「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」はエビデンスなし??? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在、頭痛専門医は、「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」の関係については、全くエビデンスなし、とされ、即ち「関係なし」とされております。
 それを”あからさま”示すものは、専門医が遵守される「慢性頭痛診療ガイドライン」です。ここでは、「体の歪み(ストレートネック)」に着目して施術を行われるカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の治療に対する評価が推奨ランクCとされ、まったく評価されていない現実があります。しかし、こうした方々の施術により慢性頭痛の多くの方々が改善されてこられました。


 現在、頭痛専門医が、この「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」をエビデンスなし、とされる根拠は、2点です。
 その1点は、「体の歪み(ストレートネック)」は、現代では、”日常茶飯事にみられる所見”であり、特別取り立てて論ずることでない、とされます。
 もう1点は、2004年の「国際頭痛分類 第2版」にあります。この改訂以来、それまで頭痛と頸椎の関与を考慮されておられた、寺本純、竹島多賀夫先生以下大半の先生方は、”右へ習え”で、口を揃えてエビデンスなし、とされるようになりました。
 それを証明するものは、第38回の日本頭痛学会総会における、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の発表を、まったく無視され現在に至っております。
 このように、現在の頭痛専門医は、「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」をエビデンスなし、とされています。
 ところが、片頭痛のセルフケアのなかの指導項目として「姿勢を正しくしましょう」という事項が歴然としてあります。これは、「体の歪み(ストレートネック)」に関連した指導項目のはずです。こうした矛盾を矛盾として認識されません。そして、頸椎X線検査上みられる「体の歪み(ストレートネック)」の診断基準がありません。
  頭痛と関連のあるストレートネックが、どのようなものかが理解されておらず、すべて”一緒くた”に、混同して考えていることに問題があります。
 そして、「頭痛と関連のあるストレートネック」に対する治療手技がまったくありません。こうしたことから、慢性頭痛の方々の多くが、薬物療法に頼る医療機関を敬遠され、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の施術を求めて、受診される現実があります。


「体の歪み(ストレートネック)」は、現代では、”日常茶飯事にみられる所見”

 

 私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、生活習慣の問題により引き起こされた「脳内セロトニン低下」と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。


 私達は、日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。現代社会はスマホ全盛の時代で、歩きスマホをされるご時世です。
 

  こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。


 ここにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たいモノを持つ仕事をしている、赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、”脊柱の捻れ”を最終的に引き起こしてきます。
 

 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないように脊柱はS状の湾曲を呈しています。S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。
 これが、日常的に感じる極く軽度の頭痛です。
 日常的に感じる極く軽度の頭痛は、「体の歪み(ストレートネック)」が形成される以前の段階において出現してきています。
 

 このようにして、日常的に感じる極く軽度の頭痛が引き起こされてきます。


2004年の「国際頭痛分類 第2版」

 

 この「国際頭痛分類 第2版」は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入された時点で、専門家が「慢性頭痛診療のガイドライン」を作成される際に無条件に踏襲されたものです。
 以来、専門家はトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成した「国際頭痛分類第3版」を頭痛診療および頭痛研究の教義・教典としてきました。
 このため、全世界の頭痛研究者がこれに従われるために、日本の研究者も右へならえで従っているだけのことでしかありません。
 このため、何ら検証もすることなく、従っているだけのことです。
 「国際頭痛分類 第2版」への改訂以来、それまで頭痛と頸椎の関与を考慮されておられた、寺本純、竹島多賀夫先生以下大半の先生方は、”右へ習え”で、口を揃えてエビデンスなし、とされるようになりました。
 それを証明するものは、第38回の日本頭痛学会総会における、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の発表を、まったく無視され現在に至っております。   

  このように、「体の歪み(ストレートネック)」が頭痛と関係なしとされることは、まったく科学的な根拠があるものではありません。全世界の頭痛研究者に歩調をあわせているにすぎないものです。


