「こうして医者は嘘をつく」シリーズ 6 訳者のあとがきから | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 科学の出発点は疑うことですが、現代医学の出発点は信じることです。科学にはこうすればこうなるという一定の法則がありますが、現代医学の場合、いくら理論的に正しく見えても、治療を受けるとどうなるかはやってみないとわかりません。実際、医者を信頼して治療を受けたところ、一気に体調を崩し、あっという間に早世した著名人の話をよく聞きます。その場合、医者はたいてい「やれることはすべてやったが、病気が進行していて手の施しようがなかった」と言いますが、医者の処置が患者の死期を早めた可能性もあります。その理由は、著者によると、医者が濃厚で過剰な治療を選択する傾向があるために自然治癒力を妨げてしまい、結果的に患者に害を及ぼすおそれがあるからです。
 私たちは学校や家庭で「病気は医者が治すもの」と刷り込まれています(教師と親も子どものころにそう刷り込まれています)から、自然治癒力についてめったに考えませんが、私たちの体はありかたいもので、病気や怪我は痛みや熱などの不快な症状をともなったのちに自然に治るようにできています。つまり、しばらく体を安静にして辛抱すればすむのですが、私たちは何もしないことに耐えられず、痛みや熱を目のかたきにして「放っておくと大変なことになる」と思い込み、自然に治るのを待たずに病院に行くようテレビや新聞を通じて洗脳されています。マスメディアは医師会と製薬会社がスポンサーになっているからです。
 医者は病気や怪我が自然に治らないと信じて治療しますし、患者も病気や怪我は自然に治らないから病院で治療を受けなければならないと信じています。これがすべての矛盾の根源だと思われます。ちなみに、医学部で自然治癒力を教えないのは、病気や怪我は放っておくと自然に治るという事実を教えてしまうと医学部の存在意義がなくなるから、というのが真相のようです。あるいは、臓器や組織、細胞は人体から採取された時点で自然治癒力の対象外になるため、顕微鏡をのぞいて病理検査をする意味がなくなるというのもあるかもしれません。
 病院に行って病気が治った場合、治療が奏功して治ったのか、自然治癒力で治ったのかを見極めるのは至難のわざです。放っておいても自然に治った可能性もありますが、私たちは治療のおかげで治ったと考え、医療に対する信仰を深めてますます病院に行きたがります。
 昨今、長引く不況のために診療報酬の伸びが抑えられています。医者はそれを快く受け入れているように見えますが、実際には患者を増やし、客単価を上げて対抗します。政府が診療報酬を抑制しているのに国民医療費が高騰するのは、そういうわけです。
 患者を増やすおもな方法は、病気の基準値を引き下げることだ、と著者は指摘しています。
 高血圧がその典型で、最近では高齢者の約半分が該当しているのが実情です。しかし、高齢になると血圧が上がるのは自然現象ですから、基準値がむしろ異常だと言えます。
 心臓は脳の指示を受けて血液を全身に送り出していると生物学の授業で習いますが、医者の指示を受けて薬で無理やり血圧を下げると全身に十分な血液が届かなくなり、ふらつきやめまいなどの症状が出やすくなるのは多くの人が経験しているとおりです。また、血管の中にはたえず血栓ができるのですが、血圧を下げると血栓を押し流せなくなり、やがて血管が詰まって脳梗塞を起こすおそれがあることは、すでに多くの研究で指摘されています。「医学の発達」がさかんに喧伝されているのに病人が増えっづける背景には、こういう事情があるように思われますが、テレビや新聞ではスポンサー・や圧力団体への配慮から真実が報道されません。
 かつて製薬会社の知人がこう言いました。
 「医者の多くは非常に欲が深いので、健康診断で安定的な集患をはかって増収につなげようする。開業医はもちろん、勤務医もノルマを抱えていて客単価を上げるために薬を出しすぎているというのが実態だ。多剤大量処方は併用禁忌を無視しがちで危険きわまりないが、薬剤師は医者の処方に異議を唱えると診療介入のかどで調剤薬局を閉鎖に追い込まれるので黙っている。医薬分業で医療の質の向上をはかるなんてお題目にすぎない。現状では薬害が多発しているから、健康でいたいなら、健康診断を受けず、あまり医者に近寄らないほうがいい」
 そのときは「変なことを言う人だ」と思ったのですが、本書を読んで納得しました。健康診断は基準値を操作して健康な人を病人に仕立て上げ、患者を確保する手段だ、という見方もできるのです。だからかどうかはわかりませんが、健診や検診を毎年きちんと受けている医者は少ないようです。皮肉なことに、健診や検診を律儀に受けている実直な人ほど検査にひっかかり、薬の副作用や手術の後遺症、放射線の悪影響で体調を崩しやすいと言えるかもしれません。

