基礎講座 5.自律神経 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 ホメオスターシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。
 一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。

 今回は、自律神経についてです。この自律神経系の調節には、基礎講座 3 で述べた”セロトニン神経系”が関与しています。


自律神経とは


 自律神経は、心臓や腸、胃、血管などの臓器をコントロールする大切な神経です。
 「交感神経」と「副交感神経」が、綱引きのように働いて(交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキの役割と喩えられます)、臓器をコントロールしています。
 血管を例にその働きを見ると、交感神経は血管を収縮して心拍数や血圧を上げます。
 同時に、副交感神経は血管を拡張させて心拍数や血圧を下げようとします。 この2つの働きが、うまくバランスをとるので、ちょうどよい心拍数と血圧になります。
 緊張する状況では、副交感神経に対して交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上がります。その興奮状態が長く続くと身体に過剰な負担がかかりますが、夜間など副交感神経が優位になると、心拍数や血圧は下がり、落ち着き、リラックスした状況になります。


自律神経の働き


 先程述べましたように、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割を果たしています。
  交感神経のアクセルを踏み込むと、血管が収縮して心拍数や血圧が上がり、気持ちが高ぶってアグレッシブな方向ヘシフトします。一方、副交感神経のブレーキを踏むと、血管が拡張して心拍数や血圧が下がり、気持ちが落ち着いてゆったりリラックスする方向にシフトします。


  この交感神経と副交感神経は、両方とも高いレベルでバランスよくキープされているのがベストです。両方ともハイレペルで安定しながら、日中は交感神経が少し高いくらい、夜間は副交感神経が少し高いくらいになるのが理想的です。


自律神経のバランスが崩れると


①交感神経が優位になった場合


  交感神経のアクセルばかり踏んで、副交感神経のブレーキの機能をすっかり落としています。現代人にもっとも多いパターンです。仕事や家事、人間関係のストレスなどから、一日中イライラ、ピリピリしています。
  こういう状態が続くと、血流が悪くなり、免疫力も低下して病気などのトラブルに見舞われやすくなります。また、仕事や家事などでも、一生懸命がんばっているのに結果が伴わず、心身ともに疲弊していってしまうことが少なくありません。


②副交感神経が優位になった場合


  副交感神経が高くても、交感神経が低い状態はよくありません。アクセルの利きが悪く、いつものろのろ運転になってしまいます。
 この「のんびり屋さんタイプ」の人は、注意力散漫で不注意なミスも起こしがちなのです。7人にひとりの割合でいるとされ、うつ病に陥りがちな傾向もあります。


③交感神経、副交感神経ともに低い場合


  交感神経と副交感神経のバランスがよくても、両方ともレベルが低いのもダメ。ストレスの多い生活や寝不足が続くと、両方の働きがダウンしてしまうケースがあります。
  このタイプの人はたいへん疲れやすく、やる気や覇気が感じられず、いつもぐったりしている傾向があります。アクセルもブレーキも働きが落ちているため、ちょっと車を動かしただけで疲弊してしまうのです。


生体の恒常性、ホメオスタシス


 さまざまな環境の変化に対応して行くための自律神経という調整機能がホメオスターシスとしてあります。
  たとえば、自動車には必ずアクセルとブレーキとが備わっています。
  アクセルしかない車、ブレーキだけしかない車では運転し続けることはできません。同じようにアクセルとブレーキの働を受け持つのが自律神経です。アクセルにあたる交感神経とブレーキにあたる副交感神経です。
 自律神経は無意識のうちにホメオスターシスによって、夜眠っているときにも心臓が動き、呼吸が途絶えたりしないのも、自律神経が働いているためです。
 日中は交感神経が優位になって血管を収縮させ、脈拍が上がり、呼吸数も増え、仕事や勉強に精を出すことができます。逆に、睡眠や食事をしているときには副交感神経が優位になって血管を拡張させ、脈拍や呼吸数を減らし、消化を促します。
 自律神経がホメオスターシスによりバランスよく働くことで、毎日の生活を健康で元気に送ることができるのです。
 人間の体は一定の生体リズムに沿って、一定の収縮(活動)と弛緩(休息)を繰り返していますが、社会環境の変化、不規則な生活習慣やストレス状態が続くと生体のリズムの誤差が大きくなりホメオスターシスの修正ができず不調を感じたりして、健康維持が難しくなってきます。


 ホメオスターシスは、異常を正しくする防衛力で、活性酸素の害やストレスにより乱される自律神経の調整、免疫の働き、やる気や睡眠を誘導する脳内ホルモンの分泌等さまざです。生体リズムを正し、ホメオスターシス機能を発揮して、健康が保てる生体リズムを誤差範囲内にとどめることが大切です。
 ストレスなどによって自律神経が乱がれても、ホルモンバランスや生体リズムに悪影響が及びます。
 どれかひとつでも乱れが生じれば、連鎖的に他の2つにも影響が出て、ホメオスターシスの機能が崩れてしまうのです。


