「こうして医者は嘘をつく」シリーズ 4 医者は自然治癒力を認めようとしない | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 原著の「こうして医者は嘘をつく」によれば、以下のように述べられています。


 最近の医学会議で、ある医者が抗がん剤治療について次のような趣旨の報告をした。
 「救命の方法と新しい治療法の発見には大いに興味があるが、患者がある程度死を受容して安らかに死ねるように配慮することが重要だ。私はスタッフとともに時間と労力の大半を割いて末期患者に接しているが、その際のカウンセリングは、できれば家族のいないところで行なうようにしている」
 なぜ、この医者を含めて死の商人たちは「家族のいないところでカウンセリングを行なう」と言うのか。私にはその理由がわかる。家族の目的は生命をはぐくむことであり、家族の影響があると患者を死から遠ざけることになるからだ。
 人の死を研究している多くの医者は、患者は死を受容すべきだという前提に立って医療に携わっている。つまり、医者は患者を治療して死なせているのだ。その理由は、患者を治療して生かせておくことができないからである。医者は「死を否定することは、ある意味で精神的に不健全だ」と言い、さらにこう主張する。
 「もし末期患者が死について語らず、死と向き合うこともせず、あきらめて死のうとしないなら、長いあいだ病気で苦しむことになる」
 カウンセリングで死を受容することを患者に説く医者たちは、何か見当違いをしているので「あなたはもうこれ以上生きられる見込みはない」などと言う医者は、患者にとって何の役にも立だない存在である。患者に余命を告知して「あなたはもう長く生きられない」と言うことは、患者に呪いをかけているのと同じなのだ。患者は医者の言葉を信じ、告知されたとおりに死んでいく。
 心のもち方は体の治癒能力に影響を与える。もちろん医者は自然治癒力を認めようとしないが、楽観的な姿勢を維持することがいかに大切であるかは論をまたない。医者は余命を告知するより、患者の将来設計を助けるべきだ。患者に「死に至る病気なので、現在の医学ではあまり見込みがない」と言うのと、「あなたの死は避けられない」と言うのとでは意味がまったく違ってくる。
 もちろん、もし医者が患者の病気に対して無力であることを認め、「現代医学以外の治療や患者自身の自然治癒力を生かせば効果があるかもしれない」と言ってしまえば、患者に対する統制力を失うことになる。だから、医者としてはそんなことは言えない。
 現代医学の儀式はますます効果がなく、患者の生命を脅かすようになっている。そこで、医者のこうした仕事ぶりがもたらす結末を準備しておくことは、医療ビジネスを営むうえで理にかなっている。
 患者が死を人生の一部として受容するようになれば、病院としては死の領域を扱う医療を新たに設けることができる。それが終末期医療(ターミナルケア)である。


 このように、「現代医学以外の治療や患者自身の自然治癒力を生かせば効果があるかもしれない」と言ってしまえば、患者に対する統制力を失うことになる。だから、医者としてはそんなことは言えない。このため、医者は自然治癒力を認めようとしない。


とろで、自然治癒力とは・・


 生物がすべて持っている本能的な力で、病気に打ち克つ力や病気や傷を治す力を『自然治癒力』といいます。
 例えば、
  「ケガをしたら、かさぶたができ、血を止め、傷が少しずつ消えていく」
  「日焼けして黒くなった肌が元の白い肌に戻っていく」
  「髪の毛や爪を切ってもまた伸びてくる」また「腐ったものや毒物を食べると、吐いたり、下痢になる」


  これも自然治癒力です。


 「風邪を引いて熱が出たときに、汗をかいて熱を発散させる。」 これも同じことです。

 発熱や下痢・嘔吐・頭痛は「病気を治そうとする」反応なのです。
 この反応が好ましい生体反応といえます。
 私たちが健康でいられるのは、この自然治癒力のおかげです。


恒常性の維持(ホメオスタシス)とは


 自然治癒力がスムーズに働く為には、体内の恒常性の維持(ホメオスタシス)の働きが大切になります。
 ホメオスタシス(homeostasis)とは、ストレスになりうる外界の環境の変化に対して、生体を安定した恒常的状態に保とうとする仕組みのことです。
 哺乳類の場合、神経・免疫・内分泌(ホルモン)の相互作用によって維持されています。
 例えば、冬の寒い日は身震いをして体温を上げようとし、夏の暑い日は、汗をかいて体温を下げとようとします。
 このように、私たちの体には外部の環境変化に対して体の内部状態を一定に保っていこうとする調節の仕組みがあります。
 このため、体は変化と安定の間を常にゆらいでいます。ゆらぎの中で私たちの健康は保たれています。この調節を行うのが自律神経の活躍によるものです。


 ホメオスターシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。
 ホメオスターシスはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。
 この3つのバランスが崩れてホメオスターシス機能が保てない状態になると、”頭痛”を始めとするいろいろな”体の不調”が現れることになります。


 一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。


 ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
 必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。

 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。

 

 このように、「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”は、生活習慣とくに食生活・ストレスによって影響を受けています。

 

 「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの”一角”に問題を生じてくれば、極く軽度の頭痛が出現してくることになります。
 そして、これに更に、新たに”別の一角”の要因が加わればさらに頭痛の程度も増強してきます。
 最終的に、この”三角”とも全てに問題が起きることによって「ホメオスターシス三角」が崩壊することに至り、難治の”慢性頭痛”を発症させます。


それでは、片頭痛は、どのように考えるべきでしょうか


 片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。


 自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。


 ”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
 すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。


 「ホメオスターシスの三角形」を構成する要因が全て”完成・障害”されてしまえばこの”ホメオスターシスの三角が崩壊”することになってしまいます。
 この状態に、さらに「ミトコンドリアの問題」、「脳内セロトニンの低下」、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の脳過敏・慢性化の要因が加わることによって、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。


 このように片頭痛は”未病”の段階にあり、緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ることになりますので、常に自分の生活習慣に気を配り、何か問題があれば、その都度改善に努める必要があります。このように進行性疾患です。


片頭痛の発作の「持続時間」に関して


 片頭痛の発作の持続時間は4~72時間とされています。これは、ホメオスターシスという生体の恒常性維持機構によるもので、この発作中にホメオスターシスの維持機能が働き、これによってホメオスターシスの三角の歪みが修復されて発作が終結します。このため、”ホメオスターシスの三角の歪みの程度”によって、発作の持続時間が決定されることになります。

 ”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
 すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。これらの3つの傷害の程度によって左右されることになります。


  このように、片頭痛はホメオスターシス、自然治癒力の観点から捉えるべき頭痛です。
 

ホメオスタシスを意識して診療する


 われわれ医療従事者が意識することは,「患者さんが治癒する」ということは,最終的には患者さん自身のホメオスタシス機構が内部環境を保てるように働いた,つまり,患者さん自らが病気を治すのだということです。手術,投薬,食事療法や運動療法は,その手助けをするにすぎません。しかし,手助けをするにもどういった内部環境に働きかけるのか,その介入が他の内部環境の平衡状態を崩す結果とならないか,よく考える必要があります。


  このように、自然治癒力なくしては、病気は治ることはないということです。
  この手助けをするのが、医師としての使命であると考えなくてはなりません。

 

 ところが、頭痛の専門家には、このようなホメオスターシス・自然治癒力といった観点が全く欠如していることは、まさに由々しき問題とされなくてはなりません。