 このように、訳者のあとがきで締めくくられています。

 

 

 脳のなかに異常のない慢性頭痛のなかには、日常生活に支障を来す程の激しい頭痛があります。例えば、片頭痛や群発頭痛です。これらにしても、片頭痛では長くても3日間、群発頭痛では、3時間ばかり、我慢に我慢をしておれば、また軽快し、また元通りに回復してきます。このように、このような日常生活に支障を来すような頭痛であっても、ひたすら我慢に我慢しておれば、また元通りに回復してきます。これは、前々回に述べましたように自然治癒力によって回復してきたものです。
 片頭痛の場合、トリプタン製剤が開発されて以来、こうした3日間の生活の質QOLを高めることを目的として、本来、西洋医学では「健康」の範疇にあったものを、「病気」として、考えられるようになりました。
 片頭痛の発作時には、脳の血管が収縮と拡張を引き起こされていることから、こうした脳の血管が収縮と拡張を片頭痛発作時に毎回繰り返しておれば、脳の血管にダメージが加わることによって、将来、脳梗塞へ移行することに繋がってくると、MRIという画像検査で小さな梗塞巣が発見されたことを理由に、訳の分かっていない脳神経外科医によって、片頭痛発作時には毎回、トリプタン製剤を服用することによって、脳の血管が収縮と拡張を引き起こさないようにすることで、脳梗塞を予防すべきとされてきました。しかし、こうした脳梗塞を引き起こす要因は、こうした原因ではないと、これまでもブログで「訴えて参りました。
  片頭痛と脳梗塞 血管内皮細胞との関連から
     
http://taku1902.jp/sub448.pdf

 さらに、このように、片頭痛発作時には毎回、トリプタン製剤を服用しないと、将来、「脳過敏症候群」へ移行することになると脅迫されてきました。また、こうすることによって、パニック障害やうつ状態まで改善すると主張されてきました。このこともブログで、このような馬鹿な作用が、トリプタン製剤を服用したからといって、改善される訳がないと指摘してきました。
   このようなことが、マスコミやネット上で広く流布し、これが当たり前のように広められております。この理由は、マスメディアは学会と製薬会社がスポンサーになっているからです。
 そして、トリプタン製剤が片頭痛の特効薬と、こうした専門家達によって、誇大広告がなされてきました。
 ところが、日本にトリプタン製剤が導入されて16年経過しましたが、片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。
 そして、3割の治癒したものは、トリプタン製剤の服用のお陰とされ(果たしてそうなのでしょうか)、4割の方々はいくらトリプタン製剤を服用しても幾度も幾度も発作が繰り返され、3割の方々は慢性化し、治るどころか片頭痛そのものが増悪してきています。
 「現代医学の場合、いくら理論的に正しく見えても、治療を受けるとどうなるかはやってみないとわかりません」と指摘されるように、片頭痛の場合、このような結末に至っていることを冷静に見つめ直すことが必要となってきます。
 こうしたことから、これまでの考え方では駄目なことは、専門家でなくても素人でも理解されるはずであり、考え方を改める時期に至っているということです。
 トリプタン製剤の服用によって「生活の質QOLを高めること」だけを目的とした考え方では、現実に片頭痛でお悩みの方々のコンセンサスは得られなくなってきたということです。
 このため、著者からは「世間の人は自分の身は自分で守る必要があることを肝に銘じるべきである」と締めくくられています。

 

 これまで「こうして医者は嘘をつく」を断片的にご紹介してきましたが、誤解があっては困りますので、是非とも原著でご覧頂きたく思っております。
 この書籍は1979年にアメリカの小児科医のロバート・メンデルソンによって刊行され、全米で大ベストセラーとなって以来、不朽の名著として読み継がれており、本年度、日本で初めて弓場隆の翻訳によって三五館から出版されたものです。
 日本の医療状況を、とくに頭痛医療を理解するための必読書と思います。