「体の歪み(ストレートネック)」の重要性


 体の歪み(ストレートネック)は慢性頭痛の基本骨格ともなるものです。
 そして、片頭痛に移行すれば、「脳過敏」、「慢性化」の要因になります。
 冒頭でも述べましたように、殆どの場合前屈みの姿勢を強要される生活環境に起因したものですが、これが最初に「日常的に感じる極く軽度の頭痛」の原因にもなっていますが、この段階で、すでに「体の歪み(ストレートネック)」を認めることもありますが、これを意識することなく配慮されずに放置されれば、必然的に「体の歪み(ストレートネック)」が形成されてくることになります。


 「体の歪み(ストレートネック)」が持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。


 「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
   ↓           ↓
   ↓    脊髄を介して三叉神経脊髄路核
   ↓           ↓
   ↓     中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
   ↓           ↓
   ↓     
脳の過敏性、頭痛の慢性化
  

 自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頸性神経筋症候群
                                           
(慢性頭痛)

 

尾側亜核で三叉神経と頸神経が収束する


 ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳の中で、三叉・頸神経複合体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経核にも伝わります。


 このため、「体の歪み(ストレートネック)」が改善されないまま、放置されることにより、後頸部筋肉群にかかった刺激は常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。これが片頭痛を引き起こす準備状態を形成します。
 これがさらに、「脳の過敏性」、「頭痛の慢性化」へと繋がっていくことになります。また「体の歪み(ストレートネック)」は閃輝暗点を引き起こす要因にもなっています。


 このような後頸部筋肉群にかかる刺激(「体の歪み(ストレートネック)」)を取り除くことが、まず片頭痛を起こさないために重要になってきます。
 体の歪み(ストレートネック)は、ミトコンドリア、セロトニン、前屈みの姿勢の3つが関与していることを忘れてはなりません。

 ここで注意すべきことは、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)いることです。傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。


 片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症してきます。これは、両方の頭痛に共通してストレートネックが認められるためです。ストレートネックをなくせば、発作は激減することになります。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみが起きることによって、純然たる「緊張型頭痛」を発症します。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経」が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。


自律神経失調症状との関連


 首にはたいへん多くの神経や血管が集中しています。首の筋肉や関節の異常などによって、これらの神経や血管が圧迫されると、自律神経の働きが乱れ、さまざまな不定愁訴が起きることが多いのです。その症状は、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、イライラ、不眠など、実に様々です。ときには、こうした不調が自律神経失調症やうつ病など、こころの病気にまで発展することもあります。


 ストレートネックが長期間、放置されて引き起こされる病態が東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頚性神経筋症候群」です。結果として、さまざまな自律神経失調症状が引き起こされ、片頭痛にストレートネックを伴う場合には、頭痛発作が「天気」によって左右されたり、光が異様に眩しく感じられたり、めまいが頭痛発作と関係なく出現したり、不眠、不安障害、パニック障害やうつ状態にまで発展することもあります。
 (これらは片頭痛の共存症とされています)


 こういったことから、慢性頭痛がこじれた状態になったり、ムチウチの場合にも同様ですが、頭痛をはじめとする色々な訴えが出てきます。その代表的なものは、「気象の変化、低気圧」によって頭痛が出現したり不定愁訴が増悪し、あたかも「天気予報士」のように天候を言い当てる方々もおられ、”気象病”の代表的疾患とされるほどです。
  また、腰痛に悩まされたり、閃輝暗点の原因にもなってきます。


 ここで、前兆の「閃輝暗点」はどのように起きるのでしようか?


マグネシウム欠乏の観点から


 マグネシウム欠乏は、『皮質拡延性抑制』を発生させ、三叉神経刺激へと繋がり、片頭痛を発生させると謂われています。
 米国の研究では、400mgのマグネシウムを毎日補充すれば3~4週間後に片頭痛の頻度が減るという報告もあります。
 マグネシウム欠乏は、細胞の興奮性を増します。その結果、神経の過興奮・不安定が生じ、拡延性抑制を発生させます。片頭痛トリガーが発動します。
 現在、この『皮質拡延性抑制』を抑える治療薬は開発されていませんが、片頭痛患者に非常に効果があり、皮質拡延性抑制を抑制する物質として期待されているのが『マグネシウム』です。


