を呈しています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが「ストレートネック」になって、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜しておれば、後頸部の筋肉に張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、このこりが上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。


・「精神的なストレス」


 ストレス、不安、抑鬱などが長時間続くと、「精神的なストレス」がたまります。
すると神経や筋肉の緊張が高まり、痛みに敏感となり、頭痛が起こります。
 嫌なことを経験しますと、海馬が”嫌な記憶”を扁桃体に伝えます。扁桃体では不快・恐怖・緊張といった反応が起こり、この刺激は視床下部に伝わりアドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮させますから肩や頸の筋肉の血流が減って筋肉の栄養が不足し、筋肉でできた老廃物を外へ運び出せなくなります。このため筋肉が凝ってしまうのです。これにより、肩こりが起こり、緊張性頭痛が引き起こされます。
  ストレスが持続すれば、慢性的な”脳内セロトニンの低下”を引き起こし、これが頭痛の原因になります。


 肩こりや首こりとは、簡単に言えば”体を動かさずにいることによって起こる筋肉疲労です。筋肉疲労というのは、運動をすることで起こるものと思われがちですが、動かない姿勢をずっと続けていることによっても、かえって特定の筋肉を疲労させてしまいます。
 なかでも、肩こりや首こりを招くのは、長時間座りっぱなしの姿勢を続けているとき、何時間もパソコンに向き合っていたり、休まずに車の運転をし続けたりしている場合です。 そういうとき、肩や首の筋肉はずっと収縮したまま緊張し続けています。その緊張状態の持続が筋肉疲労を招き、”こり”を起こす原因になるのです。
  肩や首の筋肉が緊張して疲労すると、筋肉の中を走る血管が圧迫され、その部分の血行が妨げられます。そして、血行が悪くなると、当然、その部分への酸素や栄養の供給が不十分になってきます。
 本来、筋肉は酸素を使ってブドウ糖を燃焼させて、必要なエネルギーをつくり出しています。ところが、血行が悪く、酸素が十分に行き渡っていないと、ブドウ糖が不完全燃焼を起こし、乳酸などの老廃物質に変わってしまいます。この老廃物質が筋肉や神経を刺激して”こり”や”痛み”として知覚されます。
 さらに、そのままじっと動かさずにいると、血行はますます滞り、筋肉内に老廃物質がどんどん貯まっていってしまいます。血流が促されるのは、周囲の筋肉が収縮・弛緩を繰り返すときですから、その筋肉運動がない限り、”こり”は次々に発生していくばかりです。 それに、”こり”や”痛み”の情報が脳に達すると、その情報がフィードバックされて、患部の筋肉や血管の緊張をいっそう高めてしまいます。すると、それによって、また多くの老廃物質が生産され、”こり”がひどくなっていってしまうのです。
  つまり、肩や首のこりや痛みを放っておくと、いずれ、”こり”が”こり”を呼ぶという悪循環サイクルができてしまうことになります。そして、その悪循環が日々重ねられていくうちに、肩や首の筋肉がガチガチに固まり、より重度の症状へ繋がっていってしまうわけです。体の歪み(ストレートネック)を形成してくることになります。


第3段階 ホネオスターシス(自然治癒力)の乱れ


日常的にストレスが持続すれば・・


 ストレスは慢性頭痛を悪化させることが経験的に知られています。その理由は・・


 日常的にストレスの多い忙しい生き方が続いていると、自律神経のなかの交感神経が優位に働くことにより血管は収縮し血流障害(低酸素)と低体温、を招きます。
 ストレスが持続すれば、マグネシウムを枯渇させてくることになり、マグネシウムはマグネシウムは、体中のインスリンの作用を応援する役割を持っていることから不足すれば、高血糖を来すことになります。
 このため、解糖系が働きやすい環境である、「低体温、低酸素、高血糖」の3条件が引き起こされてくることから、ミトコンドリア・エンジンが働くなり、慢性頭痛を起こしやすくしてきます。


