「こうして医者は嘘をつく」シリーズ おわりに | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 皆さんは1979年に出版された「こうして医者は嘘をつく」が、トリプタン製剤が開発されたのが1980年代にもかかわらず、なぜ現在の頭痛診療を理解するために参考になるのかという疑問をきっと持たれたことと思います。
 それは、日本の医療(頭痛医療を含めて)、はすべてアメリカ流の西洋医学が基本になっているからです。

 
 原著の「こうして医者は嘘をつく」によれば、以下のように述べられています。

 
 現代医学は生と死、生命の意味といった問題を扱い、それ自体が宗教となった。そのおぞましい実態の原因は、薬品や医療機器といった生命のないものに基づいて教義をつくり上げたことにある。不幸なことに、現代医学は偶像を崇拝する宗教になりはてたのだ。
  医者が薬物療法にこだわるのは、効率性を重視しているからだと考えられている。たしかに診察室で患者の栄養状態から普段の運動状況、仕事のストレス、精神状態までいちいち問診していれば、さばける患者の数も限定される。それに対し薬物療法なら、処方箋を書けば診察を終えることができる。実際、出来高払い制のもとでは、薬物療法によって医者だけでなく製薬会社も利益があがる。
 西洋医学を除いて世界の大多数の医学大系は、食物を重視している。ところが、現代医学では食物とは薬物のことなのだ。
 アメリカの医者は食生活の重要性をすっかり無視し、栄養に関心を寄せる医者は「変わり者」や「やぶ医者」といったレッテルを貼られる。
 それに対し東洋医学では、食物が健康に及ぼす影響を重視する。東洋の宗教では人間の精神状態に食物が深く関わっていると考えられている。しかし、西洋の宗教、とりわけキリスト教は、食物に関して現代医学と同じ姿勢をとる。
 医者が何かにつけて薬を処方する一因は、多額の報酬が絡んだ製薬会社との癒着である。  製薬会社は営利企業だから、その目的は利益の追求である。
 そして、医者とは薬を売りさばく聖職者と述べています。
 さらに、医者と製薬会社の癒着が腐敗と薬害の温床となっていると著者は述べます。


 このように、アメリカ流の西洋医学を基本とする、アメリカの医者は食生活の重要性をすっかり無視し、薬物療法がすべてとなり、その大半は対症療法にすぎないもので、製薬会社との癒着が極めて顕著であり、こうすることが、製薬会社や医者の利益を守る為に必要不可欠となっていると、「こうして医者は嘘をつく」で指摘されています。
 
 この点は、片頭痛医療の世界ではあからさまに製薬会社と専門家の関与(癒着ぶり)が示されていることになっているからです。


トリプタン製剤が開発されて・・


 1980年代はじめに、片頭痛の治療領域にトリプタン製剤が開発されました。
 トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者は、1980年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的でこの「国際頭痛分類」を作成しました。
 トリプタンが医学的に薬剤として評価されるためには、一定の基準に基づいて診断された患者のなかでの治療成績を調べなくてはならないからです。
 この「国際頭痛分類」では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準を作ってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる「変容性片頭痛」などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています 。
 トリプタン製剤は、片頭痛を持つ”多くの”(すべてではありません)患者さんに対して、非常に効果があります。すなわち、片頭痛の発作期間の3日間の寝込む程の辛い頭痛が劇的に緩和させることができるようになりました。
 こうしたことから、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成して、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断して、トリプタン製剤を処方させるようにしました。
 これが、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類」です。


 このように、トリプタン製剤が開発された段階において、トリプタン製薬メーカーが係わっていたことは忘れてはなりません。このようにして、現在の「国際頭痛分類 第3版β版」が作成されたということです。


 そして、日本の専門家の方々は、先程も述べましたように、1980年代に英国において片頭痛治療薬トリプタン系製剤が開発されて以来、1991年に、全世界で初めて販売されたことに注目されていました。
  欧米でトリプタン製剤が発売後から日本にトリプタン製剤が導入されるまでの10年間の間は、神経学雑誌の話題・トピックスの大半がトリプタン製剤で占められていました。これほど長い期間、日本にトリプタン製剤が認可される日が待ち焦がれていました。
 このように、専門家の方々は、常にトリプタン製剤の動向を念頭におき、1962年に発表された米国神経学会の頭痛分類特別委員会の分類、さらにその後,1988年に発表された国際頭痛分類、2003年に、「国際頭痛学会による診断基準を伴う分類」の改訂分類が発表され、こうした「国際頭痛分類」を基本として、1996年に、片頭痛の克服をめざす国際的組織ADITUS が設立されたことを契機に、それまでの1973年の頭痛懇談会、1985年の頭痛研究会、さらにこれを発展させた形で、同年の1996年に「日本頭痛学会」を設立されました。
 2000年にやっと、日本に待ち焦がれたトリプタン製剤を導入すると間もなく、電光石火のごとく「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されました。
 日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、それまでに欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していた「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されることになりました。