体の歪み(ストレートネック)の観点から


 小橋 雄太さんはブログ「イミグラン錠副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」で自らの体験を述べておられ、10年以上、閃輝暗点を伴う片頭痛に悩まされ、「体の歪み」に片頭痛発作の引き金があることに気付いて、当初は整体師さんの指導を受け、この指導を毎日忠実に守り・実行することによって片頭痛・閃輝暗点を改善されました。
 このようにカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は「体の歪み(ストレートネック)」に対して施術され、閃輝暗点を改善されておられます。
 こうしたことから、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々からは、トリプタン製剤やミグシス・テラナスなどの薬物では治るはずはないと唾棄される現実があるようです。


 私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査でストレートネックを呈する方々に対して、ストレートネックを改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。
  60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例にストレートネックを認め、同様に「ストレートネックの改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
 これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「ストレートネック」を伴っておられる方々に「ストレートネックの改善」を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。


 このような成績をみますと、頭痛専門医は、閃輝暗点出現時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、これは”閃輝暗点出現時”の”結末”を観察しているに過ぎないと考えるべきもので、あくまでもその引き金となるものは、頸部の異常な筋緊張”「体の歪み(ストレートネック)」”にあるものと考えるのが妥当のようです。
 しかし、専門家は、このような「体の歪み(ストレートネック)」の存在意義そのものを否定されるため、このような考え方に至ることはありません。

 
「体の歪み(ストレートネック)」を悪化させる要因


 1.”前かがみ””うつむき”が元凶
 2.車の追突事故をはじめとした交通事故・・ムチウチ
 3.歯の噛み合わせの悪さ
 4.外反母趾、指上げ足(浮足)、扁平足など足裏の異常
 5.ミトコンドリアの働きの悪さ
 6.脳内セロトニンの低下


 以上があります。


体の歪み(ストレートネック)を悪化させる要因


1.パソコン作業による”前かがみ””うつむき”が元凶


 ストレートネックを生み出す最大の原因。
 それは、前かがみの姿勢やうつむきの姿勢などを長時間続けるような生活習慣にあります。原因の99% は、ここから来ていると言っていいでしょう。
 皆さんも、日頃、いかに前かがみやうつむきでいることが多いか、ご自分の生活を振り返ってみて下さい。


 パソコンの画面に釘付けになっている時間がとても長くありませんか?パソコンを使っていなくても、デスクワークをしていたり、携帯電話・スマホやゲームの画面を見ていたり、座って本を読んでいたり、車を運転したり・・・。 1日のほとんどの時間を前かがみやうつむきで過ごしているという人も少なくないのではないでしょうか。そういう毎日の生活習慣が、ストレートネックをつくる”大もと”になっているのです。
 とくに、パソコン作業を長時間続けていると、座りっぱなしのまま、知らず知らずのうちに前かがみやうつむきになってしまいます。なかでもノートパソコンを使っていると、画面の位置が低く、目線が下向きになってしまうため、前かがみ・うつむきになりがちです。ひどい人になると、猫背になって、顔とあごを前に突き出すような姿勢で作業をしていたりします。
 このように前かがみ・うつむきの姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉が緊張しっぱなしになって、こりが進んでしまいます。そして、こうした「筋肉が緊張しっぱなしになる状態」が日々積み重なると、ガチガチに緊張した筋肉に常に頸椎が引っ張られるかたちとなって、本来のカーブが少しずつ消失していってしまうのです。
 なお、こういったストレートネックの症状は、基本的には長い月日をかけてジワジワ進むものです。しかし、なかには急速に進むこともあります。たとえば、四六時中、前かがみになって根をつめるパソコン作業を行うような日々を続けたとしたら、ほんの2,3週間ほどでカーブが消失してしまうことも少なくありません。また、ときには車の追突事故などでムチウチになり、ストレートネックが一気に加速することもあります。
 とにかく、頸椎とは、非常にナイーブにできているところなのです。
 前に述べたように、人の頭は6キロほどあり、それがうつむき姿勢をとったときには、首にかかる荷重は3倍にもふくれあがるのです。
 ですから、うつむきっぱなしで首に疲労をため込んだり、首に大きな衝撃を加えたりしてはいけません。
 いいかげんに現代人は首を酷使する毎日から脱却しなくてはなりません。そして「首をいたわる生活習慣」を身につけるべきなのではないでしょうか。


2.頭を打ったり首を痛めたりした経験はありませんか?


