これは、当ブログに8月初めから連載していたものを編集しなおしたものです。
その案内として、「はじめに」から引用致します。
私達は、慢性頭痛とくに片頭痛を改善させるためには、慢性頭痛とくに片頭痛を正しく理解しておかなくてはなりません。このように「正しく理解」することを妨げる要因があるため、私達は片頭痛治療に難渋を強いられることになっています。
その最大の要因は、専門家の方々の考え方に、その問題点があるからです。
専門家の構築される現代の「臨床頭痛学」の歴史は極めて浅く、わすか30年前後しかないものです。皆さんは、悠久の昔から頭痛学があったように思われる方もおられるかもしれませんが、確かにこのような時代からあったことは事実ですが、現代の「臨床頭痛学」は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されてから構築されたものです。
片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されてからは、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成することによって、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断して、トリプタン製剤を処方させるようにしました。
このように、本来の「国際頭痛分類 第3版β版」の目的とするところは、片頭痛を明確に定義することによって、間違いなく、片頭痛に対してトリプタン製剤を処方させるためのものです。
現在の日本の専門家の間では、「国際頭痛分類 第3版β版」が頭痛診療および頭痛研究の絶対的な基準(教義・教典)とされています。
このため、”片頭痛と明確に定義された”「国際頭痛分類 第3版β版」の基準に合致しないものが緊張型頭痛とされ、いわば緊張型頭痛は”ゴミダメ”的な性格の強い頭痛とされ、専門家の間では、極めて”取るに足らない頭痛”とされています。このように全く無視されています。
脳のなかに異常のない頭痛である”一次性頭痛(慢性頭痛)”は、「国際頭痛分類第3版」では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。
頭痛研究を行う場面では、これまで専門家は、このように4つに大別された頭痛群をさらに、個々の頭痛を別個に独立させて研究すべきとされてきました。
このように、片頭痛だけは特別扱い(神格化)され、緊張型頭痛をはじめとした他の慢性頭痛とはまったく切り離して・別個のものと考えてきました。
そして、片頭痛研究も、片頭痛の病態(メカニズム)は各種のトリプタン製剤の作用機序の面から研究され、説明されてきました。
ということは、現代の「臨床頭痛学」とは、片頭痛に関する頭痛学であり、片頭痛が他の慢性頭痛のなかでどのような位置を占めているのかが明確でなく、まさに宙ぶらりの状態で、砂上の楼閣を築いたものでしかありません。
このように、脳のなかに異常のない頭痛とされる慢性頭痛を一括して、「慢性頭痛とは、一体、何か」といった謂わば”禅問答”にも等しい考えもなく、すべてバラバラにして別個に論じてきました。
ということは、頭痛研究の海図・羅針盤にも等しいものを持たずに行ってきたために、広大な荒海をただひたすら彷徨う結果にもなっており、一向に研究そのものが進展しません。
慢性頭痛とくに片頭痛は機能性頭痛もしくは周期性頭痛・発作性頭痛とされ、本来、脳のなかには器質的病変が存在しないことが原則とされながら、MRIや病理解剖で偶然みつけられた器質的病変(病理解剖学的所見)を基にして論じられてきました。
片頭痛にしても群発頭痛にしても、頭痛発作の時間中は耐え難い頭痛でありながら、発作時間が過ぎ去れば、元通りに回復するのが一般的です。このように、発作時間が過ぎ去れば、元通りに回復するということは、人間本来が持っている「ホメオスターシス(自然治癒力)」のお陰で回復するものです。
頭痛の専門家には、このような「ホメオスターシス(自然治癒力)」といった論点から、慢性頭痛を論じることは皆無でした。
これまで、専門家が論じてきたことは、このような慢性頭痛が「国際頭痛分類 第3版β版」でどのように定義されているのか、といった定義論争しかされず、本質論に迫る論議はされることはありませんでした。
これまでこのような「国際頭痛分類」は過去3回大きな改訂が行われてきましたが、改訂が繰り返されるたびに、定義論争だけで終始してきました。このように専門家は、慢性頭痛を論じる際には、すべて「国際頭痛分類」の枠内でしか考えません。