 この「慢性頭痛の診療ガイドライン」は、欧米のトリプタン製薬メーカーとトリプタン御用学者が作成した「国際頭痛分類」という基準を遵守・踏襲した形で作成されたことから、片頭痛治療の世界はトリプタン製剤がすべて(一色)になってしまいました。片頭痛治療薬の第一選択薬として、トリプタン製剤が据えられ、マスコミでは片頭痛の”特効薬”と誇大宣伝が繰り返されました。
 そして、この「慢性頭痛の診療ガイドライン」はトリプタン製薬会社を介して、日本全国津々浦々の医療機関に広く無償で配布されたほど徹底したものでした。
 このようにして製薬メーカーが中心となって徹底した売り込み戦略が開始されました。 このため、学会をも巻き込んだ形でガイドラインが作成された点を忘れてはならない点です。いわばこの「慢性頭痛診療のガイドライン」はトリプタン製薬会社が作成したかのような印象がありました。
 これが、今後の片頭痛治療・研究の方向性を決定的に左右した時点でした。


 以上のように、日本にトリプタン製剤が導入される段階から、トリプタン製薬メーカーと学会を主導される方々との二人三脚ぶり(悪く言えば”癒着”ぶり)が明確にされています。
 

 このようにして、我が国にトリプタン製剤が導入されることに至りましたが、当初は、それまで片頭痛発作期間中、寝込む程に日常生活に支障を来す程の辛い頭痛が緩和されたことから、片頭痛患者さんの生活の質QOLを向上させるといった大義名分で、トリプタン製剤の啓蒙活動がしきりに行われ、片頭痛を”病気”と考えましょう、とされました。


 そしてトリプタン製剤の作用機序に関しては以下のように説明されてきました。
 すなわち、以下のような”教義”が作られることになりました。

 

 トリプタン製剤が片頭痛に効果があるのは、頭痛が起きる仕組みの根幹部分に作用しているためです。片頭痛にはセロトニンという物質が大きくかかわっています。セロトニンは神経伝達物質のひとつで、感情のバランスを安定させる役割を持ち、血管を収縮させます。ストレスなど何らかの理由でセロトニンが分泌され、収縮した血管は、役割を果たして減少するにつれて今度は拡張します。
 血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きる、というのが一つ。
 さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が分泌され、血管を刺激して痛みが出てくる、というのが一つ。
 この二つが片頭痛が起きるメカニズムです。
 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、トリプタンという薬は、セロトニンと同じような作用を持っています。そのためセロトニンの代わりに血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらにセロトニンは三叉神経に取りついて、痛み物質のサブスタンスPなどが分泌されるのを抑制する役割がありますが、ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
 このようにトリプタンは脳の中でセロトニンとして働き、血管を収縮させ、サブスタンスPなどの分泌を抑制する、という2つの役割を果たすことにより、片頭痛の起きる原因そのものを排除します。つまりトリプタンは、片頭痛という病気のより本質に近いところに作用して痛みを取るため、効果が高いというわけです。
 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、最初の引き金となる「セロトニン」は”生理活性物質”としての作用です。片頭痛発作時には、「脳内セロトニン」が不足した状態にあります。トリプタンという薬は、脳内セロトニンと同じよりに、血管には1Bという鍵穴があり、トリプタンはこの鍵穴に作用して、血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらに血管の周囲から「痛み物質」が、シャワーのように血管に降り注いで、血管の拡張と炎症が起こっており、シャワーには1Dという鍵穴があって、トリプタンはこの鍵穴に作用して、「痛み物質」の放出をとめます。ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
 トリプタン製剤が出る前に使用されていた鎮痛剤や市販の鎮痛薬は、本質的な痛みの部分に作用しているのではなく、痛みの伝達を途中でブロックして感じなくしているだけです。
 そのため、痛みが強いと効果がなかったり、薬を飲んだときには少し良くなっても、しばらくして薬の効果が薄れてくるとまたすぐに痛くなったり(痛みはずっと続いているため)することがあります。
 基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップしています。


 さらに、市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
 当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
 この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。


 このようなことから、片頭痛にはトリプタン製剤を服用するのが”適切”な治療とされます。
 すなわち、「この薬剤は市販の鎮痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症蛋白が放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬です」

 このようにトリプタン製薬メーカーが聞けば泣いて喜ぶような説明をされてきました。

 そして、これが、一般的な常識とされてきました。
 

 ところが、片頭痛の発作の都度トリプタン製剤を服用しているにも関わらず、片頭痛の3割の方々は、慢性化して増悪し、なかにはトリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされることから、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥り、対処が極めて困難な状態が多発するようになり、問題になっています。
 しかし、こうしたことがどうして起きるのかが明確にされることなく、これまで私達には覆い隠されてきました。


 こういったことから、これまで、片頭痛をどのように考えるべきかを明らかにしてきました。それは、アメリカ流の西洋医学の論理で考えることなく、東洋医学的な考え方から、慢性頭痛とくに片頭痛を考えるべきであると述べてきました。