 ストレートネック、すなわち、首疲労を起こすもう一つの原因があります。
 それは、過去に「ムチウチなどの外傷」を負った経験があり、首の筋肉組織を痛めたことによってさまざまな不調が起こる場合です。
 皆さんも、子供の頃から現在に至るまでの自分の過去を振り返ってみれば、頭を強く打ったり首を痛めたりした経験は何度かあるのではないでしょうか。
 いちばん多いのは、車の追突事故をはじめとした交通事故で首を痛める場合です。
 そのほかにも、子供の頃、鉄棒やジャングルジムなどから落ちたりしたことがあったかも知れませんし、自転車やオートバイで転んで頭部を打ったことがあったかもしれません。また、学生時代、ラグビーやサッカー、格闘技などの激しいスポーツをしていて、頭や首を痛める場合も多いのではないでしょうか。
 実は、そういうふうに強い衝撃を受けた際に生じた「首の筋肉の損傷」は時間が経ってもなかなか治らないことが多いのです。なかには、子供の頃に首を痛めて以来、何十年も不調を引きずっているような場合もありますし、何年も前に首を痛めた影響が今頃になって出てくるような場合もあります。首の筋肉は常に働いて頭を支えていかなくてはなりませんから、他の筋肉と違って損傷が治りにくく、小さなトラブルが尾を引きやすいのです。また、頭部外傷でも首の筋肉を痛めて、ムチウチと同じ症状が現れることがあります。頭部に外傷を受けて脳神経外科を受診しますと、頭の検査だけをして「異常ありません」と帰されるケースがほとんどです。けれど、外傷を受けたあとしばらくして、ムチウチと同じ症状が出て困っている人は非常にたくさんいます。
 ちなみに、このような患者さんの首のレントゲン撮影をしてみますと、たいていの場合、7個並んだ頸椎がまっすぐになってしまっています。本来は下のほうへ向かうにつれ、頸椎がゆるやかにカーブしているはずなのですが、そのカーブが失われてしまっているのです。これは「ストレートネック」といって、首の筋肉が本来の働きを果たせなくなることで起こる現象です。首の筋肉が硬くなり、伸びなくなっているために、そのしわ寄せが頸椎に及び、並びがだんだんまっすぐになっていってしまうのです。
 これは、首疲労から不定愁訴を起こしている患者さんには、ほとんどの場合、このストレートネックが見られます。


 過去に頭や首を痛めた経験のある人、また、整形外科などで、「ストレートネック」を指摘されている人は、首の筋肉のどこかに通常の働きができなくなっている部分がある可能性が大きいのです。その分、首疲労に陥る危険が高いことになりますので注意が必要です。ムチウチに対する治療で、事故後、よく患部をカラーで固めたり、牽引治療を行ったりする人もいますが、私はこうした治療は逆効果だと考えております。カラー固めるのは首の筋肉のこりを固まらせて治癒を遅らせますし、牽引で無理に首を引っ張ると、傷ついた患部組織にさらに新しい外傷を加えることになり、いつまでも症状を長引かせる原因になります。これまで、このような治療が行われてきたため、ムチウチの方々を長年苦しませる結果となっていました。


 これまで、片頭痛の慢性化のリスク要因には医療介入できない因子として、女性、社会的経済的階層(低い教育歴と低収入)、婚姻状態(未婚)、頸部または頭部外傷の既往などが挙げられておりました。ということは、頭痛専門医は、頸部または頭部外傷の既往に関しては、片頭痛とストレートネックの関与が全く念頭になかった結果と考えられます。
 また、相撲解説者の舞の海秀平さんは「片頭痛もち」で有名ですが、舞の海さんは、現役時代の「ぶつかり稽古」で首の筋肉に損傷を受けていたのでしょうか、引退して3~4年後に片頭痛を発症されたようです。東京の超有名な頭痛専門医を受診され、「元来の片頭痛と頸椎の椎間板ヘルニアが引き起こす頭痛が複合したもの」と診断されたようです。
 ここでも、首の筋肉疲労という視点が全くないための診断と思われます。