   自律神経の役割
     
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12258910081.html


セロトニン神経は自律神経を調節します


 先述のように、セロトニン神経は、自律神経を調節する役割を担っています。
 自律神経は心臓機能、血圧、代謝、呼吸などを司っており、交感神経と副交感神経という2つの神経によって成り立っています。
 交感神経は起きて活動しているときの神経で、副交感神経は眠っているときの神経です。
 朝起きると自律神経のバランスが変わり、副交感神経から交感神経にシフトします。
 シフトしたら、片方の神経の活動が全くゼロになるわけではありません。
 交感神経と副交感神経は、互いにシーソーのようにバランスを保ちながら、強くなったり弱くなったりを繰り返しています。
 セロトニン神経は自律神経に対し、このシフトがうまくいくよう働きかけています。
 朝起きると、交感神経の方が優位にならなければなりません
 そこで、セロトニン神経は交感神経を適度に緊張させ、体をスタンバイ状態にします。
 しかし、この働きがうまくいかなくなると、寝起きが悪くなったり、自律神経失調症などになる場合があります。


 そして、”セロトニン神経系”の機能が低下し、ここに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。


ストレスと脳内セロトニン


 ストレスを受けると、脳にある視床下部がそれを感知し、副腎から副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)と副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)の分泌を促します。また間脳の橋の青斑核にあるノルアドレナリン神経からはノルアドレナリンが、交換神経末端からはアドレナリンが分泌されます。
 さらに、ストレスが続くと交感神経が過敏となり、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が高まります。セロトニンは過剰に分泌されたこれらのホルモンを抑制して、自律神経のバランスを整える働きも担っています。人間の感情の基本は、"快"と"不快"です。快を感じた時にはドーパミンが分泌され、不快を感じた時にはノルアドレナリンが分泌されます。どちらにしても過剰の分泌は問題ですので、この時、セロトニンが働いて過剰分泌にブレーキをかけます。
 脳の中で”快・不快”を感じるのは大脳辺縁系といわれる場所です。辺縁系には記憶の中枢である「海馬」や、情動を感じる「扁桃体」があります。扁桃体の刺激は視床下部という場所に伝わり脳内に色々なホルモン物質が出て自律神経を刺激します。幸せな気分はセロトニンやエンドルフィンが放出され、不快や恐怖ではアドレナリンやノルアドレナリンが放出され交感神経の働きを強めます。
 嫌なことを経験しますと、海馬が”嫌な記憶”を扁桃体に伝えます。扁桃体では不快・恐怖・緊張といった反応が起こり、この刺激は視床下部に伝わりアドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮させますから肩や頸の筋肉の血流が減って筋肉の栄養が不足し、筋肉でできた老廃物を外へ運び出せなくなります。このため筋肉が凝ってしまうのです。これにより、肩こりが起こり、緊張性頭痛が引き起こされます。
 このようにして、体がストレスを受けると、最終的にストレスの影響を緩和するために副腎皮質ホルモンが分泌されます。
 副腎気質ホルモンはセロトニンが神経細胞を伝わっていく時にセロトニン回収口を塞いでしまいます(脳内セロトニンは生成量が少ないので、8割程度は回収しながら溜まりを作り、一部だけを神経の伝達に使う仕組みになっています)。
  副腎皮質ホルモンが回収口を塞ぐと、一時的に神経伝達に使われるセロトニンは増えるのですが、ストレスが長く続くと貯まりが少なくなって、セロトニン不足を起こすことになります。
 このようなことが繰り返し起きますと、セロトニンの再回収口は完全に機能を失い、慢性的なセロトニン不足を招きます。
 縫線核に細胞体を持つセロトニン神経系(セロトニンが神経伝達物質)は脊髄後角でシナプス接続して、痛みを抑制します。


 以上のことから、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みを制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。


 ストレスは慢性頭痛とくに片頭痛を増悪させます。

 

  ストレスによって交感神経の緊張が持続すると、血管が収縮して低体温になり、さらに高血糖となり、解糖系のエネルギ―が主体となってきます。
 片頭痛の場合もまったく同様で、低体温、低酸素、高血糖の3条件で、エネルギー産生系は解糖系に傾きミトコンドリア系が働かなくなります。
 低体温、低酸素、高血糖の状態です。片頭痛、ガンや糖尿病の状態であるといえます。
 糖尿病、片頭痛やガンを治すには、高体温、高酸素、低血糖の状態にして、ミトコンドリア系にシフトしていく必要があります。
 ストレスが持続すれば、マグネシウムが枯渇し、活性酸素が過剰に産生され、これらはミトコンドリアの働きを悪くさせます。
 さらに、先述のように脳内セロトニンが低下することになります。
 このため、「ストレス対策」を行うことが、「生体の恒常性維持機構・ホメオスターシス(自然治癒力)」を高めるために必須の項目になってきます。