 このようにして、ストレスによって自律神経の乱れを引き起こすことによって、ホネオスターシス(自然治癒力)の一角に歪みをもたらされてくることなります。


第4段階 脳過敏・慢性化の要因が追加される


脳内セロトニンの低下


 ストレスを受けると、脳にある視床下部がそれを感知し、副腎から副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)と副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)の分泌を促します。また間脳の橋の青斑核にあるノルアドレナリン神経からはノルアドレナリンが、交換神経末端からはアドレナリンが分泌されます。
 さらに、ストレスが続くと交感神経が過敏となり、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が高まります。セロトニンは過剰に分泌されたこれらのホルモンを抑制して、自律神経のバランスを整える働きも担っています。人間の感情の基本は、"快"と"不快"です。快を感じた時にはドーパミンが分泌され、不快を感じた時にはノルアドレナリンが分泌されます。どちらにしても過剰の分泌は問題ですので、この時、セロトニンが働いて過剰分泌にブレーキをかけます。
 脳の中で”快・不快”を感じるのは大脳辺縁系といわれる場所です。辺縁系には記憶の中枢である「海馬」や、情動を感じる「扁桃体」があります。扁桃体の刺激は視床下部という場所に伝わり脳内に色々なホルモン物質が出て自律神経を刺激します。幸せな気分はセロトニンやエンドルフィンが放出され、不快や恐怖ではアドレナリンやノルアドレナリンが放出され交感神経の働きを強めます。
 嫌なことを経験しますと、海馬が”嫌な記憶”を扁桃体に伝えます。扁桃体では不快・恐怖・緊張といった反応が起こり、この刺激は視床下部に伝わりアドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮させますから肩や頸の筋肉の血流が減って筋肉の栄養が不足し、筋肉でできた老廃物を外へ運び出せなくなります。このため筋肉が凝ってしまうのです。これにより、肩こりが起こり、緊張性頭痛が引き起こされます。

 

 このようにして、体がストレスを受けると、最終的にストレスの影響を緩和するために副腎皮質ホルモンが分泌されます。
 副腎気質ホルモンはセロトニンが神経細胞を伝わっていく時にセロトニン回収口を塞いでしまいます(脳内セロトニンは生成量が少ないので、8割程度は回収しながら溜まりを作り、一部だけを神経の伝達に使う仕組みになっています)。
 副腎皮質ホルモンが回収口を塞ぐと、一時的に神経伝達に使われるセロトニンは増えるのですが、ストレスが長く続くと貯まりが少なくなって、セロトニン不足を起こすことになります。
 このようなことが繰り返し起きますと、セロトニンの再回収口は完全に機能を失い、慢性的なセロトニン不足を招きます。
 縫線核に細胞体を持つセロトニン神経系(セロトニンが神経伝達物質)は脊髄後角でシナプス接続して、痛みを抑制します。

  以上のことから、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みを制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。


「その他の要因」
 

 市販の鎮痛薬やトリプタン製剤および予防薬の乱用は全て、人間の体にとっては異物です。そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程で、活性酸素が発生してしまうのです。このため、過剰に服用した鎮痛薬は異物そのものであり、これを解毒するために過剰に活性酸素が発生することによってミトコンドリアを弱らせることによって、結果的に「セロトニン神経」の働きまで悪くすることになります。このために「脳内セロトニン」の低下をもたらすことになります。
  こうした鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤の飲み過ぎは、いずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、”痛みの閾値”を下げるため痛みを感じやすくさせるために、さらに、頭痛を引き起こしてくることになります。

 

 

 
 以上のように、ストレスは、慢性頭痛の発症過程のすべての段階で関与しています。
 ですから、ストレス対策を行わない限りは、ストレスが最後まで継続することによって、慢性頭痛は増悪の道筋を辿っていくことになります。
 緊張型頭痛と片頭痛の基本的な相違点は、ミトコンドトアの活性低下という遺伝素因の有無でしかないことを忘れてなりません。
 片頭痛では、ミトコンドトアの活性低下という遺伝素因が生まれつき存在するために、以上のような要因の影響をモロに受けるということです。
 ですから、片頭痛を発症した段階から、以上のことを念頭に置いて対処しておかなくてはなりません。
 専門家の申されるようにトリプタン製剤を服用していても、全てが解決しないことがご理解できたはずです。

 


 これまでも、このことについては、以下の記事で述べてきたことです。


ストレスと頭痛  その1
  
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11954645156.html


ストレスと頭痛  その2
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11954769672.html


ストレスと慢性頭痛
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12281855442.html


「脳内セロトニン」を増やす
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12293675472.html

 

 

 以上の記事から、片頭痛治療上、ストレス対策の重要性を汲み取って戴ければ幸いです。

 

 このように、片頭痛治療上、トリプタン製剤を服用することは、発作時にはたちまち必要なことですが、あくまでも先手先手と手を打っていくことであり、受け身の姿勢で、後手後手に回っては何もならないということです。


 絶対に、姑息的なことは考えてはならないということです。