 3以下は、字数の関係から省略します。詳しくはhttp://taku1902.jp/sub524.pdfを・・


 以上、とくに注意すべきことは、追突事故に遭遇された場合、必ず、体の歪み(ストレートネック)を増悪させることによって、片頭痛を悪化させることがあるため注意が必要で、ムチウチに遭遇した場合は、事故直後に何も症状がなくても、3日間ばかり安静臥床が勧められます。
 いずれにしても、現在、専門家は、「体の歪み(ストレートネック)」の意義自体を考えることなく、片頭痛発作がなぜ天気・低気圧に左右されたり、めまい・腰痛はまったくべつものとされ、閃輝暗点との関与が示唆されながら、「体の歪み(ストレートネック)」を否定されるが故に、いつまでも片頭痛が”不思議な、神秘的な頭痛”とされている理由にもなっています。
 片頭痛の場合、「体の歪み(ストレートネック)」の改善は極めて重要です。


 以上のように、「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛とくに片頭痛治療上、極めて重要になっています。
 いつまでも片頭痛が改善されない方々が見受けられます。このような場合は、「体の歪み(ストレートネック)」がいつまでも、残存しているためです。
 こうしたことから、必ず、医療機関を受診され、頸椎X線検査を受けて、6方向の撮影をして戴き、「体の歪み(ストレートネック)」の程度を確認の上、自分で是正可能なものなのか、あるいはカイロプラクターもしくは整体師によって矯正して戴く必要があるのかどうかの診断を下してもらう必要があります。
 ただ、問題は、現在の頭痛外来を担当される頭痛専門医はこのようなことはまったく無視されておられることです。このような状況にあることを認識した上で対処しなくてはなりません。まさに、悲しむべき時代です。


脊柱のS状湾曲の形成過程


 生後、脊柱はC状のカーブを示しているだけです。それから3、4ヶ月に入り、寝返りや首をもたげる動作を始めると、頚部は前方凸のカーブを示してきます。お座りができるころには、腰部にわずかながら前方凸のカーブができ始めます。生後1年後くらいして、立ち上る練習を繰り返しているうちに、腰の前方凸カーブが完成され、S字状の脊柱カーブ、つまり人間特有の背骨(大黒柱)ができあがります。しかし、まだ完成された形ではありません。
 立ったり、歩いたり、人間としての動きが繰り返されているうちに、股関節や膝の関節も真っ直ぐになり、筋肉も立位を維持し、活動していけるように強化され、一人前の人間の姿が完成されるのです。つまり、上体を垂直にして立つ人間は、頚部と胸部と腰部に、交互に凹凸のカーブをつくり、力学的な負荷を軽減する構造になっているのです。
 こうして、二本足で立つ人間の腰には、前方凸のカーブができるべくして出来あがったわけですが、ゴリラや類人猿、あの北京原人でさえ腰のカーブをつくり、脊椎起立筋群は歩くことによって強化されていきます。現代のように歩くことが少なくなると、こうした筋群は弱対化し、あるいは退化してしまいます。文明の発展とは逆に、今度は腰や体の弱体化が進んでいくのです。腰痛はこうした必然性のもとにどんどん増え続けるに違いありません。
 また、脊柱にかかってくる負荷や背骨の故障は、脊柱が末梢神経を脊髄から分枝しているため、すぐに神経のトラブルにもなるのです。人間は立っていること自体、すでに骨格や筋肉に生理的な緊張を強いています。それに加えて社会環境や労働環境のストレス、老化という身体の退行性があります。
 文明の発展とは逆に、今度は腰や体の弱体化が進もうとしています。
  また、活性酸素を発生させる生活環境によって、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、脳内セロトニン低下と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。
 すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。