ストレスを貯めないことが大切


  現代はストレス社会であり、ほとんどの人がストレスを抱えています。ただし、ストレスがまったくない生活はつまらなく、人を怠惰にさせますから、適度なストレスはあったほうがいいでしょう。問題になるのは、慢性的に強いストレスがかかることです。
 ストレスが要因となっておきる精神的な問題には、うつ病、不安神経症、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、ASD(急性ストレス障害)などがあります。さらに、過食症や拒食症のような摂食障害や、アルコールや薬物などへの依存も起きやすくなります。
  ストレスは、からだの不調ももたらします。先述のように、ストレスがかかると、副腎からストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールが出続けると、炎症をおさえる力が弱まったり、免疫力が落ちたりします。また、交感神経の緊張状態が続き、自律神経のアンバランスが招く、さまざまな病気の原因となります。心筋梗塞、脳梗塞、アレルギー性疾患、リウマチ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、じんましん、円形脱毛症、メニエール病、過換気症候群などが、その例です。
 ストレスを貯めないためにも、適切な解消法を持ちましょう。音楽やスポーツ、ガーデニングなど、いろいろな趣味をもち、自分の好きなことをするのが一番です。ストレスに目をつぶるわけではありません。ストレスと上手につき合うことが大切なのです。
 年配の人から、昔は生活が苦しかったけれど、そのなかで日々の楽しみを見つけ、今よりも心豊かに過ごしていたと、よく聞きます。個人の心のもち方しだいです。あらゆる世代の人と交流する機会をもち、知恵を得ることも、お互いにとっていいものです。
 ちなみに、真面目で几帳面、責任感が強く、人に頼れない人、自分に否定的な人は、ストレスをためやすいので要注意です。このような傾向のある人は、完璧を求めない、がんばりすぎないことです。子育て世代や主婦の人は、日々やることが多く、本当に大変だと思います。しかし、「○○しなければいけない」ということは、案外それほど多くないかもしれません。他人と比べて自分を追い込まないこと。ひとりで抱え込まず、家族や友人に相談をしましょう。
 最近では、「笑い」の効用が一般にも知られるようになってきました。笑うことにより、副交感神経が働き、免疫力がアップします。楽しいことを見つけ、明るく過ごしましょう。
 生活を整えることも重要です。からだにいい食事と生活の習慣は、あらゆるストレスに負けない力を与えてくれます。そして、未来へ向かう人生の目標をもち、うれしい、楽しいと感じることを実行しましょう。たとえつらいことがあっても、必然として起こっているものとしてとらえ、「今」に感謝して生きるようにしましょう。


自律神経を整えるには・・


 最近では、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生は「聞くだけで自律神経が整うCDブック」(アスコム)を出版されました。
 小林先生によれば、”私たちの脳は、外部から受けた情報によって生じる情動(喜怒哀楽といった感情)に応じて、脳の視床下部というところが作用します。この視床下部は、自律神経を司るところです。ここから、体中の臓器に「働け」「休め」という情報が送られています。
 外部の刺激のなかでも、音楽は自律神経のバランスをよくする効果を発揮します。
  実は、人間の脳は、本能的に音楽を「快」と感じるようにプログラムされていることが明らかになりました。
  音楽を聞くことで、自律神経のバランスが整い、体がちゃんと働くのは、こんなメカニズムがあるのです”と指摘されます。
  この交感神経と副交感神経は、両方とも高いレベルでバランスよくキープされているのがベストです。両方ともハイレベルで安定しながら、日中は交感神経が少し高いくらい、夜間は副交感神経が少し高いくらいになるのが理想的です。
  反対に、どちらか一方にバランスが偏った状態が続くと、心身にさまざまなトラブルが生じることになります。ところが、現代人には、このバランスを大きく崩している人がたいへん多いのです。とりわけ目立つのは、交感神経ばかり上げっぱなしで、副交感神経の働きを落としているタイプです。
  なお、このように交感神経優位タイプの人が多くなっているのは、「交感神経が上がりやすいから」でもあります。交感神経は身に危機が迫ったときに”緊急スクランブル”的に心身機能を引き上げる役割をしているため、もともと上がりやすくできています。これに比べると、副交感神経の上がり方は緩慢です。
  要するに、自律神経は、交感神経だけを上げるのは簡単なのですが、交感神経と副交感神経の両方のレベルを引き上げるのはけっこう難しいのです。車にアクセルとブレーキの両方が必要なように、交感神経と副交感神経との両方が高いレベルで安定していてこそ本来の力を発揮するようにできています。
  ですから、自律神経のバランスを整えたいなら、まずは下がりっぱなしの副交感神経を引き上げるのがファーストステップ。
  そのうえで、交感神経と副交感神経が両方ともハイレベルで安定した状態」をキープしていかなくてはならないということになります。そして、その状態をコントロールする最良の方法が「音楽」なのです。


  自律神経を整えるには
   
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12292788506.html

 


 さらに、「セロトニン生活」を励行することによって、脳内セロトニンを増やすように日頃から心掛けることが重要になってきます。

 


  「脳内セロトニン」を増やす
    
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12293675472.html


  
  「脳内セロトニンを増やす」・・ストレス対策
      
http://taku1902.jp/sub408.pdf