脳に悲鳴を上げさせないために・・動脈硬化を防ぐ | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 最近、片頭痛の人は、一般人と比べて脳梗塞を起こしやすいことが分かってきました。
 片頭痛の発作を起こすたび、脳血管の内皮細胞に損傷を起こし、繰り返す頭痛で血管ダメージが蓄積し、脳梗塞を引き起こすのです。


 このように学会を主導される方々は申されます。しかし、片頭痛発作とは関係なく、動脈硬化を引き起こす要因が、もともと潜行しており、これらは片頭痛発症と共通する要因と考えるべきものです。


 発症倍率は、単純な片頭痛がある方で2 倍、キラキラした光が見える片頭痛の方で6 倍、片頭痛がありタバコを吸うと10 倍、片頭痛があり低用量ピルを飲むと2 倍、片頭痛がありタバコを吸い、低用量ピルを飲むとなんと34 倍です。
  このため、日本頭痛学会では前兆のある片頭痛を持っている患者に対してピルを服用させるのは禁忌、前兆がない場合でもピルの服用は慎重にすべきと定めています。
  その背景にはピルによって片頭痛が悪化したり、もともとは頭痛がなかった人に頭痛が出てくる可能性があるからです。


 低用量ピルの副作用は、血管の中で血液が固まってしまって、血液が流れなくなる、エコノミー症候群と呼ばれる”血栓症”というものがもっとも危険な副作用と考えられます。
  通常の場合はその副作用は非常に稀です。例えばタバコを1日に1箱吸う方は、吸わない人に比べて5倍も血栓症のリスクが増えますが、低用量ピルでは2倍にしかなりません。
 低用量ピルは酸化ストレスを増加させます(International J Preventive Medicine, 2013)
 低用量ピルを飲むと、活性酸素は飲まない人の2倍になることが示されています。

 
動脈硬化と活性酸素


 活性酸素は、動脈硬化を促進させます。


 活性酸素とは、活性化された酸素のことで、酸化力の強い酸素です。つねにある程度の量の活性酸素が体内に存在して、ウイルスなどの侵入物を退治するという重要な働きをしています。
 ただ、活性酸素も量が多すぎてしまうと、細胞を酸化させて傷つけ、血管の老化を早くしたり、血液の中の余分なコレステロールを酸化させたりすることで、動脈硬化の発生する危険を高くしてしまいます。

 ですから、活性酸素を体内に増やしすぎないようにすることは、動脈硬化の予防につながります。
 活性酸素が増えてしまう原因は、喫煙(たばこ)、ストレス、アルコール(飲酒)、大気汚染(排気ガス)、強い紫外線、激しい運動、残留農薬、病原菌、などです。
 また、呼吸によって体内に入る酸素の約 2%が、エネルギー発生の時に活性化して活性酸素になると言われています。


 参考までに、活性酸素は片頭痛を引き起こす引き金になるものです。
 

 人が老いることを老化していくと一般的には捉えられていますが、年を一年一年積み重ねることが果たして老いるということでしょうか?
 そうではなくて実は血管が老化することなのです。
 この血管が老化していくことに活性酸素が深く関わっているのです。
 活性酸素によって血管が酸化され硬くなり、脆くなる。しかも、活性酸素によって酸化されたコレステロールや中性脂肪がたまって血管を狭くしてしまうのです。
 そこを血栓(血の塊)が詰まれば一巻の終わりです。心臓の動脈が詰まれば狭心症や心筋梗塞を引き起こします。また、脳で動脈が詰まれば脳梗塞であり、血管が破れれば脳出血です。
 このような血管が老化するという現象は中高年に多く見受けられましたが、昨今は、若い世代でも活性酸素を体の中にたくさん作るような生活が習慣化されて、早くから血管が老化しているのです。従って、20 代30 代で既に40代50 代の血管になっている若者が、非常に増加しているのです。まさに老化がこの世代から始まっているのです。
 
 このことから現在、日本は長寿社会かもしれませんが、これから先10年もすれば日本の平均寿命は70 代に下がっているかもしれないと予測されるのです。
 人は空気を吸って、体内に酸素を取り入れています。その酸素を使って食物を体内で代謝させることによってエネルギーをつくり出しているのです。
 その役割を果たしているのが細胞内のミトコンドリアです。
 ミトコンドリアが酸素を使ってエネルギーを作り出すときに、酸素の一部が活性酸素になります。
 私達の体は60 兆個の細胞から成り立っています。ですから、この一つ一つの細胞が酸素を使って栄養を代謝するたびに活性酸素を発生させているということになります。ということは、人間は生きている限り、活性酸素から逃れることはできないということです。


 このように片頭痛とは活性酸素との関連から考えるべきものです。
 
 ですから、片頭痛の発作頻度が多かったり、発作の程度も激しい人程、脳梗塞になる方々が多いということが納得されたはずです。
  しかし、このために、脳梗塞予防のためにトリプタン製剤を服用しましょう、というのでは、まさに的外れとしか言えないはずであることが納得できるはずです。
 このように「脳過敏症候群」を提唱される方々は”短絡的”に考えているということです。もっと別にするべきことがあるはずです。



  今回は、前回のものを以下のように、改めました。


     片頭痛と脳梗塞・・血管内皮細胞との関連(改訂版)
    
http://taku1902.jp/sub448.pdf