このようにして、「国際頭痛分類 第3版β版」は専門家の間では、頭痛診療および頭痛研究の絶対的な基準(教義・教典)とまでなっています。
このように、専門家は慢性頭痛を論じる際には、すべて「国際頭痛分類 第3版β版」が基準となっており、専門家が書く慢性頭痛に関する一般啓蒙書でも、必ず、この「国際頭痛分類 第3版β版」を基にして記述されています。
そして、日本の専門家は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されてからは・・市販の鎮痛薬を片頭痛に対して服用する弊害を以下のように・・述べておられます。
市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。
このようなことから、片頭痛にはトリプタン製剤を服用するのが”適切”な治療とされてきました。
そして、「片頭痛は病気です。病気ですから、医療機関を受診して、片頭痛を治療して、治しましょう」と言って片頭痛患者さんに医療機関への受診を勧め、しきりにマスコミを通じて、片頭痛患者さんを病院に誘導してきました。
このようにして、片頭痛患者さんを医療機関に誘導しますが、医者のすることはただ単に、トリプタン製剤を処方するだけのことであり、このことによって辛い頭痛を緩和させるだけの対症療法にすぎないもので、治療とは程遠いものでしかありません。わずか、片頭痛の引き金(トリガー・誘因)となるものを見つけ出して、避けれるものは避けましょうと指導されるだけのことで、一切、根治方法を指導されることはありません。このような指導は、すでにトリプタン製剤が導入される以前から行われていた指導内容がありましたが、現在の「頭痛外来」のほとんどは、こうした指導は行われることはありません。
このようなことしかできもしないのに、大々的に片頭痛患者さんを病院へ誘導してきたということです。
トリプタン製剤導入以前は、脳のなかに異常のない慢性頭痛である「頭痛持ちの頭痛」は、たかが頭痛として軽く扱われてきました。
ところが、片頭痛のときに起こる脳の変化(閃輝暗点)が、PET、MRI(BOLD法)といった脳の新しい方法で、脳の病気が画像として確認され、群発頭痛の発作時には、視床下部が異常に活性化する事がPET、MRIなどの新しい測定法で発見されたことから、”頭痛持ちの頭痛”といわれるもののなかに「頭痛そのものが脳の病気」であることがわかってきたとされています。
このように本来、脳のなかに異常のないものと定義されたものでありながら、「頭痛そのものが脳の病気」といった奇妙奇天烈な説明をされ、どうして、このような病像が、PET、MRIで捉えられるのかという原因に対する考察がまったく欠如していることに気がつかれることはありません。
これまで、片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の面から説明してきたことによって、諸々の疑問点が生まれてきているところから、最近では、脳のなかに異常のない頭痛と”定義”される片頭痛が、”片頭痛発生器”というものを脳幹部付近に想定することによって、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されています。
このように、本来、片頭痛は脳のなかに異常のない頭痛とされていながら、このように「頭痛そのものが脳の病気」であるとか、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されて、まさに支離滅裂な状況に至っています。
しかし、このような矛盾点は一般の私達には明らかにされることはありません。このようなまさにいい加減なことばかり述べてきました。
このように、専門家が支離滅裂なことばかり申され、片頭痛発作時にトリプタン製剤を服用しておりさえすれば、いずれ片頭痛は治ってしまう、と私達に啓蒙活動を行ってきました。確かに、3割の方々は自然治癒しますが・・
ところが、片頭痛の発作の都度トリプタン製剤を服用しているにも関わらず、逆に、片頭痛の3割の方々は、慢性化して増悪し、なかにはトリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされることから、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥り、対処が極めて困難な状態が多発するようになり問題になっています。
しかし、こうしたことがどうして起きるのかが明確にされることなく、これまで私達には覆い隠されてきました。