小児のストレートネック


 整体師の鈴木勝己さんによれば、以下のように述べておられます。

 「片頭痛がある子どもは、肩こりや自律神経失調症を合併している場合がほとんどで、体のバランスの崩れも影響していると考えられます。
 当院に頭痛で来院される患者さんの多くに、姿勢の乱れによる首の緊張が診られます。
 首は、重い頭を支えているので、少しの体のバランスの崩れが影響する部位です。
 首(頸椎)は、脊柱の上から7つ目までの骨で構成されていて、それぞれがスムーズに動くことによって、首を前後左右に動かすことが出来るようになっています。
 脊柱は、横から見るとゆるいS字カーブを描いていて、これを生理的湾曲と呼ぶのですが、このカーブの乱れが、首や体のいろいろな部分に不調をもたらします。
 子供は脊柱の形成が未発達であり、脊柱の生理的湾曲(S字カーブ)が完成されていません。更に運動不足による筋力の低下により、S字カーブがきちんと形成されないばかりか、姿勢を維持する事が出来ない子供が増えています。
 脊柱は、長い年月をかけて作りあげられます。S字カーブの形成の乱れが、いろんな病気に波及しますので、子供の姿勢を以下の点からしっかりチェックする必要があります。


  •正座がきちんとできるか。
  •あぐらがかけるか。
  •まっすぐに立っていられるか。(傾いていないか。)
  •首の回旋がきちんとできるか。(前後左右に均等に動かせるか。)


 猫背などの姿勢の悪さは、体全体の歪みですので、できるだけ早いうちにバランスを整えることが大切です。」


 以上のように述べ、小児の片頭痛でも「体の歪み」との関連性を指摘されております。


  また、歯科医の内田信友先生は、以下のように指摘されておられます。


  子供が片頭痛を起こしやすい原因としては以下の理由が考えられます。


  •長時間、変な姿勢でゲームをやっている
  •小型のゲーム機などを長時間やっている
  •食生活(栄養バランス)に偏りがある
  •ストレスを溜め込んでいる
  •首の骨が歪んでいる


 最近の子どもはゲームやパソコンを長時間続けてやっている子が増えてきています。また、ゲームだけでなく変な体勢で本を読んだり、テレビを観ている子も要注意です。


 姿勢が悪いと、肩こりや体の筋肉が緊張してしまい頭痛を引き起こす原因となります。子供の姿勢には注意が必要です。
 そして、「背骨伸ばし」のストレッチで、大半の小児片頭痛が軽快すると述べておられます。


 以上のように、小児の片頭痛でも、大人と同様に片頭痛とストレートネック及び「体の歪み」との関連を指摘されております。


 しかし、整体師の方々のホームページを点検しますと、ごく「当たり前」のように記述されております。これは、何を意味しているのでしょうか?
 整体師の方々は、多くの小児片頭痛に「体の歪み」を指摘され、歯科医の先生は、小児の片頭痛が”背骨伸ばし”のストレッチだけで、軽快しているとの報告をみますと、まさに奇異な感じを受けます。
 ところが、これまでの片頭痛の成書には、小児の片頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」 に関する記載は、まったく存在しません。
 このことが、子供の頭痛を改善させるためのネックとなっています。


 いずれにしても、「体の歪み(ストレートネック)」の診断基準が医学会に存在しないことが最も問題にされなくてはなりません。


 専門家は、「体の歪み(ストレートネック)」を念頭に置かないために、慢性頭痛の基本骨格をなくしたことにより、慢性頭痛の起点を見失わせることになり、片頭痛を醸成・熟成させ、さらに慢性頭痛をひたすら増悪させ、最終的に片頭痛へと移行させ、さらに片頭痛を慢性化させる根源ともなってきます。
 このような状況は、まさにトリプタン製薬メーカーの術中に嵌っているとしか言えないようです。こうしたことを何時になれば専門家は気がつかれるのでしょうか?

 

 

  より詳しくは、以下をご覧下さい。

      
  「体の歪み(ストレートネック)」
      
http://taku1902.jp/sub441.pdf