  「こうして医者は嘘をつく」では、「新しい医学」とは生物学に根ざすべきとされ、これが自然の摂理とされます。
 このように考えるなら、臨床頭痛学も生物学の法則に従って構築されなくてはなりません。
 生命の根源となるのは、私達の細胞のなかにある小器官のミトコンドリアにあります。
 こうしたことから、臨床頭痛学はミトコンドリアとの関連から考えなくてはなりません。

 

 「こうして医者は嘘をつく」で「現代医学は生と死、生命の意味といった問題を扱い、それ自体が宗教となった。そのおぞましい実態の原因は、薬品や医療機器といった生命のないものに基づいて教義をつくり上げたことにある。不幸なことに、現代医学は偶像を崇拝する宗教になりはてたのだ」と述べられている通りに、専門家は、トリプタン製剤といった生命のないものに基づいて教義をつくり上げ、臨床頭痛学はトリプタン製剤といった偶像を崇拝する宗教になり果てることに至り、さらに、専門家はトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成した国際頭痛分類第3版を頭痛診療および頭痛研究の教義・教典として臨床頭痛学を論じてきたということです。

 このようにして、”二重の教義”に基づいて、トリプタン製薬メーカーによってマインド・コントロールされることになっています。

 

 このため、以上述べてきたような問題点がでてきても、何も解決に至らないということです。

 

  さらに、ドイツでも以下のようにこれまで指摘されています。

 

  DR.RATH HEALTH FOUNDATION の「製薬業界は一般大衆を欺いている」
    
http://www4.dr-rath-foundation.org/japan/chemnitzprogramme/chemnitz08.html

 

 

 こういったことを、「これでよいのか 片頭痛医療」で、訴えるべく、某出版社に応募し、出版を考えましたが、広く一般に公開される出版物において、日本頭痛学会への批判、憶測による言及は避けるべきであり、現状のような書き方だと名誉棄損と受け取られかねないとの理由から却下されることになりました。

 (今回の記事をご覧戴き、これが果たして”憶測”といえるのでしょうか、史実に基づいた真実を述べているはずです。さらに、学会を批判しているとのことですが、学会のされることが、全て正しいのでしょうか、正しくないと根拠を示して、間違いを指摘して、このどこが悪いと言われるのでしょうか)
 このように学会および製薬会社を批判するような出版には、かなり超えなくてはならないハードルがあるようです。

 (特に、製薬メーカーおよび医師の利益に関わることであるが故に、こうした出版物は”禁書”とされるのが、世の常のようです)。

 ということは、一般の一開業医がごとき素人が、学会や製薬会社に楯突くことはタブーとされ、書籍として出回ることはあり得ないということを意味し、何時までも、片頭痛の本態が闇に葬られるように、明かされることはないようです。

 (こうしたことが、製薬メーカーおよび医師の利益を守ることに直結していることを忘れてはなりません)

 このため、私達の身は自分で守るしかない、と著者自身が述べておられる通りです。


 このため、敢えて、ここに掲載しておくことに致します。


  「これでよいのか 片頭痛医療」 改訂版 
    
http://taku1902.jp/sub512.pdf

  

  片頭痛治療のてびき 前編
    
http://taku1902.jp/sub510.pdf


  慢性頭痛 治療の考え方・進め方 後編
    
http://taku1902.jp/sub511.pdf

 

 

 従来の頭痛学では、製薬メーカーおよび医者の利益のみを追求するだけのことであり、真の「慢性頭痛でお悩みの方々」のためのものではないことが理解されるはずです。
  今後、「新たな臨床頭痛学」を作っていくためには、このような「二重の教義」を排除していくことが重要になってきます。
  このような「二重の教義」にいつまでもしがみつく集団には何も期待できません。

 ということは、このような教義のもとで論じられる学会の場では、この教義に反する考え方そのものは徹底的に排除されることは当然のことであり、まったく意味をなさないことになります。このような実態はカルト宗教そのものを彷彿とさせ、まさに「こうして医者は嘘をつく」の著者が言われる通りと考えなくてはなりません。

 このようなことは、これまでの学会のあり方から明確に示されていることです。
  今後、頭痛研究を志される方々は、このことを肝に銘ずることが大切になってきます。

 このことは、医学部に入学され、将来、どの科を選択するかを考える際に求められることであり、一端、医学部を卒業し、教室に入局してしまえば、そこの主任教授に「従来の頭痛学」を教え込まれ、研究の方向性が定められてしまい、何の進展も得られることはありません。

 このため、入局する以前の段階において、「慢性頭痛とは何か」を自分の頭で、構築しておかなければなりません。そうされなければ、何も変わることはありません。
 こうしたことから、下段の2編は、参考までに、頭痛研究を行う際の考え方の一つの例として提示させて戴きました。あくまでも、一つの考え方であり、今後の研究の方向性をお示ししたに過ぎないことをお断り致します。
  現在、現実に慢性頭痛でお悩みの方々は、当面、これを参考にして戴ければと思っております。