また、トリプタン製剤を服用しておれば、パニック障害、うつ状態、冷え性までが改善され、将来、脳梗塞が予防され、頑固な耳鳴り、めまい、性格異常までが予防できると、現在でもネット上で大々的に宣伝されています。
このように、片頭痛発作時にトリプタン製剤を服用しておりさえすれば、片頭痛が治ってしまい、将来的には脳梗塞や脳過敏症候群まで予防できるといったデタラメを私達に述べてきました。このようなことをしたからといって、これらが全て解決することはありません。専門家はこのように、すべてトリプタン製剤と関連づけて説明してきたことでは、既に限界があることに気がつかなければならないはずでありながら、一向に気がつくこともなく、上記のように、益々、支離滅裂な迷路に嵌り込んでしまい、解決の糸口さえ見いだせない状況に至っています。
こういったことから、現実に片頭痛でお悩みの方々は、そっちのけで”ほったらかし”にされているのが実情です。このことを私達は直視する必要があります。
このように、慢性頭痛とくに片頭痛は、本来、脳のなかに異常のない頭痛でありながら、「脳の病気」とされ、他の慢性頭痛とは異なる、別の範疇の(脳のなかに”異常”のある)頭痛とされています。
このようなことから、現在では、片頭痛は原因不明の”不思議な・神秘的な””遺伝的疾患”とされ、一生、片頭痛発作時にはトリプタン製剤を服用しながらお付き合いすべきとされています。
このような専門家の考え方が存在するために、片頭痛とはどのような頭痛なのかが、正しく理解出来ない理由になっています。
専門家による”いい加減な詭弁”を払拭することによって、正しい知識を確立しなくてはなりません。
このため、「片頭痛の正しい知識 基礎講座」によって、慢性頭痛とくに片頭痛はどのように考えるべきなのかを、専門家の考え方と対比して述べることによって、「片頭痛の正しい知識」とは、どのようなものなのかを明確にします。
そして、専門家がなぜ、私達、現実に片頭痛でお悩みの方々の立場から考えないのかも同時に知っておく必要があります。この機会に、現代の「臨床頭痛学」が何を目指し、何を考えて構築されているのかを明確にしておかない限りは「片頭痛の正しい知識」は到底得られないことを認識しておく必要があります。
結局のところ、確かにトリプタン製剤は片頭痛発作時の辛い頭痛は緩和できるようになりましたが、私達は、これだけで満足することなく、今後は、片頭痛そのものを根治させることを考えなくてはなりません。
片頭痛が原因不明とされるのは、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の論理に過ぎません。
このようなことは歴史的に明白な事実であり、これまで「片頭痛の正しい知識」は、こうした方々によって覆い隠されてきたことを知っておく必要があります。
このような「片頭痛の正しい知識」は、日本にトリプタン製剤が導入される以前から明確にされていたことを忘れてはなりません。
こうしたことは、専門家によって覆い隠されてきたために、大半の方々がご存じでないため、敢えてこのブログで明らかにしておきます。
このようなことは、神経内科専門の方々にとっては、謂わば常識とされていることであり、決して取り立てて言うことではありませんが・・
このような「片頭痛の正しい知識」なくしては、片頭痛の改善は到底望めません。ここでは確認の目的で掲載することにします。
そして、さらに全く原因不明とされている群発頭痛を解明する端緒にも繋がっていくものと思うからです。
片頭痛の正しい知識
基礎講座
目次
はじめに
1.ミトコンドリアとは
2.ミトコンドリアが弱ると・・
3.神経学的側面
4.ホメオスターシス(自然治癒力)
5.自律神経
6.生理活性物質
7.腸内環境
8.「体の歪み(ストレートネック)」
9.マグネシウム
10.慢性頭痛
11.慢性頭痛の発症過程
12.脳過敏
13.ミトコンドリアを弱らす要因
14.酸化ストレス・炎症体質
15.機能性頭痛一元論
16.薬物療法
17.片頭痛の慢性化
18.西洋医学の本質
19.「国際頭痛分類 第3版β版」
20.「慢性頭痛診療のガイドライン」
21.学会専門医
22.医局講座制
23.その他の一次性頭痛
24.二次性頭痛(その他)
25.片頭痛と脳梗塞
26.薬剤乱用頭痛
27.ムチウチ
28.レーザー照射療法
29.群発頭痛
30.健康
31.「利権トリオー厚労省・医者、製薬会社」
32.片頭痛を正しく理解する
「片頭痛の正しい知識」 ダウンロード版です
http://taku1902.jp/sub549.pdf